帝国軍前線基地〈火霊砦カガチ〉― 作戦会議室
緊急着陸から一夜。
帝国軍・レオン一行・ミュリオは、重厚な鉄の会議卓を囲んでいた。
壁に映る地図には、
炎の聖樹イグニア、火山地帯、虚界の侵食線 が赤黒く描かれている。
静寂を破ったのは――セリオの悲鳴だった。
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セリオ
「ひ、ひぃぃぃっ……!!
ダ、ダメです!! とんでもないのが来ますぅ!!
十二魔導将が……三体っ!!
し、しかも、その配下の虚界兵が、も、もう“大軍勢”でぇぇ!!」
アリア
「セリオ、落ち着いて。どの魔導将……?」
セリオ(涙目で)
「まず……
第三位《災炎執行者》バルグ=レメル!!!
“炎の聖樹”専門の破壊魔族ですぅ!!
全身が灼熱の災害みたいなやつですぅぅ!!」
アリア
「……最悪ね」
セリオ
「次が……
第八位《影喰の君》ヴェル=オルグ!!!
ミュリオさんから聞いたレイブンさんたちが戦ったやつですぅぅ!!
前より強くなってる気配がしますぅぅ!!」
ミュリオ
「ヴェル=オルグ……!?」
セリオ
「そ、それからぁぁ!!
第九位《凍哭の魔術帝》イスカリオス!!!
氷の聖樹でレオン様たちを相手に――
(涙)あの人
今度は炎の地で冷却乱流とか起こしてきますぅ!!」
アリア
「十二魔導将3体同時……本当に来るのね」
セリオ
「ぜったい来ますぅぅ!!
ボク、もう帰りたいですぅぅぅ!!」
イリナ
「セリオ、ナイス情報だヨ! これで準備できるしね!」
クラリス
「ええ、旦那様の進路に立ちはだかるなら……粉砕あるのみですわ」
(※セリオだけ世界が違う)
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帝国軍・筆頭使節 ライゼン・ヴァルハルト卿
黒衣の魔導士 ミュゼ・ファランカ
が入室する。
ライゼン
「……状況は聞かせてもらった。
十二魔導将が三体、虚界兵の大軍を率いて進軍……
これは帝国史上最大の危機だ。」
ミュゼ
「前回の交戦で確信しました。
通常兵器の八割は、影には“通らない”。
魔導砲も同じです。」
アリア
「影には《浄化属性》……つまり、特定の波長の魔力でなければ通りません」
ライゼンが深く息を吐いた。
ライゼン
「……正直、帝国軍だけでは“数分”しか持たない」
セリオ
「み、みなさん、ほんと逃げた方がいいですぅぅ!!」
イリナ
「セリオ落ち着けヨ。泣きすぎて逆に強そうだよ?」
クラリス
「旦那様の前で醜態さらすのはやめてくださいまし……」
レオンは静かに口を開く。
レオン
「帝国軍を守るのも、我々の役目だ。
ただ……時間を稼ぐための策が必要だな」
ライゼン
「その“時間稼ぎ”に関してだが――
錬金術師ミュリオ殿。何か手はあるか?」
視線がミュリオへ集まる。
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ミュリオは眼鏡を押し上げ、
机に何かをゴトンと置いた。
――黒と白の二層に分かれた瓶。
ミュゼ
「これは……?」
ミュリオ
「《ルミナ・レジスト》だ。
水の聖樹で見つかった“浄化波長”の数値を完全再現はできない。
だが――
“5秒だけ影を拒絶できる膜” を作れる。」
全員
「5秒!?!?」
ミュリオ
「いや、それでいいんだ。
《5秒×帝国兵1000人》なら、軽く一分は稼げる。
その間に――」
アリアが瞳を輝かせた。
アリア
「レオン様たちが十二魔導将を各個撃破する……!」
レオン
「十分だ。後は我々がやる」
クラリス
「旦那様の前に影が残っているのが間違いですわ」
イリナ
「ヨシ! 全部まとめてブッ飛ばそ!」
ライゼンは深く頷いた。
ライゼン
「帝国軍も全力で協力しよう。
ミュリオ殿、必要な素材は?」
ミュリオ
「火霊石の“未精製核”が必要だが……
帝国軍なら持ってるだろ?」
ミュゼ
「……まさかここでそれを使うことになるとはね」
全員が立ち上がる。
ついに――
帝国軍 × レオン一行 × ミュリオ錬金術
三つ巴の対影作戦が動き始める!
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セリオ
「ひぃ……本当に来ちゃいますよ……
十二魔導将3体……虚界兵の軍勢……
あああああああボク絶対死ぬぅぅぅ!!」
イリナ
「だいじょーぶ! セリオの後ろに我々がいるヨ!」
クラリス
「旦那様の陰で泣くのは許しませんわよ?」
レオン
「セリオ、安心しろ。“守る”」
セリオ
「レオン様ぁぁぁぁ!!(泣)」
(※守られているのは誰なのか不明)
いつもありがとうございます。また明日更新します。次回、帝国軍総出撃 ― 火山道への大行軍




