進撃のキュウルーラ
ズドォォォオォォォ・・・
大地を揺るがす轟音とともに、巨像が振り回す凶悪な武器・棍棒が、森の巨木を次々と吹き飛ばし、岩塊さえも容赦なく粉砕していく。
その巨像の名はキュウルーラ。全長3ラヌルを超える巨体。
かつて200年前に名を馳せたシンルーラの劣化版とはいえ、目前に立つその姿は、かつてのシンルーラさえも上回る巨躯。
鉄と岩を組み合わせた異形の装甲に覆われ、見る者の本能を震え上がらせるほどの威圧感と恐怖を放っている。
もしこれが、某異世界の某アニメに登場するならば・・間違いなく敵役として描かれるであろう。
「いいね! 問題なく動作している」
ラトナは満足げにうなずいた。
動きは軽やかで、装甲も十分。挙動に不具合はない。
この時代の低品質な鉄を使用していたので不安もあったが・・それはどうやら杞憂だった。
もちろん・・200年前に製作した"シンルーラ"には遠くに及ばない。
しかし、戦闘にも作業にも、この時代では十分すぎるほど使えるであろう。
「だけど・・一体だけじゃ物足りないわね! もうちょっと作りましょうか」
ラトナの何気ない発言から始まる量産化計画。
アユリーナにも手伝ってもらうため、基礎理論だけは教えてはみたものの・・・どうにも理解しきれていない。
構造が複雑で、数学の知識も必要!
とくに魔導論理回路は、とびきりややこしい。
「・・・ラトナ様、これ、本当に難しいです」
弱音を漏らすアユリーナに、ラトナは肩をすくめ、軽く笑ってみせた。
「大丈夫。そのうち分かるようになるよ」
なんて・・適当に口にしてみる。そこんとこは本人次第である。
まぁ・・100年ぐらい勉強すれば、誰でも理解できるでしょうw
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3つの黒い影が・・ゆっくりとラトナたちに近づいてきていた。
その先頭に立つのは、あの少年・・ルジャン君。
どうやら・・彼の言っていた"抵抗組織の幹部"とやらをつれてきたのだろう。
しかし、ラトナはすぐに警戒をした。
「いや・・まてよ!」
そう、ルジャンの背後に続く二人の姿はボロボロ・・ひどく傷つき、足を引きずっているのだ。
まるで、誰かに襲撃されたごとく。いや、もしかして追われているのか!?
ラトナは瞬時に魔力を展開し、周囲の気配を探る。
「何かいる・・・アユリーナ君、気をつけて!」
「は、はい」
二人は・・瞬時に臨時体制!
ラトナは鋭い声を放ち・・ルジャンたちを睨みつけた。
「やってくれたわね! あなたたち、追われているわよ。私たちに押し付けるつもりなの!」
その言葉に、ルジャンは蛇に睨まれた蛙のように怯えて、硬直する。
すると彼の背後、足を引きずった男性らしき声が響いた。
「すまない! そなたの"魔法使い"としての能力を借りたい。どうか、我らを助けてほしい」
ラトナは眉をひそめ、深く息をつく。
「縁もゆかりもない人を、なぜ助けなければならないの
・・・・と言いたいところだが、ここまで巻き込まれたら仕方がない。この代金・・高くつくわよ」
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ルジャンたち逃走組3名を追って、森の中を駆け抜ける数十名の一団・・おそらく聖教軍の兵士だろう。
だが、ラトナにとっては脅威ではなく、むしろ絶好の機会だった。
「ちょうど良い相手だ。新型・・いや、旧型兵器に任せてみますか!」
現在、森の奥では、キュウルーラ・・10体が資材と原料の採取中なのだ。
彼らをすぐに呼び戻し、奴ら聖教軍を襲撃する。
良き初陣となろう。
ラトナは静かに指を動かし・・印を切ると、キュウルーラたちが、木々の影から無音で姿を現す。
鉄と石で組み上げられた10体の巨人。
人の倍以上の高さを誇るその怪物たちは、片手で巨大な丸太を掴み、そして信じられない速度で"くるりくるり"と丸太が回転!
回転棒術を披露した(威嚇)
その異様な迫力を目にして・・ルジャンたちは思わず息を呑む。
この時代の人間にとって、彼らの姿は・・まさに"理解を超えた異形"と映ったに違いない。
そして、同様に森の奥から追いすがるように現れた聖教軍兵士たちも、目の前に広がる巨人たちの光景、威嚇に怯む。
「なに!」
「何だあれは!? 人か!?」
驚愕と恐怖が隊列を崩し、ざわめきが波のように広がっていく。
その混乱を見届けながら、ラトナはゆっくりと口角を上げた。
そして、静寂を切り裂くように声を放つ。
「妾は・・ルシャーナ帝国初代皇帝ルドラシイムの第一王女、バベル公姫 ルシャル・ノン・ラトナ。
この大陸で妾の名を騙る愚か者どもよ・・彼ら忠実なる神兵が、今ここでお前たちに天罰を与えることになるだろう」
その名乗りが響いた瞬間、ルジャンたちはさらに動揺し、兵士たちの間にも困惑とざわめきが走った。
空気がわずかに震え、場を包む緊迫がじわりと胸へ迫ってくる。
ラトナは得意げに口元をゆるめ、
アユリーナは"本当なの・・・!?"とでも言いたげに首をかしげた。
一方、聖教軍の兵士たちは、戸惑いとともに怒りの感情を露わにする。
「き、貴様・・神の名を騙るとは、なんという冒涜だ!」
ラトナが告げた名——"バベル公姫"
それは彼らにとって、決して許されぬ名乗りだった。
ましてや、黒髪の魔族が・・聖教軍がもっとも崇拝する主神にして女神・・"バベル公姫"と称するなど、冒涜以外の何物でもない。
怒気を帯びた彼ら・・聖教軍兵士たちの声が、森の静寂を裂く。
「天罰は必ず貴様に下る・・公姫様をかたるなど‥許されぬ行為。覚悟するのだな!」
・・だが、そんな叫びなどラトナには届かない。
彼女にとって戦いとは、罵声を投げ合う場ではない。
生き残った者だけが正義を語れるのだ・・ただ、それだけのこと。
ラトナは静かに息を吐き、冷ややかに告げた。
「言いたいことはそれだけか・・ならば開戦だ!」
-------------------- To Be Continued ヾ(^Д^ヾ)




