聖教館制圧
「400年前の骨董品とはいえ・・・なんと恐ろしい威力!」
ラトナは・・半壊した自分そっくりの女神像を手に取り、内部を確かめていく。
そして、予想していた答えにたどり着いた。
「やっぱりね。これ、私が作った魔導具だわ・・・
でも・・まさか! 400年越しに、私に向けて撃ってくるとは思わなかった」
ラトナの横では、アユリーナが女神像を覗き込み、目を輝かせていた。
その表情には、恐れよりも好奇心が勝っている。
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たしか・・この銅像は、400年前の戦乱の時代。
ラトナ自身が、各地の城門に据え付けた幾つかの一つ。
敵軍を威圧するため、当時"最強"(今も最強)w・・と謳われた自分の姿を模して造らせた像。
でも・・妙に誇張された肉感的な造形には苦笑するしかない。
それでも、この像はかつて戦場で敵を震え上がらせた"恐怖の象徴"だった。
その歴史を思い返しながら、ラトナは静かに目を細める。
そしてふと、像の内部に仕込んだ魔導機構を思い出した。
「この銅像に仕込んである"特性の大型魔結晶"・・使えるよね!」
その声は、先ほどまでの穏やかさとは違う。
唇の端がゆっくりと吊り上がり、黒い影が表情を隠していく。
"ふっふっ・・・大型の魔結晶! とんでもない兵器がつくれそうね!”
闇に染まったようなその顔つきは、まるで悪役そのもの・・・
そんな姿のラトナを見て、アユリーナは思わずドン引きした。
まぁ、もともと・・こんな人なんだけどねw
「ところで・・・ラ、ラトナ様・・その、"何か変なこと"・・いえ、なにかお考えではありませんか?!」
そんな事を問いかけてみるアユリーナに・・ラトナはむっと眉をひそめた。
「変って・・・!?」
軽く頬を膨らませるような声音。
しかし、その背後に渦巻く魔力の気配は、どう考えても"変"だった。
アユリーナは心の中で叫ぶ。
" いや絶対、変ですから・・・! "
だが、口には出せない(出したけどw)
師匠ラトナは今、危険なほど楽しそうなのだから。
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一方その頃・・・
ユラーク率いるイルモ解放戦線、三百余名の兵士たちは、聖教館の制圧へと足を進めていた。
だが・・敵がいない!
広い廊下にも、奥の部屋にも、影ひとつ見当たらない。
警備兵も、使用人も・・そして、この町"ヴァラウ"を統治する城祭長の姿すら消えていた。
静まり返った館内に、兵士たちの足音だけが虚しく響く。
「ちっ、敵さん全員・・逃げたな!」
ユラークは奥歯を噛みしめた。
我らが・・あの銅像に手間取っているうちに、敵は散り散りに逃げ去ったのだ。
こうして聖教館は、殻だけを残して空っぽとなり、制圧はあっけなく完了する。
損害は皆無、無血開城、資料類もある程度確保・・「まぁ、よかろう。上出来だ!」
そして、次にすべきことは明白・・・
ヴァラウの町の住民たち市民たち・・・彼らを説得し、この地を新たな支配下に置くこと。
そして、その役目を担うのは、この町を"領有する"と宣言したラトナである。
その点に関して、ラトナは誰よりも早かった。
すでに彼女は、住民たちの説得・・いや、半ば脅迫にも近い"交渉"を開始していた。
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祭りの熱気に包まれたヴァラウの祭祀広場に、突如として異様な気配が満ち始めた。
ざわめきが、ひとつ、またひとつと消えていく。
太鼓の音も、笑い声も、まるで誰かが音そのものを奪い取ったかのように途切れた。
人々の視線は、ただ一点へと吸い寄せられていく。
それは黒髪!
魔族とされる黒髪の少女二人・・ラトナとアユリーナ。
そして、その背後に整然と並び立つ9体の巨影、人型魔導兵器・キュウルーラ。
全長3ラヌルの巨体が、昼の陽光を遮り、石畳に鋭い影を突き刺す。
それは、まるで“女神降臨祭”の祝福、祝賀を切り裂く凶刃。
あるいは、祭りの只中に送り込まれた刺客。
恐怖が祭祀広場を覆う。
陽光は歪み、空気は震える。
広場を覆うは・・・恐怖。
逃げ場のない圧迫。
つい先ほどまで賑わいに満ちていた祭祀広場は、一瞬で凍りついた。
-------------------- To Be Continued ヾ(^Д^ヾ)




