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不死王レオンとアルヴィス王国物語  作者: スガヒロ
第三章

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帝国首都ヴァルハイド・飛行滑空艇格納庫前

――夜明け前の赤い霧が、格納庫の鉄骨を照らしていた。

レオン一行は、整備された巨大な滑空艇の前で待機していた。


アリアとミュリオは、すでに滑空艇の魔導機関部を覗き込んでいる。


アリア

「……この“火魔石→風魔石”の二段階推進。

 前より安定してるわね。」


ミュリオ

「だろ? あとは、共鳴律がちょい不安定だけど……

 もう少し魔方陣を詰めれば、推進効率は二割は上がるぞ。」


アリア

(うなずく)

「魔導陣を“円環構造”にすれば、炎力の暴走を抑えられるはずです。

 帝国式は直線設計だから――熱流が偏ってる。」


ミュリオ

「真面目に天才だな、お前……!」


アリア

「あなたもです。」


セリオ(遠くから)

「も、もう天才どうしの会話が高度すぎて……耳が燃えますぅ……!」


イリナ

「アハハッ! セリオの頭から湯気でてるヨ!」


クラリス

「イリナさん……声……大きすぎます。」


――その時。


鉄扉が開き、赤い装束をまとった二人の姿が歩み寄る。


帝国使節団・筆頭

ライゼン・ヴァルハルト卿


帝国魔導士団・第一席候補

ミュゼ・ファランカ


ライゼンは鋭い金の瞳でレオン一行を見渡し、静かに告げた。


ライゼン

「ノエル殿――帝国軍議より正式決定が下った。

 “炎の聖樹イグニア周辺の火山道”へ向かう。

 帝国軍が先行し、君たちは監視のもと同行する。」


ノエル(レオン)

「了解した。」


クラリス

「“監視下”とは……相変わらずですわね。」


イリナ

「でも! 一緒に戦えるなら問題ナッシングだヨ!」


ミュゼがイリナをじろりと見る。


ミュゼ

「……あなた、王国の七星騎士団でしょう。

 どうせ前に飛び出して勝手な真似をするつもりじゃないでしょうね?」


イリナ

「えー? やる時はやるけど、やらない時はやらないヨ?」


クラリス

「それ、まったく答えになってませんわ。」


アリア(苦笑)

「……やっぱり騎士団の人達って、目立つわね。」


ミュリオ

「はは、まあ……イリナらしくていいんじゃないか。」


ライゼンはノエルに近づき、低い声で続ける。


ライゼン

「帝国軍は新兵器《火導砲イグニ=ゼル》を準備している。

 影対策の主力は我々が担う。

 君たちは後方から状況を見守ってもらう。――それが条件だ。」


ノエル

「……わかった。」


ライゼンはレオン一行を前に、深く息をついた。


「――影に通常兵器が通用しないことは、我々も承知している。」


背後の地図には、黒く染まった“影汚染域”が描かれている。


「前回の戦闘で分かったのは……

 剣でも魔法でも、影は“本体”を断たねば再生する。

 ――つまり殲滅はほぼ不可能だ。」


クラリスが眉を寄せる。


「では、帝国はどう戦うつもりなのです?」


ライゼンは部下に合図し、覆布を外させた。


ごう、と熱風が漏れる。


巨大兵器――

帝国最新式の《火導砲イグニ=ゼル》。


ミュゼが補足する。


「これは“倒す武器”ではありません。

 影の進行を“押し返し足止めする”ための兵器です。」


ライゼンが続ける。


「……はっきり言おう。

 我々帝国軍は、影の“核”を破壊する術を持たない。」


アリアが頷く。


「影核さえ破壊できれば……全ての影は消えるのに。」


ライゼンはレオンとクラリス、そしてイリナの武具を見た。


「君たちの武器は、影を貫き、再生させずに“消滅”させる……。

 そして氷竜の加護を受けている。

 本来なら前線に立ってほしいところだ。」


しかし、彼はそこで言葉を区切る。


「だが、帝国は他国の戦力に全軍の命運を預けるわけにはいかん。

 ――だからこそ、我々が前衛。君たちは“核”の位置を探る後衛。」


イリナが目を丸くする。


「えっ、後衛!?」


クラリスは冷静に問い返す。


「理由を、伺ってもよろしいですか?」


ライゼンの答えは現実的で残酷だった。


「核の破壊は、君たちのような“特異戦力”以外には不可能だ。

 だが、その戦力を前に出して失えば……

 影を止められる存在が、いなくなる。」


沈黙。


レオンは静かに頷いた。


「……確かに、核を断つ者が倒れれば意味がないな。」


ミュゼが続ける。


「《イグニ=ゼル》で影の軍勢を抑える。

 あなた方は、その隙に“核の位置”を鑑定し、撃つ。

 ――それが勝利の最短ルートです。」


アリアは唇を引き結んだ。


「なるほど……理にかなってるわ。」


セリオが不安げに手を挙げた。


「あ、あの……

 そもそも“核”の場所って、分かるんですかぁ?」


アリアの瞳が金色に光る。


「私が探す。“影の根”の流れを追えば必ず見つかるわ。」


レオンは剣の柄に手を添え、静かに言った。


「分かった。

 ――我々は核を断つ役目、確かに引き受けよう。」


イリナが槍を構え、にやりと笑う。


「じゃー後衛でも前衛でも、やる事は同じだネ!」


クラリスも微笑む。


「ええ。旦那様をお守りしつつ……

 影の核を必ず断ちますわ。」


ライゼンはうなずいた。


「頼りにしている。“ノエル殿”。」


いつもありがとうございます。また明日更新します。次回、セリオの超予言炸裂

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