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加齢臭と転移する竜 (内容まとめ:おっさんが異世界に終活をしに行く話なのですが、なぜか『ほのぼの』と言われています)  作者: 黒長 二郎太
30章.ルルシアを助けに来た老人、その後

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30-25.ルルシアを助けに来た老人、その後(18) 白色レグホンは怖い

だんだんと、終活の時期が近付いてきます……

挿絵(By みてみん)


挿絵(By みてみん)


ガスパールは、何が禁忌に該当するのかわからないので、話題を変え、食べ物の話をする。

この神様がこの世界の、どんなことを知っているのか、もっと詳しく知りたくなったのだ。

土地によって食べ物は変わる。

食べ物の話を聞けば、ある程度のことがわかる気がしたのだ。


「食べ物は土地によって違いますね。

 季節によって変わりますが、今お出ししているものが、このあたりの食べ物です」


老人は言う。

「子供が好きそうなものが少ないな」


「子供が好きそうなもの?」

ルルが反応する。


老人は、簡単なことだと思い話始めたが、

「ああ、例えば……」

言いかけたものの、よく考えたら、思いつかない。

”カレーライス”も”ラーメン”も、”ハンバーグ”も、”スパゲティー”も、ここには無さそうだ。

焼き菓子はあった気がする。でも、あれは庶民は常食しない気もする。


ルルに逆質問する。

「よく考えたら、俺、この世界の食べ物、何が子供に人気あるのか知らなかった。

 ルルは何が好きなんだ?」


「子供の食べ物なら、飴」

ルルはそう答えたが、そもそも、子供の食べ物で思い当たるものが他に無かったのだ。


それに対する老人の反応はコレだった。

”この世界には、飴が有ったのか!”

※この老人の思い浮かべるような飴とは違って、ルルや、ここの人達は

 ”水飴ベースの菓子全般”を飴と呼んでいます。


ってことは、砂糖があるのか。俺はこの世界で砂糖を見た気がしない。

ダルガノード出のガスパールなら知っているだろうか?


「ダルガノードは焼き菓子があった。砂糖があったのか?」

「砂糖?」


「森では焼き菓子見なかったから、砂糖も無いと思って」


----


ガスパールは、この言葉に驚く。この老人は砂糖を知っている。


ガスパールも砂糖の存在を知っていたが、特別な品だった。


薄茶色の乾いた粉末で、中央の男子学校に居た時は、2期に1度は支給があった。

選抜された子供が集まっているので、数期に一度は大会で優勝する。優勝の祝い品に入っていた。

※ガスパール(当時はテリオスという名ですが)が他校との大会に出て勝ったわけではない


ガスパール(テリオス)が生まれた地元の男子学校の時は、ガスパール(テリオス)の在籍中一度も優勝したことは無く、支給されたことは一度も無かった。

※このときは、選抜で大会に出て、学校としては負けていますが、テリオス(ガスパール)は

 個人としては優秀な成績を出したので中央に転校になります。


~~~~

結果として”優秀な子供は中央に集められる”ので、”優勝争いは、ほぼ常に中央の2校”

の争いになります。

さらには、わざと接戦になるように、中央の2校は大きな差が出ないように調整されています。

貴族の重要な娯楽、兼、婿選びの場なので(そのおかげで、運営費が出ている)

学校の運営側も、資金調達のために工夫しているのです。

地方校から、デキの良い子を引き抜く際、多額の予算上乗せが有るので、地方校は、中央へ

子供を送り込むことが重要な資金確保の手段となっています。

魔法と冒険ではなく、経済で動いているファンタジー世界なのです。ガッカリですね!

~~~~


そして、森に来てからも一度も見たことが無い。

庶民が目にする機会は少ない品だ。


ガスパールの場合、中央の学校へ転校にならなければ、1度も見なかった可能性が高いというくらい貴重なものだった。


砂糖を使った菓子を食べる機会がある身分というのは、恐らく、神様だと知られたうえでの待遇だろう。

※この世界では男性の身分は低いので、男性が単独で厚遇されることは少ないのです。


その割には、ダルガノードに、そんな人物が現れたという話は聞いたことが無い。

それが不思議だ。

”ガスパール(テリオス)”が、”ダルガノード”を離れた後だとすると、それはそれで最近過ぎる。

そのあたりに矛盾は感じたが、話を進める。


「砂糖がどんなものか知っているのですね」


そんな伝説上の物質みたいに言われてもなと、老人は思った。


砂糖さとう?」 ルルは、砂糖を知らないようだ


----


老人は、それを見て気付く。

子供が見たことが無いくらい珍しいものなのだと。


恐らく飴は、輸入したものなのだろう。

※この老人は飴の原料を砂糖だと思っていますがルルの言った飴は、水飴の加工品です。


主にルルに説明する。

「粉末……粉状のもので……粒は、細かかったり、粗かったり多少差があると思うけど、

 乾いてるから持ち運びに便利だ。

 味は、甘いだけ。だいたい、他の甘味料はべたっとしていて使いにくいからな」


----


”甘いだけ”と言っているのは、この老人も、この世界で甘味料として使われるものをいくつか知っているためだ。

甘味料自体は森にもある。甘くてピリッとする根菜。甘いけど風味の強い(つる)草。

両方とも、甘くはあるが、甘さ以外の癖が強く、菓子の材料には向かない。


この老人は、粉末の砂糖を知っているのだ。焼き菓子に砂糖を使う?

どんな待遇でダルガノードで過ごしたのか知りたくなる。


すると、今度は自身の寿命が気になる。

死ぬまでに、どれだけの事実を知ることができるだろうか?


おそらく、明日にでもガスパールは役目を終え、その先、生きる必要が無くなる。

”大きな竜・ガスパール”から貰ったこの石を、この老人に渡せば役目は終わる。

おそらく、その後あっさり死ぬだろう。

それで構わないと思っていたのに、この老人の姿をした神様は興味をそそる情報をいくつも持っている。


皮肉なものだ。無駄に長生きしている間は、ただ待つだけ。

いざ死ぬ間際になって、知りたい情報が増えてしまう。


ガスパールは、砂糖の話をメモする。風呂の位置を知っていたことも。

機会が有れば、キャゼリアにでも確認してみようと思ったためだ。


そして答える。

「貴族ならともかく、砂糖を使った焼き菓子は、庶民の口には入らないでしょう」

そう答えると、老人は言う。

「じゃあ、甘味料には何を使ってるんだ?」


「甘い味付けなら、水飴でしょう」


「ああ、水飴だったのか。まあ、俺には、甘味料の差なんて、食べてもわからないからな」


この神様(老人)は、甘い焼き菓子を口にしただけで、甘味料が何かは知らない。

砂糖は知識として知っているだけで、実際に焼き菓子の材料が何だったかは知らないのだ。

だから、水飴であってもおかしくはない。ガスパールはそう理解した。


だが、ガスパールは違和感を持つ。水飴はあるが、貴重なものだ。

水飴を使った焼き菓子が大量に出回るとは考えにくい。


※水飴は薬用(甘いものが少ない世界では、重宝される)、或いは、

 酒に甘みを付けるのに使われる。焼き菓子に使うのは一般的ではない。


風呂のことと良い、この老人はダルガノードで、相当な高待遇を受けたことがある……


ガスパールは、そう考えたが、実は、水飴に関しては時代の差があった。

まず、この老人の記憶は、この時代より少し未来のものであることに加え、ガスパールの情報が古い。


実は、この時代、既に、ダルガノードで水飴の大量生産が始まっていた。

ガスパールが知る時代より水飴の価格は1桁下がり、焼き菓子にも使われるようになっていた。


現在トート森に出回っている水飴も、ダルガノードから輸入されたものが多い。

それ以前は、子供に菓子として与えるような価格では無かった。

つまり、ガスパールは、”ダルガノード産の水飴を、ルルシアに買い与えていた”のだが、ガスパールはそれを知らなかった。

人里離れたこの家でひっそりと暮らすガスパールには、ここ20期ほどの間の、人々の暮らしの変化は、あまり伝わっていなかった。


……………………


砂糖から話題を変える。


「ルルは何が好きなんだ? お菓子じゃ無くて、ごはんのおかず」

そう言いつつ、これで意味通じるのだろうかと疑問に思う。


俺のイメージでは、ご飯のおかずと言った時の”ごはん”は、”白米”という水稲の実を脱穀したものを絶妙な水加減でふっくら炊き上げたものなのだが、ここでごはんは何を指すのだろう?


通じるか心配した割に、ルルはあっさり答えた。

「玉子、目玉焼き」


おお! そうか。確かに、アレは安心して食べられる美味しいものだ!!

俺の好物でもある。

だが、けっこう高価だ。毎日食べられるようなものではない。


俺の世界の玉子は、アホみたいに安かった。

あんな万能で使い勝手の良い美味しい食材が、アホみたいな価格で売られていた。

戦後は高かったようなのだが、物価が何倍にも跳ね上がった時代にも、価格を維持し続けて、俺の時代でも10個で250円とかだった。

これは、貧乏人でも手に入る価格設定だったが、今思えば異常な価格に思える。


だが、それには恐ろしい理由がある。アレを産んでる鶏は、凶暴な生き物なのだ。

ああ、そういえば、鶏のオスも不幸な存在だった。卵からかえった雛は、オスメス調べて、オスは捨てる。

廃品利用の一環として、俺が子供の頃には、土地によっては祭りの出店でカラーひよことか売っていたようだが、俺は新興住宅地の育ちなので、出店で売ってるのは見たことが無い。

雛の頃をひよこと呼んでいた。とても可愛らしい姿をしているが、あれは騙しで、しばらくすると恐ろしい姿に成長し、巨大な雄たけびを上げる凶暴な生き物に成長するのだ。


なので、新興住宅地では飼えない。

なので、俺が子供の頃行ったような祭りでは、ひよこは売ってなかった。



ここの鶏は、成長しても、けっこうかわいい。

俺の知ってる鶏みたいに……白色レグホンみたいに恐ろしいやつじゃない。

もうちょっと可愛げのあるやつだ。


卵の大きさと味は、白色レグホンには及ばないが、俺が飼うなら、

白色レグホンより、ここの(にわとり)を選ぶ。


※白色レグホン=鶏の品種。鶏として一般的な、あの恐ろしい生き物のこと。

動物のお医者さんでも、主人公の家で最強の生き物として扱われています。

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