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周辺制圧


ヴァラウの町が襲撃され・・魔族軍の手に落ちた!


そのような急報がイルモ駐屯の聖教軍へと届くものの・・・司令官カルザンは静かに目を閉じ、短い沈黙の中、思案していた。


「魔族軍とはな!?」

あまりにも不可解。


旅人や商人たちから、もたらされた情報によれば、ヴァラウの町が"謎の集団"に占拠されたのは、ほぼ間違いないようだ。


だが、その集団が本当に魔族軍なのか。魔法を操る者たちのことなのか。

どれも推測の域を出ない。


さらに、ヴァラウの町の統治者・ザイラ城祭長は無事に聖都ルゥーナに落ち延びたというが・・

こちらに届く情報はあまりにも少なかった。


司令官カルザンは眉をひそめる。


「正体が掴めない! このままでは動きようがないな」



一方、幕僚たちは慌ただしく動き回っていた。

少しでも確かな情報を求めて走り、伝令を飛ばし、

同時に、軍の出動準備を急ピッチで進める。


「追加情報を確認中です!」

「兵站部、即応態勢に入ります」

「軍の編成を急ぎます」



このイルモには・・"武僧団"と呼ばれる精鋭部隊を中核として約1万のバベル聖教軍が駐屯しているのだ。

そして その全軍を動かす権限を持つのは・・・

司令官にして聖務長・カルザン。


彼の一声で全軍の出動も可能となる。


聖教軍に支配された町イルモは、にわかに騒がしくなってきていた。

いつでも進撃できるよう、軍全体が準備を整えつつあったからだ。




そして・・その情報は、ヴァラウの町・政務館、ユラークの元にもたらされることになる。

そう、すでにイルモの町には・・ユラークの手の者が入り込み、情報を収集していたのだ。


しかも彼らは、聖教軍に接収され統治の中心となっているイルモ市宰館で・・

料理人として、または清掃員として働きながら、日々情報を収集していた。


司令官カルザンの幕僚たちが交わす声は、否応なく彼らの耳に届く。

しかも書類の破棄もずさんで、重要な文書が平然と放置されることさえあった。

その結果・・聖教軍の動きは、ほとんど筒抜けとなる。



「イルモの聖教軍、準備は整っているものの・・いまだ動く気配なし」


その報告が、ヴァラウの町・政務館にいるユラークのもとへ届けられた。

だが、その内容は最悪だった。聖教軍は動かない!


まるで沈黙を貫くかのように、イルモの町に留まり続けているのだ。

ユラークは眉をひそめた。

これはまずい。


こちらとしては、どうしても聖教軍をイルモの町から誘い出す必要があるのだ。

しかし敵は沈黙を保ち、石のように動かない。


「予定通りにはいかないものだな」


その言葉に対してラトナは、静かに微笑みながら進言した。


「それなら好都合、今のうちに周辺の鉱山! "魔結晶"の鉱脈を押さえてしまいましょう」


"魔結晶"そう、それはキュウルーラ(人型魔導兵器)を造り出すための最重要素材。

増産を進めるには、鉱山の確保が不可欠だった。


聖教軍が動かぬ今こそ、その隙を突く絶好の機会・・・

ラトナの視線は、遠く連なる山々へと向けられる。



-*- - - - - - *-



翌日・・・

ラトナは、即座に行動に移していた。

聖教軍が沈黙しているのなら、その隙に領土を広げるまでだ。


「よし、急ごう」


増産されたキュウルーラ(人型魔導兵器)200体とラトナ、アユリーナ

そして・・それらに続くユラーク配下の武装兵100名は、ヴァラウの町の東方にあるアビル鉱山へと進軍した。


アビル鉱山の警備兵はごく少数。

山道の向こうから迫る"巨影"・キュウルーラの巨大なシルエットを見た瞬間、彼ら警備兵たちの心は折れ、蜘蛛の子を散らすように逃げ去った。

ラトナはその光景を見て、静かに笑う。


「じつに楽だな。これで、この鉱山は私たちのものだ」


山肌を大きく削り取った露天掘りの採掘場は、木々の影すらない荒涼とした景観が広がる。

むき出しの岩崖には多種多様な鉱脈が走り、陽光を反射して淡く輝く。

もちろん、その中には"魔結晶"も含まれている。


鉱山を掌握したラトナたちは、その勢いのまま周辺の村落へと進んだ。

鉱山の安定維持には・・周囲の支配権も必要だからだ。


そして、やはりというべきか・・そこにも聖教軍の姿はおらず・・ほぼ無血で制圧!

村々は次々とラトナの支配権を認めさせていった。


唯一、戦いと呼べる場面があったのは・・・

ヴァラウ北方の小さな砦での攻防だった。


砦に立てこもる聖教兵は300名たらず。

対するラトナ側は・・キュウルーラ80体と170名の武装兵。


そのキュウルーラを先頭にして突入、砦ごと粉砕したのであった。

こちら側の損害は武装兵が数名・・負傷した程度。ラトナの薬ですぐに回復したので、損害皆無といってもよいだろう。


砦の残骸を見下ろしながら、ラトナは静かに息を吐く。


「よし! 周辺地域の制圧もこれで終了だな」


その言葉と同時に、ユラーク配下の兵たちが歓声を上げた。


「「おっ~おっ~おっ~!!」」


勝利の熱気が荒野を満たし、風がラトナの黒髪を揺らす。





--------------------  To Be Continued ヾ(^Д^ヾ)



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