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加齢臭と転移する竜 (内容まとめ:おっさんが異世界に終活をしに行く話なのですが、なぜか『ほのぼの』と言われています)  作者: 黒長 二郎太
37章.神殿再建(2)

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37-27.[異世界側のお話です]妻の形見を持たせる(4)

挿絵(By みてみん)


兵たちの間では、翌日の朝食の時点では既にトルテラが戻ってくるような話が広まっていた。


昨日のことは、緊急性の高い最重要情報として、有力者の耳には夜のうちに届き、

午前中からエスティアの元に城下町の有力者が詰めかけた。


エスティアは、今日また、さらに読めるものが無いか再度調べる約束をしていたが、このままでは、自分抜きで、石の調査がはじまってしまうかもしれないと思う。

エスティアは、仲間外れにされたくないので、大雑把な説明だけして、客人たちを追い返そうと頑張る。

”すぐに戻ってくると決まったわけではない”という話をしようとしているのに、見るからに既にトルテラが戻るつもりでいっぱいの女達がここにも居る。


事情をよく知らない町の人達だけではなく、事情を知っているはずのテーラとアイスもトルテラが戻ると思っていて、既に浮かれているのだ。

これを見たら、トルテラが戻ってくると思う人が居ても仕方がない……のだが、エスティアたちは、当然そんな話はしていない。


エスティアたちは、見たものを()()()()()()()、あの場に居なかった3人に説明した。

()()()()()()()()()()()……はずだったが、まともに伝わっていなかった。


エスティアたちは3人に”トルテラが戻ることが確定した”という話をした……のではない。

”何かが足りないから、それを調べさせる為に、

毛を生やして、それを伝えたのではないかと考えている”

ということを話した。


……はずなのだが、ある程度まともに伝わったのはルルだけで、

アイスは”帰ってくることが確定した”と思っているし、テーラは元々、

”トルテラは自分のところに戻ってくる”と考えている。


そんな姿が目撃されているので、町の人々もトルテラが戻ると思い込んでいる。

いつも、こんな感じだ。


もちろん、義務だと思って話しただけで、話が通じることに期待していなかったが。

※ルルさんは、そこそこまともに理解してます!


……………………


「あとどのくらいで戻ってこられますか?」、

「トルテラ様は、今どのあたりにいらっしゃるのですか」


あと何日で戻るか聞かれたところで、エスティアに答えることはできないのだが、

町の人々はエスティアなら知っていると思っている。


「だから、それはまだわからなくて、これから詳しく調べようとしてるから」


……………………


なんとか振り切って、3人で石の続きを読む。

おそらく、あと一押し必要なのだ。


=========

※なんとか無事説得して、有力者の方々には帰ってもらいました。


「まだ始まってなければ良いけど」

そんなことを口にしつつ、すぐにリナたちのもとへと向かう。

※家の中なので大した距離じゃないです。


リナとリーディアは、待っていてくれたようだ。

「無事来られたか。

 しばらく待っても来ないようだったら、どうしようかと話していたところだ」


「ごめん、間に合ってよかった。ダジリー達が、、、」

※ダジリーさんは、聖なる井戸管理の代表者です。

 元は聖なるトイレの管理者だったので、基本はおっさん目当ての人です。

 おっさんは拒否していますが、ダジリーさん達は、おっさんを神様だと

 思って信仰しています。

 でも、おっさんは神様の仲間なので、信仰されても仕方ありません。


「わかっている。もう町の連中はトルテラが戻ってくると思っているからな」


わざわざエスティアが言い訳せずとも、リーディアとリナは理解している。


さっそく作業を始める。


石を読むというのは、手順が正しければうまくいくというものではない。

なので、読みたいものが読めるとは限らないのだが、

少なくともエスティアは”今日何かが起きるだろう”と考えていた。


トルテラに関する出来事には、何か法則性があって、今日は”何かが起きる日”

なのではないかと思えたのだ。

※つまり、今日起きると思ったのは単なる勘ですね!


……………………

……………………


3人であれこれ試すが、なぜかダルガンイストに追われて逃げ回っていた時の記憶が読めた。


「これって勇者鎧の洞窟に籠ってたときの?」

「私も見えた」


勇者鎧の洞窟。もうずいぶん昔の話になってしまったように思える。

現在リーディアが大切に使っている鎧は、トルテラから譲り受けたものだ。


※リーディアさんは鎧を凄く荒っぽく使っていますが、大切にしています。

 どうせ壊れませんし、リーディアさんにとっては愛用していることと

 大切にしていることは、かなり近い感覚です。


勇者の鎧が隠された洞窟の扉を開けられるのはトルテラだけだ。

そして、トルテラが同行する相手としてリーディアを選んだ。


リーディアは自分には相応しくないと思ったから、勇者の鎧を辞退したが、トルテラはリーディアに相応しいと言って、勇者の鎧をリーディアに授けてくれた。


※おっさんは、伝説級の鎧を恐れて、誰かに押し付けたいと思っていただけです。

 でも、授けたのは事実です。”6-7.勇者の鎧(後編)”参照


リーディアはあのとき、トルテラのために生きようと誓った。



そしてあっさり軍を辞めてトルテラのところに来た。

リーディアは簡単にやめれるような立場ではなかったので軍は混乱した。


そして、何故かリーディアがダルガンイストに喧嘩を売った。


今見えているのが、リーディアが軍に喧嘩売ったせいでダルガンイストに追われた時の記憶だ。


「なんで、今これが読めるのだ?」


なぜ今これが読めるのかは謎だが、今読めることに意味がある可能性がある。

そして読みたいと思っていた重要な場面でもあった。


エスティアとリナは、あのときは、大変なことになったと思いつつも、トルテラと一緒にどこかに逃げるのは、さほど嫌ではなかった。

城下町のサークルを捨てるのは残念ではあったが、そもそも今城下町があるこの場所は、トルテラが潜伏するために滞在していた場所だ。ずっと住み続けるつもりだったわけではない。


居場所がバレてしまえば、別の場所に移動する可能性は考えていた。


ただ、リーディアのことは正直迷惑に思っていた。

この一連の事件の中で、実は信頼できる人物であることを知り、仲間に加えることを決断するのだが、今見えている記憶は、それ以前の部分だった。

エスティアやリナがリーディアを良く思っていなかったことは、リーディアにも読めたはずだ。


エスティアは、少し気まずいと思ったが、リナはそうでも無かったのか、

普通に話をする。


「ああ、珍しくトルテラが怒っていたのは、”私たちを巻き込んだ”からか。

 リーディアに対しては、それほど怒ってなかったんだな」


これは同じ記憶を読んでリーディアにも感じられた。

トルテラの怒りは、ダルガンイストに向いていた。


「ああ(肯定の意味)、私はもっと恨まれても不思議はないと思っていた。

 だから、当時から違和感は有った。心の広い方だ……」

いきなり、リーディアは涙を流す。


「ちょっと休憩にしましょうか」


……………………


リーディアが泣いた理由はわかった。

あのときのリーディアの行動はエスティアとリナからは謎に満ちており理解できなかった。

軍に対してわざわざ喧嘩を売るというのは正気とは思えない。


これは石の記憶でも読まない限り、リーディアの思考は理解し辛い。


リーディアはトルテラを本物の勇者であり神であると考えていたから、あのように行動した。


結果として自分がトルテラに嫌われたとしても、そうしなければならないと考えていた。

だから、嫌われるだろうと思いつつもやったことだった。


だが、実際はトルテラの怒りはリーディアにはあまり向かなかった。

その理由がわかった。


トルテラは、相当リーディアには腹を立てていたが、自分がリーディアを選んだ都合文句が言いづらい。

トルテラは自分の選択で自分が不幸になるのは仕方がないと思っていた。

リーディアが自分の選択で不幸になるのも仕方がないと思っていた。

だが、エスティアやリナたちが巻き添えになるのが嫌だった。


エスティアやリナ、テーラ、アイスを巻き込んだのはリーディアだった。

リーディア自身、それには自覚があり、いざというときは、リーディアが犠牲になるつもりだったが、トルテラは、今更このタイミングで言い出しても無駄だと考えていたこと、結果としてはリーディアを見捨てる気が無かった(意味が無い、効果が無いから)ことがわかった。


トルテラは、リーディアを見捨てる気はなかった。

その理由は、今更リーディアを差し出しても意味が無いからではあるが、おそらく、差し出せば全て解決となる場面でも、トルテラがリーディアを見捨てることは無かっただろう。

結局、トルテラがリーディアを選んだ瞬間から、リーディアを見捨てることはできないのだ。


リーディアは、以前からそんな気はしていたが、改めて理解して涙が出た。


結果、リーディアが引き起こした騒動の怒りの矛先はダルガンイストに向いた。

八つ当たりに近い。


大量の兵が押し寄せるが、軍事作戦として無謀なことはトルテラには簡単に理解できた。

トルテラは軍事に詳しくは無いが、兵が出撃すれば金がかかる。

その程度の経済的なセンスは持っていた。


どう考えても、まるでコストに見合わない。

数人を捕まえるために全軍で出て、その予算はどこから出るのか。

※演習費です。なので何日ももちません。


ダルガンイスト側の立場で考えれば、どう考えても費用に見合わないので、この体制を維持できる期間は短く、相手の戦意が挫ければより短くなる。


リーディアもこの規模を維持できる期間は極めて短いことをトルテラに伝えていた。

士気が低いこともわかっていたので、相手のやる気を下げようとした。


リーディアもトルテラも兵たちから人気があった。

英雄と言えるような人物を、よくわからない理由で追い立てる作戦で士気が上がるわけがない。


数が多いだけでやる気も物資も足りていない。

トルテラは、さらにやる気を下げてやろうと思っただけだった。


士気を下げるというのは建前で、本当の理由は八つ当ただったのかもしれない。

トルテラはあの人数相手に真正面から当たる気はなかった。


そして同時に”奇襲をかけて総崩れにしてやる”とかは考えておらず、地味に嫌がらせをしてやろうと考えた。


些細な嫌がらせを日々続けて、相手を疲弊させようと考えていた。

少々混乱して士気が下がれば逃げやすくなると思った程度だった。

(逃げるだけだと延々追われるので、痛い目に遭わせて割に合わない相手だと思わせたかった)


トルテラの目的は嫌がらせ、些細な抵抗のつもりで、これから日課にしようと思っていたら初日で総崩れになってしまったことに自分で驚いた。


トルテラは、うまくいって良かったと思ったわけではなく、毎日の日課にしようと思っていた嫌がらせが一回で終わりになってしまったことを残念に感じていたようにも見えた。

※実際そんな感じです。


「なんか、ダルガンイストが総崩れになって、残念そうに見えたけど、本当にそう思っていたんだな」

「そうね。確かにトルテラはそう考えそう」


「今さらこれが見えるか……」


皆が見たかったのに、まともな目撃情報が得られなかった貴重な場面だった。

エスティアもリナもリーディアも洞窟に隠れていたので見ていない。

だから、石から読むこともできないと思っていた場面だった。


エスティアは、このときのことを訊かれることが多いわりに、”実際に見ていない”と言うとガッカリされることが多かった。

ずっと見たいと思っていた場面だ。

※ハスクバハル行きでも聞かれて、説明出来ず残念な思いをしています


そのシーンが見えたのだ。


見えたものはトルテラの自己申告通りだった。

まあ、トルテラ視点なので、そう見えるというのもあると思うが。


トルテラは走り回って混乱させただけで、兵とはほとんど戦っていない。

少数の兵がトルテラの存在に気付いたが、組織的な反撃は無かった。

まあ、当時エスティアたちが知っていたよりも、トルテラは走るのが異様に早く、兵は追いつけなかった。

反撃をしなかったわけではない。追いつけなかったのだ。


その移動速度を除けば、トルテラ本人が自分で言っていた通りだった。

そして、石の記憶には竜はどこにも存在しない。


だが、兵は竜を見て恐れて逃げた。


「聞いていた話と完全に同じだな」

「ああ、実際のトルテラの行動を見ても聞いていた内容と同じだった」

「あの速度で走るって、当時、私も知らなかった。あの頃から速かったのね」


「それは私も思った。尻尾が生える前からあんなに速かったのだな」


「はじめから敵の本陣を狙って混乱を起こすつもりがあったわけではなく、

 兵を殺すことは避けたいので物資に火をつけて回った。

 あんなに離れたものでも燃やせるのであれば、相手は防ぎようがないだろう」


いつもは危ないので使えないものだが、

燃やすことが目的であれば、トルテラの点火は非常に使い勝手が良かった。


ダルガンイストの軍勢は、あの点火を見たことが無いので、竜が火を噴いたと思った。

※竜は火など噴きません。

 人間も火を噴かないのが普通なので、おっさんの攻撃は、

 人外の何か(竜)がやったように見えただけです


ただし、竜の姿はユーリとゼストも見ている。


「トルテラが居なくても竜が目撃されることが有るんだよな」

「ハスクバハルでも竜が目撃されたと聞く」

「私結局、一番大きな竜は実物を1回見ただけなのよね」


「私も見たのは実体だけだが、エスティアが居る場所に出ている。

 ハスクバハルで出た時は、エスティアしか居ない時だ」


「私に見えないんじゃ意味無いじゃない」


とエスティアは言ったが、リーディアはそんなことは無いと思った。

竜はいつもエスティアがいる場所で目撃される。

エスティアがいない場所で目撃されるのは珍しい。


----


「不思議だな。

 トルテラは以前は死んでも構わないと思っていることが多かった。

 この時は、自分が死ぬとは思っていないようだ。

 いつ変わったのだろう?

 あの人数を相手にしても死ぬ心配をする必要はないと思っていたのだろうか?」

※単に、巨人戦の後、自分は簡単には死なない生き物だと気付いただけです。


「トルテラは、あの人数相手にまともに戦う気はなかったように見えた」


「ああ、それは私にもそう見えたが、以前のトルテラなら、

 死んでも構わないと思って挑んでいた」


「それは、リナたちを安全に逃がすためには、あの時点で死ぬわけには行かないからだろう」

「確かにそうね。トルテラが犠牲になって食い止めても、いつか捕まってしまうと思う」

「トルテラが死んでも構わないと思うのは、身代わりになれば誰かが助かる場合に

 限られるというわけだな」


「そう考えると納得できる」


----


「それにしても、3人ともに見ていない場面が見えたのはおもしろいな」

「これだけでも十分価値があった」


この記憶が読めたのは大きな成果だった。

でも、読みたかったのはコレではないのだ。


「でも、調べたかったのはコレじゃないのよね」

リナとリーディアは苦笑いする。


良いシーンは見られたものの、どうすればトルテラが戻るのかにつながる情報が見えない。

「見たい場面を探すのは難しいのね」


それがフラグになったのか、気を抜くと急に見えた。


………………………

………………………


「(俺が)どうやって死んだか、知ってるか?」


『妻に、死ぬ許可を貰いました』


「それは、ここでの話だろ」

『妻が良いと言うまで、お父さんは死ぬことができません』

「それは、神様の話じゃないのか?」

『お父さんは神様です』

「で、妻は死んで良いって言ったのか?」

『わかりませんが、お父さんは、妻が幸せにならないと、死ぬことができません』


………………………

………………………

※このシーンは過去に書かれたシーンが読めています。

 気になる方は”26-4.異世界から来た竜の娘(1)”参照


----


「今のは?」


「オーテルとトルテラが話をしているところだ」

リナがあっさり答える。


リナは、オーテルとトルテラが会話しているシーンを見たことがあるので、すぐに見当が付いた。


----


「オーテルは見えなかったが、どこにいた?」


リナは見たことがあったが、リナ以外は見ていないシーンなので、当然そう思うだろう。

実は、話をしているのに、オーテルは実体が無い。


「話はできるが、体は無かったようだ」

「体はどこに?」


リナはすぐに理解できたが、今のシーンを見ただけでは理解できないようだ。

そうであっても仕方ないように思える。

リナが見たままを伝える。


「体は無かった。精神だけが存在しているように見えた」


「声だけ聞こえたの?」

「そうだな。姿は見えないが会話はできたようだ」


「声では無いのかしら?」


厳密に言えば、声ではない。

体が無ければ声は出せない。

リナが声と表現したのは、言葉を伝える手段が存在するという意味であって、

音で言葉を伝えるという意味ではない。


エスティアに理解できるように伝えるとしたら、こうなるだろうか。

「おそらくは、テーラがグリアノスと話をしているときと似たようなものなのだろう」


「ああ、そんな感じみたいに見えた」


エスティアは納得したようだ。


----


「これは、オーテルがトルテラを呼びに行った時の記憶だな。

 前にエスティアが話してくれた場面だろ?」


「ええ。ヨコハマの女が言ってた」


ヨコハマの女は、神様はいつか手放さなければならないという前提で、

エスティアに返すと言った。


「妻たちって……」


「私たちのことだと思う」


「死ぬ許可……なるほど。それを出すまでは、死なないということだな」


「え? ええ、そういうことになると思う」


「リナ、安心して呼び戻せるぞ。

 戻ってきてすぐに死ぬことは無いのだからな。

 許可を出すまで死なないのだから」


リーディアはいつも通り、凄いプラス思考だった。

※中身は割とマイナス思考の人です。


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