緊急着陸 ― 火裂谷キャンプ、灼熱の前線へ
〈帝国領上空・ヴァーミリオン・ウィング〉
セリオの震える声が、甲板全体に緊張を走らせていた。
「き、来ます……! 上……真上です……っ!」
アリアが風の魔力流を解析し、即座に叫ぶ。
「――影の乱流、突入! 高度維持不能!」
ミュゼが魔導陣を展開する。
「滑空艇、制御系が死んだわ! 風石の揚力が飲まれていく!」
ライゼン: 「全員、衝撃に備えろ!
帝国軍式・緊急降下手順へ移行する!」
船体が激しく揺れ、
空気が悲鳴のようにうなりを上げる。
セリオ: 「ひぃぃぃいいッッ!! ボクの命落ちていきますぅぅぅ!!」
イリナ(妙に楽しそう): 「きたきたきたーー! 最高級のスリルじゃんコレ!」
クラリス(静かに怒): 「イリナさんは黙って手すりを掴んでくださいまし!!!」
レオン(ノエルの声で落ち着いて): 「全員、前傾姿勢。重心を船体中央へ。――大丈夫だ、落ち着け。」
その声だけで、揺れる跳ねる鼓動がスッと整う。
(不死王と知らずとも、人々は“命を預けられる声”だと感じる)
ミュリオ: 「着地点、確保します! あそこなら……!」
アリア: 「火裂谷の外縁! 岩盤が厚い! いける!」
ライゼン: 「操舵ッ!! 下降!!」
――ズドォオォン!!
滑空艇は炎の大地に火花を散らしながら滑り込んだ。 砂と石と熱風が舞い上がり、甲板に響く金属の悲鳴。
やがて、止まった。
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〈帝国領・火裂谷外縁前線地帯〉
岩と鉄杭で囲まれた半ば軍事砦の野営地。
火山灰の匂いと鋼鉄の焼ける音。
ここは“炎の聖樹イグニア”を臨む 帝国前線拠点。
帝国将校たちが駆け寄る。
「ライゼン卿!ご無事でしたか!」
「滑空艇は……?」 「修理可能だ。ただし飛べる保証はない。」
ミュゼが状況報告を簡潔に述べる。
「空に“影の乱流”。虚界の干渉は、すでに臨界に近い。」
将校たちの表情が一斉に強張る。
レオン(ノエルとして): 「影の侵食は地上へも近いということか。」
ライゼンは深く頷く。
「……ここから先は帝国領深部。
我々が先導するが、行動は“監視下”で行ってもらう。」
(以前の条件を、再び強調。)
イリナ(くだけた口調): 「へーいへーい、監視ね監視。
サボらないから安心してヨ?」
クラリス(遠慮なく釘を刺す): 「イリナさん。やる気と失礼は別物ですわ。」
イリナ: 「ほら出た、クラリス節~♪」
(火花、バチバチ)
セリオは既に地面に座り込んでいた。
「ボク、空もダメ……火山もダメ……人生キツい……」
カイルは背中を支え、真剣な声。
「生きろ。」
レオンは火山の中心、赤黒い煙が上る方向を見つめる。
「……あの奥に、“炎の聖樹イグニア”がある。」
アリアが小さく頷く。
「ええ。揺らいでる。
氷とは違う――燃えながら“壊れようとしている”鼓動。」
ミュリオ(唇を噛みながら): 「レイブンさんなら……こう言うはずだ。
“立ち止まるな”って。」
レオンが振り返り、静かに答える。
「なら、進むだけだ。」
ライゼン: 「明朝、前線第二層へ向かう。
全員、休息と準備を整えろ。」
炎の大地に、夜が落ち始める。
いつもありがとうございます。また明日更新します。次回、夜の囁き ― 焦熱の大地で揺らぐ影




