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加齢臭と転移する竜 (内容まとめ:おっさんが異世界に終活をしに行く話なのですが、なぜか『ほのぼの』と言われています)  作者: 黒長 二郎太
37章.神殿再建(2)

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37-17.タカアシガニ旅行(13) フラグと今更気付いた意味

挿絵(By みてみん)


何か仕掛けがある。

俺を異世界に呼び寄せるための仕掛けを作ったやつが居る。

おそらくカギは【金髪の子】が握っている。


何故か女の子たちの年齢が揃っているのにも、何かしらの意味が有る可能性が高い。

例えば、寿命の問題で、その子たちが年を取って死ぬ前に何かを実現しなくてはならないというタイムリミットが設定されているのかもしれない。


オーテルは、俺は長生きしないと言っていたから、その子たちの寿命は問題ないはずだとは思うが、

オーテルは竜なので、オーテルの言う”長生きしない”というのは、人間から見ると十分長い時間かもしれない。


だとしたら、やはり何かしらの時間制限として女の子たちの寿命が関係あるのかもしれない。

オーテルの言っていた長生きしないというのが具体的に何年くらいなのかはわからないのだが。


長生きしないというより、どうせすぐに死ぬ的な言い方だった気がするから、凄く短いのかもしれないが。


オーテルが生まれる前に俺は死ぬ。

つまり、妊娠中に死んでるはずなのだが、竜の妊娠期間は何日くらいなのだろうか?

あの世界の竜は、胎生で哺乳類。本当に犬をでっかくしたやつだ。

おおよそ寿命に比例しているとは思うが、竜の寿命が良くわからない。

概ね人間より1桁大きいくらいだった気がする。5年とかはありそうな気がする。


「何考えこんでるのよ」


「ああ、フラグが立ったと思って」


「フラグって、前から言ってるやつ?」

「フラグ?」


フラグのことは洋子さんも知っているはずなのだが、どういうわけか、言葉だけ知っていても、概念を正しく理解してくれない。

何かが起きるための引き金のことだ。


「ああ。まあ、このタイミングで旅行すれば、何か起きるとは思ってたけど、

 今さら、このタイミングであの写真の女の子たちのことがわかるとは思わなかった」


俺は、その結果何が起きるのかわからないから心配しているのだが、洋子さんが何故か予想外の方向で調子に乗る。

「ほら、家族風呂があって良かったでしょ?」


そっちかよ! とは思うが、まあ、確かにそのとおりだ。

「まあ、結果的には……」


「なに、それ、不満でもあるの? もっと喜びなさいよ」


素直に喜べない。

こうタイミングよく何かが起きると、何かに操られているような気がするのだ。

今回のこの旅行には、俺は計画段階ではほとんど絡んでいない。


洋子さんは何かを知っていたのだろうか?


「もしかして、風呂で女の子が見えるのって知ってたのか?

 オーテルの遺言とか、石の記憶とかあるのか?」


「え? なんで?」

「どういうことですか?」


思い当たることは無いようだ。


「”俺が去る前に、家族風呂に入れ”とか、

 ”同窓会で吞み潰せ”的な遺言とかあったのかなと思って」


「そんなの無いわよ」


「じゃあ、偶然なのか」


「偶然じゃないと思ったんですか?」


なんか、タイミング的に怪しい気がするのだ。


「ああ。俺は今まで自分自身の細工に騙されて生きてきたから、

 タイミングよく何かが起きると、何か細工があったんじゃないかと疑ってしまう。

 それに、せっかく、旅行に来たっていうのに、

 長風呂で記憶探しになってしまってごめん」


「いえ、それはそれで楽しいですけど」


「そうか。それなら良いんだけどな」


「でも、良かったじゃないですか、若い女の子がいっぱいいて」


唯ちゃんも、その感覚なんだよな……俺的にはそういうのじゃないのだ。


「でもな、俺、老人扱いされて付き添いが居ないと、何もできなくて

 老人介護的な要員として付けられてる気がするんだよ」


「あー、いつも付き添い居ますね」


「やっぱり、付き添いだよな?」


唯には、親子か何かには見えるが、付き添われているのは栫井の方だった。


「えーっと……付き添い、ですね……」


「そう? あれは付き添いかしら?」、「うん、常に見張られてる感じはする」


2人が、付き添いかどうかでもめてる間に考え事をする。


……………………

……………………


俺はたぶん【テラの神様】なのだ。

青い服の子とアップで写っていた子はテラなのだと思う。

ち〇こ見る子はテラではなかったと思う。俺は異世界で何をするのだろうか?

最期は竜になって子を残す。

そうすれば俺の役目は終わって消えてしまうのだろうか?


謎なのは、あの女たちだ。

俺が【テラの神様】だとしたら、あの女の子たちと何かあるはずなのだ。

青い服の女の子は俺を探していた。返せと言っていたし、洋子さんは返すと言った。

その割に洋子さんは、俺があの女の子と会って何をするのかは知らないという中途半端な状況だ。

何が目的で俺を探していて、俺は何をすれば良いのかがわからない。


予測しにくい理由は他にもある。

写真のあった3人以外にも、少なくともあと一人【金髪の子】が居るのだ。


そして、皆高校生くらい……なのに、俺は老人扱いで、自活できれば大人な世界で俺は大人卒業扱いで、女の子たちが大人で俺の方が立場が低い。


なんで、そんな妙ちくりんな設定するかな……と思った。


「何黙りこくってるのよ。

 今は3人でお風呂入れたことに幸せを感じて」


「ああ、それに関しては、大事な思い出にするよ。

 ごめんね、唯ちゃん」


「謝らないでください。

 私にとっても、大事な思い出ですから」


唯ちゃんは、なんて優しい子なのだろう。

「それなら良かった」


「で、フラグが立つって何なの? しっぽにビーンと来たの?」

「しっぽにビーン??」

「前に酔っぱらって、尻尾がどうとかで、フラグが立ったって言ってたじゃない」


ああ、異世界に行くと思っていた時の話だ。

あのときは、フラグが立ったと思った。フラグが立てば異世界に行くと思っていた。

……だが、気付いたら自分の部屋に居た。


「あのときは、異世界に行くフラグが立ったと思った。でも行かなかった」

「今度はどうなの?」


「そうだな。少なくとも、異世界で待ってる人が居るってことが実感できた」


「写真の子が探してたのは前からわかってたでしょ」


「ああ、それはわかってはいたんだけど。

 今まで思い出せなかった記憶に、あの子たちの存在を当てはめると、

 本当に俺はあの子たちと暮らしてたんだろうと思えてな」


「異世界に行きたくなった?」


「いや、俺は異世界行かずに成仏しても良いと思ってた。

 でも、このタイミングで、今まで見えなかった付き添いの女の子が見えた。

 あれはフラグで、俺は異世界を無視して成仏することはできないってことが

 よくわかった」


栫井(かこい)は、女の子に囲まれているという話を聞いても、異世界に行きたがらない。

唯に見える光景では、栫井(かこい)はそこそこ楽しそうに見えるのに。


「異世界も楽しそうに見えましたよ」


「俺、あの世界だと、老人扱いだから」


唯は疑問に思う。

老人扱いだと、若い女の子がたくさんいても嬉しくないのだろうか?


「でも、あの子たちは栫井(かこい)さんが帰ってくるのを待ってるんですよ?」


「でもな、爺さんが戻ってくるのを待ってるってのは、

 やっぱり俺は神様役で、何かをやらされるんじゃないかと思うんだよ」


「あー」


栫井(かこい)が何を嫌がっているのかはなんとなくわかった。

唯から見ると嫌がる必要は無さそうなのに、栫井(かこい)は神様をやらされるのが嫌なのだ。

唯が見たイメージの中でも、栫井(かこい)は神様扱いされている場面がいくつかあった。


「フラグって、それだけ?」


「ああ、もう1つ」

「なに?」

「タカアシガニはカニだった……」


「そんなのがフラグなの?」


「俺が元々タカアシガニはカニだと思って食べに来てもおかしくないけど、

 今更カニだって気付くのが妙だな……と思って」


「ああ……」

「どういうこと?」


母(洋子)は何かに気付いた。

唯にはわからなかったのだ。

だが、次の言葉で理解する。

「勘違い、思い込みっていうのは、案外身近なところにもたくさんあるけど、

 気付かないだけなんてことがあるのかなって思ったんだ」


唯はこれを聞いてドキッとした。

栫井(かこい)が自分の体の秘密に気付いてしまうかもしれない。


だが、洋子が誤魔化す。

「そんなの決まってるじゃない。ジン君は神様なのに認めてないし」


「そういうのじゃないんだけどな。俺って神様に見えるのか?」

「神様には見えない」


「そうだよな。俺は尻尾が生えてから、神様だと思われてて。

 ここでも生えたら神様に見られるのかな?」


「神様なんでしょ?」


「元々日本だと、”死んだらなんでも神様”な宗教観だよな?

 俺は今でも人間のつもりでいるし、

 だからこそ、死んだ人間が生きてるのは良くないと思っている」


唯は話題を変えたい。

「そういえば、栫井(かこい)さんがただの人間だったときの日本は、

 ここと少し違うんですよね」


「ああ、何か関係あるのか?」


「痩せ薬がある国で」


「痩せ薬……うん、まあ、そんなのがあったな」


「他にも違うところはあったんですか?」


あの世界の話をしても、あんまり意味無いと思うが、何かあるのだろうか?


「けっこうあった」

そう答えると、洋子が反応する。

「そんなに違った?」


俺的には、けっこう変わっているという印象がある。


「けっこう違うところあると思う。ただ、実生活に影響無いからな」


「私は全然気にならない。影響無いから?」


そこまで影響なかった訳でもない。


「そこまで影響なかったわけでもないと思うけどな。

 2人で見に行った映画、無いだろ。

 この歴史だと結婚してないから、一緒に見に行かないけど、

 そもそも上映されてない」


「映画? どんなやつ?」


「俺が病気したあと映画見に行くようになって……病気の前か。

  ビッグバンのやつ」


「ビッグバン?

 あ! あった、ビッグバンって懐かしいわね、あったあった!」


洋子も反応しているが、唯にはさっぱりわからない。


「ビッグバン?」


「宇宙の始まり」

「??」


唯も宇宙の始まりがビッグバンと呼ばれていることは知っている。

これではビッグバンの映画があったということしかわからない。


母が続けてしゃべるので、ひとまずは聞きに徹する。


「何て言うんだっけ、あの、隣の宇宙に行ったやつ?」


「おお! そうか、先にあったのが隣に行くやつか」


唯にはさっぱり状況がわからない。


「ええ? ぜんぜんわからないんですけど」


「ごめんごめん、ビッグバンが過去に複数起きている可能性が高いって

 騒ぎになったことがあって」


「騒ぎになると?」


「そういうネタがあると、それを題材にした作品が増えるんだよ」


言ってることが何となくわかってきた。

ビッグバンが話題になって、便乗作品がいくつか出た。

「ああ、そういうことですか」


「あれなんて言ったっけ?」

「隣に行くやつなら”そらの向こう側”だな。俺も忘れてた。

 地球を追い出されたある集団が、楽園を求め移民する話だ」


「ああ、追い出されたんだっけ」


----


光速を超える技術が見つかったが、この宇宙自体が古くなってきたから新しい宇宙に移動するという話。

人間の寿命と宇宙の寿命を考えたら、あり得ない話だが、そんな設定だった。

宇宙が古くて困るほど人間は長生きしない。そう遠くないうちに滅びる可能性が高い。


単に別のビッグ・バン由来の宇宙が存在する話を書きたかったのだろう。

確か、ベースになったのは1冊の本で、それを膨らませて作られたものなので色々無理がある。


……………………


その本が書かれる原因となったのは、ビッグバンが複数存在する可能性があるという研究結果だった。

俺は、本が書かれるより前に、そのネタはネットで見たと思う。


地球が含まれる銀河の由来となっているビッグバンと別のビッグバン由来の宇宙が存在する可能性を示唆する証拠が見つかった。


隣のビッグバンなんて呼ばれていた。

そんなに有名な話ではなかったが、隣のビッグバンを題材にした作品が世に出るようになって徐々に知られるようになった。

1本ヒットすると、二匹目のどじょうという感じで、ビッグバンを絡めたものがいくつも出る。


元の話は、我々の銀河が形成される元となったビッグバンとは異なるビッグバンが発生していた可能性を示唆する何かが見つかった……なので、ほぼ無いに近かったのだが、逆に、大量に存在しすぎて検出できない説も出てきた。


”二重宇宙”という作品の方が有名だった。

二重宇宙のなんたらという名だったが、略称の二重宇宙だけ覚えている。


探検隊なんだけど、探検という名の事実上の追放。

そらの向こう側”と設定が似ている。

そらの向こう側”では一切触れられない減速に必要な燃料についても触れられるが、燃料は無いので止まれない。理由がついただけで”そらの向こう側”とあんまり変わらない。


船内で、ある程度時が流れると宇宙の端まで到達する。

あれは光速に近いので船内はほぼ時間が止まった状態で宇宙の端まで到達できてしまうという設定だった。


宇宙の端まで行くと、原子が崩壊してしまうという設定で、いつかは宇宙船ごと崩壊してしまう運命にあるという話なのだが、いつまで経っても宇宙船は崩壊しなかった。

実は、隣の宇宙に到達してしまった。

ただ、最期の日を迎えるつもりが新しい世界にやってきた!というハッピーエンドを迎える。


ただし、減速する方法が無いままで、その先どうなるのかはわからないまま終わるのだが。


似たような話はたくさんあって結局、隣の宇宙に辿り着く。

ビッグバンはいつでもどこででも発生する可能性があるとすると、もっと派手な設定に変化していく。

酷いのになると銀河系と重なる形でビッグバンが発生して、追いつかれないように延々逃げる話とか。


アニメも当然その影響を受けたが、国産モノはリアル寄りで、隣の宇宙には行かないけど、危機を前にして、何故か戦いを繰り返して人間は愚かな生き物であることを再確認する話が多かった。

まあ、現実でも戦争繰り返すし、隣の宇宙まで行くとリアリティーに欠ける。


宇宙の端やら、隣のビッグバン由来の宇宙やら、距離も時間も人間が体感できるレベルと桁が違うので、リアル寄りにするとそんなに遠くまでは行かない。


隣の宇宙まで飛んでいくのは初期の頃のやつで、しばらくすると、いきなり隣の宇宙と行き来できる門ができて、そこを行き来する話に変わっていった。


「なんでも隣のビッグバンで飽きるほどあった」


「なんで、そんなに違うんですか?」

「何が?」


「ほとんど変わらない世界なんですよね?

 そんなに変える必要あるのかな?って思って」


「いや、なんでだろう? 俺にもわからないけど、

 俺が、違う世界に来てしまったことに気付くためじゃないかと思ってる」


唯は、そんなことのために、上映される映画にまで影響が出るのは妙に思えた。


「そんなことのために?」


栫井(かこい)には仮説があった。

生活に不便が無いところを選んで変えてある。

実害を受ける人が少なく、栫井(かこい)は差に気付くようにしてあるのではないかと考えていた。

塩の天動説以外は。


「生活するうえで影響が少ないのに、

 俺が興味持ったものがいくつか消えてるから、妙に思える」


「もしかしたら、異世界がそのビッグバンがどうとかいうやつと関係あるんじゃないですか?」


俺は直接の関係は無いと思っていた。

俺が違う世界に行くことがあるということに気付かせるために、違う世界の存在を作り出しているように思っているが……


もしかしたら、俺は隣の宇宙との間を行き来しているのだろうか?

俺はもっとファンタジーな世界に行っていると思っていた。

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