影の執行者、初対峙 ― 三位の光、影を裂く
〈帝国南境・火の谷前線地帯〉
地熱が唸り、赤い風が吹き荒れる。
セリオが叫ぶ。
「き、来ます来ます来ます!!
ヤバいやつ!! 前に山2つくらい越えてますぅぅ!!!」
アリアの瞳が金色に輝き、瘴気の流れを視る。
「……来たわ。“影の執行者”エンクレイブ。
虚界兵を引き連えてる。数は十……いや、十二体。」
黒い炎にも似た影が地を這い、
その中心から、白い仮面の存在が歩み出た。
影の執行者
> 『……新たなる光。
虚界の計算には存在しない“誤差”。
――興味深い。』
ノエルは一歩、前へ。
「誤差で構わん。ここで断つ。」
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アリア、手を翳し呪文を紡ぐ。
「鑑定――《真視オラクル》」
光が走り、構造が解析される。
「エンクレイブの核は“背骨中央から頚椎部”に走る影脈。
前回と同じく――清浄炎セラ・フレアでのみ再生阻害可能。」
セリオ(震えながらも聞き取る) 「つ、つまりっ!! また背骨沿いにぶっ刺さなきゃいけないんですねぇぇ!!?」
アリア、さらに続ける。
「それだけじゃないわ。
この個体――“冷却反応”に弱い。
氷紋と相性が悪い。」
クラリスの瞳が鋭く光る。
「つまり――私たちの加護は、“天敵”ですね。」
イリナが満面の笑み。
「勝った!!!!(※まだ戦ってない)」
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虚界兵が一斉に襲いかかる。
ノエルは剣を抜き、ただ一言。
「行く。」
瞬間、空気が変わる。
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赤炎の奔流を踏み抜き、一直線にエンクレイブへ。
剣閃が、影を断ち割る。
エンクレイブは初めて“避ける”ように動いた。
> 『……速度差。
解析不能。』
ノエル 「理解できなくて構わん。」
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影兵に囲まれるが――
「戯れは不要ですわ。」
氷華剣舞
刃が氷光の花弁を描き、
影兵十体が“無音”で崩れ落ちる。
クラリス(微笑) 「旦那様の背に影など触れさせません。」
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「よっしゃぁ!! 星、全開いっくよーー!!!」
星槍が流星光を纏う。
「天砕槍――《ステラ・ジャベリン》!!!」
放たれた槍光は
虚界兵ごと地形を真っ直ぐ貫通した。
セリオ 「ひっ……ひとりだけ戦場ルール違う……!」
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アリア 「今!! 首の根元“影脈”露出!!」
ノエル、クラリス、イリナ
同時に駆ける。
時間が“引き延ばされたように”静かになる。
ノエルの炎刃
+ クラリスの氷紋
+ イリナの星光突き
三つの属性が 一点で重なる。
「――斬ッ。」
ズガァァァァン!!!
影の核が、完全に断ち割られた。
エンクレイブが初めて苦痛を滲ませる。
> 『……不完全なる光が……
完全なる影を……上回る……だと……』
ノエルは静かに答える。
「光も闇も、ただ“そこにある”だけだ。
お前たちが奪おうとしなければ――ただ共に在れた。」
> 『理解不能……人間は……なぜそこまで……』
「“守りたいものがある”からだ。」
影の執行者は霧散した。
黒い残滓が風に溶けて消えていく。
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帝国兵、呆然。
イリナ 「ね!? ノエル様すっごいでしょ!!」
クラリス(勝利の微笑) 「ええ。旦那様は“世界で一番強い”のです。」
セリオ(泣) 「ぼくもう寿命20年縮みましたぁぁ!!」
アリア(深く息を吐く) 「……でも、今のは“始まり”よ。」
ノエルは空の向こう――
炎の聖樹の揺らぎを見据えた。
いつもありがとうございます。また明日更新します。次回、紅蓮の宮廷 — 皇女アメリアとの謁見




