ep.10
«生徒会緊急招集、至急寮のロビーへ»
っと、これでみんなすぐ来るでしょ。
生徒会役員へとメッセージを送信し寮の1階にあるロビーで待つ。
高良はとりあえず自分の部屋へと転入生を寝かせに行くと言い残し去って行った。
「どうしたものか…」
声をかけた時のあの反応を見る限り、多分トラウマになってしまっている。
一般生徒は基本二人一部屋で、生徒会役員と風紀委員長、副委員長のみ一人一部屋の使用が許されている。
これは理事長にも説明した方がいい案件かな…、なんて思っているとバタバタと足音が聞こえ顔を上げると息を切らした生徒会の三人が居た。
「やあ、意外と早かったね」
「呼び出したの橘だろうが、何呑気なこと言ってんだ」
「あれ…、真緒はどこですか?まだ来ていないのですか?」
「ほんとだー?真緒くんメッセージ見てないのかな?」
「ああ、高良なら」
「………いる」
「お?戻って来たね、大丈夫そうかい?」
「……わかん、ない。けど、今は泣き疲れて、ねてる」
「そうかい、じゃあ話をしようか」
生徒会役員全員が揃ったところで先程あったことを伝えた。
「…えっ?伊奈瀬くんが…!?」
「大丈夫なのか?」
「那月くんは!?今どこなの!?」
「落ち着きなよ、一応高良情報だと未遂だったらしいけど詳しいことは本人に聞かないと分からない」
「その本人はどこに居るんです!?」
驚く光、流石生徒会長と言うべきか落ち着いて話をする雅也、慌てふためく萊、黙ったままの真緒。
はあ、っと一息吐いてから話をする。
「転入生は今、高良の部屋で寝ているよ」
「真緒の?」
「ああ、高良のワイシャツ握りしめたまま離さなくてね。あとは高良が一人にさせたくないって聞かなくて」
「真緒、伊奈瀬くんは今どうしてるんですか?」
「そうだよ!どうしてるの?部屋に一人にさせて大丈夫なの!?」
「……今、は、ねてる」
「それで?俺たちが集められた理由は?」
「そうですよ、緊急ってこの事ですよね?他に何かあるのですか?」
「そうそう!」
チラリと高良を見る。
「……那月、をしばらく、俺の、部屋に、居させたい」
「しばらくって…」
「真緒、お前自分が何言ってるのか分かってんのか?一人の生徒を贔屓してるんだぞ」
「そ、そうだよー!」
険しい顔をした雅也と光を見て、それでも譲らないと二人を見つめる。
「……かいちょ、と、ふくかいちょ、の言いたいこと、は、分かってる」
「じゃあ尚更だろうが」
「そうですよ、分かっているならなんで…」
「………那月、の手が、助けてって…、その手を、離したく、ない」
「………」
「…まあ、転入初日にこんな事が起こったんならな」
「…だか、ら」
「生徒会で決められないなら風紀委員長として、僕から理事長へ話をしに行くよ」
今まで黙って聞いていた咲がそう言った。
「橘…」
「……行く、なら、俺、も一緒」
「はあ、どうする?」
「どうするって、かいちょー…」
「と言うか、もういっそのこと理事長ここに呼んじゃう?」
「忙しいのに来てくれるわけがないでしょう、何を言っているんですか」
うんうん頭を唸らせているとどこか軽そうな声が聞こえてきた。
「来ちゃった」
「「「え…?」」」
「……り、じちょ」
「実はこうなるだろうと思って呼んどいたんだよね」
「話は橘くんから聞かせてもらったよ、僕の意見を話そうか――」




