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不死王レオンとアルヴィス王国物語  作者: スガヒロ
第三章

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『ブルーリヴァー後日談 ― 影の残渣と、静かなる決意』

〈帝国東領・ブルーリヴァー峡谷/臨時療養所〉

水の聖樹の瘴気は完全に浄化され、

谷には透明な霧と柔らかな光が戻っていた。


だが、レイブンの胸に広がる重さは消えない。


ベッドの上では、

リスティアがまだ目を閉じ、静かな呼吸を続けている。

黒炎による深層汚染は浄化されたが、意識はまだ戻らなかった。


レイブン(心の声)

(……リスティア。

 守ると言ったのは、俺なのに……)


彼はそっと彼女の冷たい指を握った。


「ほんの少し、温かさが戻っております。」


そう声をかけたのは、獣人族の僧司・ハルマ。

ブルーリヴァーの住民が連れてきた“治癒の祈導士”だ。


レイブン

「……そうか。」


ハルマ

「命の灯は揺れていません。

 あの子は、戻ってくる未来を捨ててはいませんよ。」


その言葉にレイブンはわずかに息をつく。



---



療養所の外では、ブルーリヴァー駐留の帝国軍が集まり、

ヴァルドラとの戦いの総括が行われていた。


第二級騎士長ガルマン

「……戦術的には勝利だが、問題が残っている。」


「“影の執行者”一体でこれだけの損害……

 十二魔導将が本格的に動いたら、我々は持たない。」


副官

「しかも、あの黒翼の魔族――名前は……」


ガルマン

「ヴェル=オルグ。

 生き延びていると見て間違いあるまい。」


その名が出た瞬間、レイブンの眼差しが鋭さを取り戻す。


レイブン

「……あれほどの怪物が、まだどこかにいる。」


ガルマン

「我々帝国軍だけでは対処できん。

 だが――」


彼は周囲を見回した。


「水の聖樹を救ったあなた方は……

 もう帝国の“英雄救援候補”として扱われている。」


レイブン

「英雄などではない。

 守れなかった仲間がいる。」


ガルマン

「それでも……

 あなたほど“影”を見据えている者はいない。」



---



副官

「ところで、あの錬金術師の青年……ええと、ミュリオと言ったか。

 彼の姿を今回見なかったが?」


レイブンは小さく息をつく。


「……水の聖樹奪還の後、

 帝国首都に向かったきり、こちらには戻っていない。」


ガルマン

「帝国首都か。

 なら安全だろう。」


レイブン(心の声)

(ミュリオ……何か掴みかけて動いたのだろうか。)


彼が“今どこで何をしているか”

レイブンはまだ知らない。


――ミュリオが、すでにレオン(ノエル)一行に合流していることを。



---



夜、レイブンはリスティアの枕元に座り続けていた。


「リスティア……

 君なしでは、この先の影と戦う意味が……薄れてしまう。」


微風がカーテンを揺らす。


その時、リスティアの指がかすかに動いた。


レイブン

「……ッ!」


呼吸が止まる。


しかし――


それは、微かな、ほんの反射のような動きだった。


やがてレイブンは目を伏せ、静かに言った。


「必ず戻ってこい。

 次に影と戦うときは……

 もう二度と、君を傷つけさせはしない。」


決意は、氷のように静かで、炎のように熱かった。


そしてブルーリヴァーの夜空には、

遠く炎の大地の方向から赤い閃光が走る。


――レオン(ノエル)一行が、

“炎の聖樹イグニア”へと踏み込む刻だった。


いつもありがとうございます。また明日更新します。次回、火山道・影巨兵との激突 ― “第二の脈動”

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