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スーパーチャージウルトラ波動魔弾(仮称)

司令官にして聖務長・・カルザンの制止など、まるで耳に入っていない。

ザァクランは巨躯を揺らし、まだら模様の上着をたなびかせながら、

率いる武僧団とともに80ナルル(センチ)蒸気魔導砲へ向けて突進を開始した。


その動きは、命令違反という言葉では収まらない。

戦場の理をねじ伏せ・・ハリケーンのような突撃。


魔族(ラトナたち)から放たれる凶悪な攻撃・・

炎も、雷も、衝撃波も、すべてを青白い神力が弾き返す。

武僧団は一歩も退かない。

その防御は揺るぎなく、まるで戦場に降り立った"無敵"そのものなのだ。


「「我らは・・女神に愛されし武僧団。恐れるなかれ! 突進! 突進!」」



そんな無敵を誇る集団に強烈な一撃が下される。

その一撃を放ったのは・・アユリーナ。

彼女の新魔導・"スーパーチャージウルトラ波動魔弾(仮称)w"が、ついに火を吹いたのだ。


だが、この魔導には致命的な問題があった。

破壊力は桁外れだが、安定性が壊滅的だったのである。


アユリーナが組み上げた新魔導は、素人ゆえの未熟さが露骨に残り、術式はつぎはぎだらけ。

本人でさえ理解しきれていない魔導回路が混在していた。

ゆえに・・命中率は悲惨だった。



新魔導"波動魔弾(仮称)"は、その巨大な青白き炎を激しく揺らしながら、弧を描くように空へ飛び出した。

正直、ここまで飛翔しただけでも上出来だったのかもしれない。


だがこの波動魔弾(迷惑)は、思わぬ方向へ転がった。

狙ったターゲットとはまったく関係のない・・あらぬ地点へと落下し、大爆発を引き起こしたのである。


大暴投の大外れ!

だが、爆風と衝撃波は尋常の規模ではない!

大地が震え、空気が裂け、世界の終焉を奏でるがごとく・・・


ズドッドドドッオオォォ・・・


天端にいたラトナ、ユラーク、兵士たちは思わずのけぞり、アユリーナ本人は尻もちをつく。

凄まじい轟音。地響き。

視界を真紅に染め上げる爆炎。


アユリーナは・・・"しまった! 外した"と顔を引きつらせるが・・・その横にいるラトナは・・ニヤリと笑った。


「狙って外したんなら合格。もし偶然なら・・・まだまだ修行が足りないよねw」


叱るでもなく、甘やかすでもなく、ただアユリーナの成長を楽しむラトナだった。



-*- - - - - - *-


アユリーナの放った"波動魔弾"は見事なまでの大外れだった。

狙った標的から大きくはずれ、遥か遠く・・誰ひとりいない荒野へと落下した。

だが、その"的外れ"こそが、武僧団が誇る無敵の神話を揺るがしたのである。


そう、破壊の本質は直撃ではない。襲いかかってきたのは衝撃波だった。


しかもこの衝撃波は、武僧団が展開する魔導障壁・・

彼らが"神力"と呼ぶ絶対防御を、無効化にしてしまったのだ。


その理由は明白・・

衝撃波によって魔導障壁を破るのではなく、

兵士たちが立つ大地そのものをめくり上げ、根こそぎ・・魔導障壁ごとひっくりかえしたからだ。


「「うぎゃぁぁぁああぁぁっ・・・!」」


武僧団の兵士たちが悲痛な叫びを上げながら宙へ舞った。

地面が裂け、土砂が跳ね上がり、武僧団は一瞬で飲み込まれていく。


その中で、ザァクランだけは冷静だった。

予想外の衝撃波に目を見張りながらも、巨躯の男は片手の巨大薙刀を振るい、風を操って地面に無事着地する。


しかし、周囲の兵たちは散り散りに吹き飛ばされ、完全に体勢を失っていた。

しかも地面に叩きつけられた痛み、混乱、戸惑いによって、神力の行使も不完全、防御が甘くなる。


そこへ・・絶好の機会だと見抜いたのか、魔族たち(ラトナたち)の弓矢が雨のように降り注いだのであった。


「ま、まずい! 防御しろ!」

「避けろっ! やられる・・・」


その叫びは、むなしくこだまする。誰も間に合わない。誰も防げない。

雨のように降り注ぐ矢が、容赦なく身体を貫く。


パスパスパスパス、うぎゃゃゃあぁぁ・・矢の音と悲鳴!


1000名もいた武僧団の兵たち・・聖教軍最精鋭のはずだった彼らが、赤い血に染まり、地に沈んだ。

これは・・あまりにも自分たちの力を過信しすぎたせいなのか!? 

無敵を誇った彼らのうめき声が・・戦場に鳴り響いた。


その光景・・敗北を理解し・・ザァクランは低く唸る。


「・・・何たることだ!」


崩れゆく武僧団。

倒れ伏す兵士たちの間を、無数の矢が地面に突きさし、黒い林のように覆いつくす。


だが、彼には退くという選択肢は存在しない。

こうなっては・・あとには引けないのだ!

たとえ自分ひとりになろうとも、敵陣へと切り込むのみ。


「うおおおぉぉおおおぉぉ!」


巨躯の男ザァクランは吠えた。

巨大薙刀を振りかざし、ただ一人・・・突進する。

その姿は、敗北の中に立つ最後の戦神のごとく。


天端に陣取るイルモ解放戦線の兵たちが・・迫りくる巨躯へ一斉に矢を放つ。

だがザァクランは、すべてを読み切っていた。

降り注ぐ矢を紙一重でかわし、神力の反動を利用して跳躍・・・大空へ向けて、弾丸のように跳んだ!


大地を蹴り、巨大薙刀を羽のように回転させながら・・・

蒸気魔導砲の天端へ向けて一気に上昇する。


その高さ、全高10ラヌル(メートル)。

ラトナたちが陣取る高度よりも、さらに上空へ達し・・視線を眼下に向ける。


「見える! 敵が見えるぞ! 敵のボスはどこだっ!?」


ザァクランの眼光が、天端にいる者たち全員を睨み・・・そして巨大薙刀を大きく構えた。

狙いは定まった・・・奴がボス、親玉!


「お命・・いただく!」



ラトナは仰ぎ見た。

そして、その視線・・いや! 殺気を感じ即座に悟る。狙いは・・・私だと!

ザァクランは、戦場における"要"・・最初に斬るべき大物、それがあの少女! 見た目に騙されず・・ラトナだと瞬時に見抜いたのだ。


戦場の空気が、刹那に張り詰める。

巨躯の戦神と女神公姫・・・互いに視線が交差する。

互いに名も知らぬまま・・どちらも相手が危険人物だと理解したのだ。



ここにいては・・危険だ! 他の者たちを巻き込む。

ラトナは天端の手すりから飛び出した。

もちろん即座に指を走らせ、飛空魔導を発動する。

この魔導は・・自立で飛ぶことができない。ただ浮かぶだけ・・・

それでも迫りくる強敵ザァクランと空中戦をしようというわけなのだ!



ザァクランは迫るラトナを視認! 即座に振り下ろされる巨大薙刀。

ラトナは魔導障壁を展開し、火花が巻き散る衝撃を受け止めると同時に・・

片手に魔風手の魔導を発動・・ザァクランの腹めがけて鋭い魔力の一撃、まさかの空中ボディブローを叩き込んだ。


魔導士でありながら、ラトナは空中格闘戦をおこなっているのだ!


ザァクランは驚愕する。

小柄な少女が、真正面から殴りかかってきたのだ。

だが、手加減など一切しない。この女こそ、魔族のボスなのだ。


腹に一発は食らった。

だが、そんなもの蚊に噛まれた程度。

ザァクランはラトナの顔面へ肘打ちを叩き込もうとするが・・・手ごたえがない!


そう、ラトナは数発の魔弾を裂くように放ち、その反動でザァクランの懐から抜け出したのだ。

しかも放った魔弾はすべて命中、巨躯の男の身体を青白い光が放つ。


「うおおぉぉぉぉ・・・!」



この時代の普通の兵士ならば、魔弾を数発浴びれば即座に再起不能となる。

だが・・この巨躯の男ザァクランは違った。

ラトナの魔弾を受けながらも、なお耐えきったのだ。


たしかに叫び声は上げている。しかし致命傷にはなっていない。


「なんて頑丈なの・・! この男、魔獣か何かなのっ」


ラトナは思わず声を漏らした。

魔弾を浴びせても倒れない巨躯の男。

これ以上の火力となれば、準備も手順も面倒になる。

どう攻めるべきか、脳裏で計算を巡らせていた・・その瞬間!


鋭い・・風切り音。

一本の槍が、雷光のような速度でラトナの目前を横切り、一直線となってザァクランへと飛ぶ。


「えっ!? 誰が・・・」


驚きに振り向いたラトナの視線が、天端の縁で揺れる影を捉えた。

そこには、肩で息をしながらも必死に立つアユリーナ君の姿!


先ほどの"衝撃波動弾"を放ち、魔力は枯渇ぎみ。

疲労困憊のはずの彼女が・・・

それでも身体強化を発動し、渾身の力で槍を投げ放ったのだ!


しかもアユリーナの身体強化は、師であるラトナをも凌ぐパワーを秘めている。

ゆえに、その槍はただの投擲ではない。

凶悪無比の一撃となって、巨躯の男ザァクランへと迫っていった。







--------------------  To Be Continued ヾ(^Д^ヾ)



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