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80ナルル魔導砲


「な・・なんだ、あれは!? あの巨大な"神輿"のような化け物は!?

「しかもあの集団は人間じゃない。二足歩行の鉄の・・魔獣だ!」

「ま、まさか・・奴らが魔族軍。噂は本当だったというのか?!」


その叫びは、恐怖に引きつった声でしかなかった。

バベル聖教軍の先遣部隊・・200名の兵士たちは、視界に広がる"異様な軍勢"を目にした瞬間、

背筋に氷の刃を突き立てられたかのような戦慄に襲われる。



彼らの視界に映ったものは・・

全長50ラヌル(メートル)の黒き巨体・・80ナルル(センチ)蒸気魔導砲。

それは・・あまりにも巨大で、あまりにも不気味な存在。


しかも、これだけではない!

巨体の前面に、整然と並び立つ全長3ラヌル(メートル)の鉄の巨人・・キュウルーラたち。

無機質な装甲が鈍く光り、無言のまま敵を睨む。


そう、それは生まれて初めて目にする異形の存在。逃げ場のない圧力。

そして、どう足掻いても覆せない・・・圧倒的な力の差。


兵士たちは悟る。

--- これは、ただの敵ではない。地獄の底からやってきた"魔族軍"そのものだと ---


「な、なんてこった! とんでもない奴らと鉢合わせしてしまったではないか!」


絶望という名の"災厄"が聖教軍全体に広がっていく。


-- -- -- -- -- -- -- -- -- --


ラトナ・ユラーク連合軍の進軍を阻むように、バベル聖教軍の先遣部隊、約200名が道を塞いでいた。

彼らはヴァラウ方面の威力偵察の最中だったが・・・

その任務は、今まさに悪夢へと変わろうとしていた。



80ナルル(センチ)蒸気魔導砲の司令室。

立体映像に映る敵影・あのバベル聖教軍を見据えながら、

ラトナの口元がゆっくりと弧を描く。


「・・ふっ。ちょうど良い。

奴らを相手に、この魔導砲の"威力"を試してみようじゃないか!

さて、どれだけの者が生き残れるのやら・・見ものだな」


その発言は、まさしく処刑宣告。

敵対者に対する情けなど一片もない。


ラトナにとって戦争とは、

生き残った者だけが正義を語る冷酷な舞台にすぎないのだ。


その表情は完全な悪役へと染まり、隣に立つユラークもまた、

同じ闇を宿した笑みを浮かべていた。



そんな不穏な空気を破るかのように、不安そうに声をあげるアユリーナ。


「それにしてもラトナ様、あの魔導砲、本当に・・大丈夫なのですか!?」


この司令室は大幅に改良され、完全密閉式となっているとはいえ、彼女の懸念は払拭していない。

そう無理もない。以前の試射で、この付近が爆風に包まれ燃え上がった記憶が・・アユリーナの背筋を冷たく撫でていたからだ。


そんな懸念をよそに、ラトナは愉悦を隠そうともせず笑う。


「たぶん・・心配はいらないよ!  

もし上手くいかなかったら・・皆そろって地獄行き、ってだけの話だろう?! ふっふふ・・」


軽口のつもりなのだろうが、そんな一言で、

ルジャン君、ナディラ他、幕僚たちの顔色が一斉に変わった。


"たぶん"と"地獄行き"

あまりにも不穏すぎる二語が、司令室の空気を一瞬で凍らせたのだ。


「ラトナ様、その発言、普通に怖いですよ」


アユリーナは苦笑しながらも、口元だけはわずかに笑っている。

ラトナは肩をすくめ、楽しげに息を漏らした。


「そうだね・・うっふふふふ」


その隣では、ユラークが豪快に笑い声をあげた。


「地獄行きか! それはそれで良いな・・・あっはははは!」


二人の笑い声が重なり、司令室はまるで"悪役たちの舞台"のような雰囲気に包まれていく。

どうやらこの二人・・妙に気が合うらしい(悪い意味で)


もちろん、司令部の面々は理解している。

このやり取りを本気で受け取る者などいない。


ラトナの発言通り・・"たぶん"、安全なのだろう。

(フラグにならなければよいが・・w)


-*- - - - - - *


まず・・・

あの超兵器、80ナルル(センチ)魔導砲を放つ前に、

どうしても"味方全員"に知らせておかねばならないことがあるのだ。


そう、理由は"あのスペクタクル級"の大爆発!

油断して、あの魔導砲の威力、破壊力を真正面から見てしまえば、

敵より先に味方の士気が崩壊する可能性があるからだ。


たぶん、ここにいるルジャン君、ナディラ、そして幕僚たち。

彼らが何も知らずにあの光景を目撃すれば・・間違いなく動揺(パニック)するだろう。

もしかしたら、泣き叫びだすかもしれない。


ただし、あの人物・・解放戦線の長たるユラーク殿だけは、なんとなく違う意味で驚き、そして喜ぶかもねw


そんなことを思考しながら、ラトナは愉悦を隠しきれぬまま・・口を開いた。


「さて・・この魔導砲を撃つ前に、一言だけ言っておこうか。

これから起きる光景は、刺激が強い。

いや・・楽しい と言ってもいいかもしれないなぁw

ただし、見た瞬間に腰を抜かさないように気おつけることだ。

間違いなく我らに危険はない。危険なのは我らの敵のみ。安心してほしい。たぶんw

それと・・一般兵士たちにも"覚悟"するようにと・・伝達しておくこと!」


冗談めいた口調でありながらも、どこか本気の"悪意"を含んでいた。

司令室の空気が、また一段と張り詰める。

だが同時に・・

ラトナの愉悦は、確かにそこにあった。


「ふっふふ、敵にも味方にも見せてやろう・・魔導の恐ろしさを!」


-*- - - - - - *-


全長30ラヌル(メートル)に及ぶ巨大砲身・・・

80ナルル(センチ)魔導砲は、続けざまに連射することはできない。

そう、一発撃つごとに魔力供給・・つまり"太陽光による魔力充填"が必要となるのだ。

さらに追い打ちをかけるかのように、砲身が危険なほど熱くなってしまい冷却は必須となってしまう。


扱いは、はっきり言って難しい。

だが、その欠点を補って余りあるのが、その破壊力だ。

一度放てば、広範囲をまとめて消し飛ばす戦略級兵器。


まさに"ここぞ"という瞬間にのみ投入される・・必殺の一撃なのだ。

そして今、そんな一撃を、目前の敵・聖教軍へ叩き込もうとしている。


そう、この一撃は、ただの攻撃ではない。

-- 我らは状況を一変させる最強兵器を保有しているのだ! --


その事実を敵の心に深く刻みつけ、恐怖を抱かせるためのデモンストレーション。


もし運が良ければ、聖教軍は"イルモ"を放棄して撤退するかもしれない。

・・・だが、ラトナには分かっていた。

そんな甘い展開には、おそらくならないと・・・


むしろその逆の可能性が高い。

聖教軍はこの"80ナルル(センチ)魔導砲"を破壊、あるいは奪取するために、主力を差し向けてくるであろう。


この魔導砲こそ、彼らにとって最大の脅威なのだから・・・


「・・・まぁ、それでよい」


ラトナは静かに笑い、ユラークたちへ作戦を語る。


「敵が恐れ、この魔導砲に食いついてくれるなら・・・そこでまとめて叩き潰す。

 この魔導砲そのものが、敵を誘い込む"罠"だと思えばいい」


その声音には、揺るぎない自信と冷徹な計算があった。

ユラークもまた、深く頷く。


「できるだけ、"イルモ"の町に被害を出したくない。

 ここで聖教軍を誘い込み撃破できれば・・・万々歳というところだな」


ルジャン、ナディラ、そして幕僚たちもまた、ラトナの方針に従い異論を挟む者はいなかった。

いや、尊敬と恐れ、または超越者ゆえに発言を控えてるのかもしれない。


だが、ユラークだけは違った。

彼はラトナと肩を並べ、戦略の細部まで共有し、まるで共犯者のように視線を交わしていた。

二人の視線の先には、静かに佇む80ナルル(センチ)魔導砲。

その巨大な砲身には、これから始まる戦いへの期待と、破壊の予兆が宿っていた。



--------------------  To Be Continued ヾ(^Д^ヾ)



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