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それって・・サクラ商法


ラトナとアユリーナ・・黒髪をした二人の少女が、静かに祭祀広場へと姿を現した。

その背後には、9体の巨人・・キュウルーラ(人型魔導兵器)が、ずらりと立ち並び、広場に重い影を落とす。


今日は"女神降臨祭"


本来なら、"女神バベル公姫・降臨"を願う、祝いと踊りの祭りなのだ。

だが、その名の由来となった"本物の公姫"のラトナ・・・その"本人"が現れたというのに、広場の空気は祝福とは程遠い方向へ転がり落ちていった。


(心の中で描いていた幻想と実体が、まったく違うというやつかw)


ラトナは肩をすくめ、軽く笑う。


「これって・・女神降臨祭なんだろう!?

ならば“本物の私”が降臨するのは当然じゃないか」


しかし、広場にいる数多くの住人たち、見物人たちは凍りついた。

幼い頃から叩き込まれたバベル教の教え・・・

"黒き髪は魔の証"・・恐るべき魔族であるという迷信が、彼らの思考を支配していた。


しかもそれより恐ろしい物体!・・黒髪の二人の少女(魔族w)の背後から、ジロリと睨む巨人軍団!

そんな人ではない何かの威圧、恐怖は尋常なものではない。


「「ぐわぁぁぁ・・あれはなんだ!?」」

「「嘘だろ!? おいおいお・・魔族だ! 巨人だ! 化け物だ! 」」

「「やばい! やばいぞ・・逃げろ! 逃げろ!」」


次の瞬間、広場は悲鳴に包まれた。

もはや・・祭りどころではない。恐怖がやってきたのだ。


逃げ惑う人々、住民たち。

先ほどまでの活気、笑顔とは一転・・・祭りの場は阿鼻叫喚の渦へと変わる。


うわぁぁぁぁぁぁ!



そんな光景を見ながら、ラトナの口元が、ゆっくりと愉悦に歪んだ。


「いい叫び声ね。それじゃあ"とっておきの魔導"ってやつを、見せてあげましょうか」


その声を合図に、9体のキュウルーラが一斉に動き出す。

全長3ラヌル(メートル)の巨体が丸太を振り回しながら四方へ散り、逃げ惑う住民たちの進路を次々と塞いでいく。


逃がしはしない。

この祭祀広場から、一歩たりとも・・ね!


さらに、ラトナが軽く指で印を結ぶと・・祭司広場の地面がじわりと黒く染まり始めた。

そう、そこにいる住民たちの足元から黒き触手が噴き上がり、蛇のようにうねりながら足や腰へ絡みつく。

もう動けない! 自由そのものを奪うのだ。

しかも気色悪い! まるで蟲だ。生理的に受け付けない。


「きゃあああああっ!!」

「離して! いやだ、いやだぁぁぁ!」


悲鳴は一気に最高潮へと跳ね上がり、広場全体が絶望の色に染まった。

もはや、生きた心地などない。阿鼻叫喚の地獄。

何人かの者は・・倒れ伏し気絶をしている。


そんな住民たちの姿・・・

恐怖に染まる広場を前に、ラトナはまるで演劇を楽しむかのように微笑んだ。

黒髪が揺れ、瞳は獲物を見つけた獣のように輝く。

その表情は、"女神"と呼ばれる存在には似つかわしくない。

むしろ、混乱を愉しむ"悪魔"そのもの・・・



だが、このようなラトナの姿を、側から見たアユリーナは・・半分呆れかえると同時に、尊敬できる人物なのだ。

そう、師匠ラトナは命の恩人であり、魔導の達人、誰よりも強く、誰よりも自由な存在なのだ。

ついでに・・サディストの傾向もありw

(このあたりは尊敬できない。反面教師の対象)



アユリーナもまた、師であるラトナに倣い・・"束縛の魔導"を展開していた。

だが、その動きはまだぎこちない。


黒き触手は思うように伸びず、逃げ惑う住民たちを捉えようとしても、空を切るばかり、絡め取ることができないのだ。


それとは対照的に、師匠ラトナの魔導は圧巻だった。

黒き触手はまるで生き物のように滑らかにうねり絡みつく・・その差は歴然!

広範囲の住民たちを一挙に拘束していく・・・


やはり魔導の力は雲泥の差、年の功(400年)

やはりここは・・・練習あるのみと言ったところか!


-- -- -- -- -- -- -- -- -- --



住民たちにとって・・・

目の前の光景は、まさに"魔族襲来"そのものだった。


黒髪の少女二人・・その背後にそびえ立つ9体の巨体(キュウルーラ)


さらに、忌まわしき幾つもの触手が、地面より這い出し、逃げ惑う者たちの足を絡め取っていく。

もがいても、叫んでも、触手は容赦なく締め上げてくるのだ。


広場はまるで底なし沼・・まるでサルガッソ!

一度捕らわれた者は二度と抜け出せない。


住民たちの顔は蒼白に染まり、

その絶望は波紋のように・・広場全体へと広がっていった。


「「ぐわぁぁぁぁ~ た、だすけてっくれ〜」」


その叫びや悲鳴は、祭祀広場の石壁に反響し、

まるで世界の終わりを告げる鐘のようにこだまする。



-*- - - - - - *-


そんな絶望に沈む住民たちの中に、ラトナはあらかじめ・・・いや、正確にはユラークの命で、

配下の者たちを多数・・紛れ込ませていた。


その中には、あの可愛らしい顔立ちのルジャン君、

そして以前、男装していたナディラの姿もあった。


彼らの役目はただ一つ。

"サクラ"として、住民たちの心を揺さぶり、洗脳の起爆剤となること。

もちろん、他の住民たちと同じように触手に絡め取られていたりしている。



そう、ラトナは住民たちの洗脳計画を、正式に発動した。

彼女は指先を動かし印を結ぶと・・次の瞬間、無数の魔弾が青空へと打ちあがる。


だが、この魔弾は攻撃用ではない!

少しアレンジを加えた魔弾・・・"見せるための仕掛け"を施しているのだ。


ヒュュュウウゥルルルッッ


奇妙な音を響かせ・・美しき光の尾を引き、火花を散らす魔弾は・・・あきらかに花火。

人々の目を楽しませるための、純粋な娯楽の光景。


地面に縛られた住民たちは、魔導も火薬も・・・または異世界風の科学も知らない。

ゆえに・・このような花火を一度も見たことがなかったのだ。


彼らにとって、これは人生で初めて目にする"空の芸術"!


青空に咲き広がる巨大な光の花。

舞い散る火の線が織りなす幻想的な模様。

そのすべてが、彼ら住民たちにとって"神の御業"のように映る。


黒き触手の恐怖を一時的に忘れ・・・

住民たちはただ、空に咲く光の花に心を奪われていくのだった。


- - - - - - - -


ちなみに・・その時、

ユラークの命で紛れ込んでいた"サクラ"たちも、思わず口を開けて見上げていた。

ルジャンも、ナディラも、他の者たちも・・・一瞬だけ、純粋に驚きに呑まれてしまう。


だが、ここで花火に見惚れているわけにはいかない。

彼らの"仕事"は、まさにこれから始まるのだ。


住民たちが光の花に心を奪われている・・その絶妙な瞬間。

"サクラ"たちは息を合わせ、声を張り上げた。


「「おっおおお~ 女神様だ! 女神様が降臨なされた」」

「「我ら女神・・バベル公姫様だ。ばんざ~い」」

「「すごいすごい・・あっああ~女神様!」」


その叫びは、驚愕と熱狂を装った完璧な演技。

ここから、ラトナ、ユラークの命を受けた"演出"が本格的に幕を開けるのだった。







--------------------  To Be Continued ヾ(^Д^ヾ)




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