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加齢臭と転移する竜 (内容まとめ:おっさんが異世界に終活をしに行く話なのですが、なぜか『ほのぼの』と言われています)  作者: 黒長 二郎太
30章.ルルシアを助けに来た老人、その後

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30-24.ルルシアを助けに来た老人、その後(17) ようやく神様かもしれないと気付く

だんだんと、終活の時期が近付いてきます……

挿絵(By みてみん)


挿絵(By みてみん)


ようやく、名無しの老人が”ルルに会いに来た”と認めたので、

ルルはテンション上がりまくっていた。

「えへへへへへ んふーーー」

※なんだか、イラっとしますね


「どうした? ルル」


「ふうーー」

ルルが一仕事終えたような顔をしてる……と思ったら、コップが空。


「結局(全部)飲んじゃったのか」

「えへ」


"えへ"じゃねーよ!!


まあ、注いだ量自体少ないからルルは酔ってる風でも無いが……酔ってるか?


※実際は、酔いより”ルルに会いに来た”の影響が大きいのですが、

 とにかく浮かれています。


あ! なんか思い出したぞ。

俺の居た世界では、アニメとかで子供が酒飲むシーンが出ると苦情が出る。

でも、ルルは酒を飲んだ。だから、ここはアニメの世界じゃない。


子供にとって良いことかどうかが基準であれば、子供の飲酒一律禁止もそれはそれで良いこととも限らないように思う。

酔うことを目的とした嗜好品として子供が酒を飲むのは良くないだろう。

だが、物を知るという意味合いでは、子供の頃から味や、酔う……ほかの飲み物とは違う効果が有るということを体験する機会は有用だと思うのだ。

経験として少量飲ませる。

だから俺はガスパールのその行動は間違っていないように思う。

むしろ、法的な縛りが無ければ、味見程度に子供が酒を飲む機会があるのは普通だと思う。


だから、この方が現実っぽい。


いや、この世界には無駄な設定多いから、現実っぽいとは思っているのだが、アニメとか漫画の世界の中かもしれないなんて可能性も考えていたのだ。

だが、俺の夢の中だったら、子供が酒飲んでも苦情出ないと思うし……だが、夢は、もっと無茶な内容だし、話が繋がってなかったりするから、夢では無いだろう。


これが現実である可能性が、また一歩近づいた……まあ、とにかく、二日酔い対策はしておこうか。


アルコールも体質によって、合う合わないの幅が広い。

合わない人に無理やり飲ませるとか、よくあるパワハラのパターンだろう。

その場では、一見飲めるように見えて、実は本人はけっこう後々困ることもある。


体質によっては、酔わないのに、二日酔いの症状ばかりが強く出る人も居る。

一番損するパターンだ。

飲んですぐ調子悪くなる人も居るが、

その場では飲めるのに、飲んだ量に比例して、後で苦しむ量が増えていくタイプの人もいる。


アルコールの代謝の途中段階でアセトアルデヒドができる。

これが、頭痛や二日酔いの原因になっているようだ。

アセトアルデヒドの分解が遅い体質の人はアセトアルデヒドの濃度が一時的に高くなる。


後で苦しむタイプの人だ。


日本人には、アセトアルデヒドが残りやすい体質の人がけっこう多目だと聞いた気がする。


俺も該当するかもしれない。

酔いに対しては並みだと思うが、二日酔いは豪快に出るので、二日酔いになりにくい人が羨ましい。


俺の場合は、転移酔いと似た症状が出る……転移酔い知ってる人は少ないか。

まあ、吐き気と頭痛で生きてるのが嫌になるような症状だ。


俺は日頃から生きてるのが嫌な気もするが、そういうのじゃなくて、体調不良のあまり、生きているのが嫌になるような苦しみだ。

あれも、案外、ほとんどの人は経験しない症状なのかもしれない。


ルルが二日酔いになりやすい体質かはわからないが、二日酔いはある程度、予防、或いは、緩和することが出来る。

水で薄めて、吸収速度を下げる。血中アルコール濃度が上がりにくい……のだと思う。


「酒を飲んだ後は、水でもお茶でも何でもいいから、飲み物飲んでおいた方が良い」

「飲み物?」


「酒が薄まるから、二日酔いになりにくい」

「二日酔いって、なに?」


二日酔いじゃ伝わらなかったか。

二日酔いで伝わらないとすると、シートもガスパールも酒はあまり飲まないのだろう。

「酒飲むと、あとで気持ち悪くなったり、(あたま)痛くなったりするやつ」


「うん」


この世界では酒は、二日酔いになるほど飲むほど安くは無いからか……

と思ったが、俺はこの世界で二日酔いになったことがある気がする。

そして、貧乏だったという印象もある。


なので、貧乏人でも二日酔いになることがあるのだと思う。


俺の世界では、貧乏人でも買える価格で売られている。

むしろ、貧乏人の方が安酒に溺れやすい環境が揃っているように感じる。


ここでは、本物の貧乏人は酒なんて手が届かない高価なものだった……

ハチの巣自分で取ったような記憶もある。買えないから、自分で調達してたのか?


外に出て行ったルルが戻ってくる。

「お湯はいつ沸かす?」


なんで俺に訊くのだろう?

「飲むのは早い方がいいぞ」


「違うの。私は水飲んだ」


ルルは既に水を飲んだ。だが、まだ何か問題があるようだ。


「たくさん使うでしょ」

ルルは俺を見て言った。


使うのは俺か?


「俺が?」

「うん!」 ルルは元気に答えた。



俺は何か変なこと言ったか?

ワインのお湯割り?

ああ! わかった。そうか、二日酔いになるから、俺も飲めってことか。


と思ったところで、ルルが言う。

「体洗いたいって」


ああ、お湯って、その話か。

そういえば、髪が乾いてきたら、川に落ちたのは気にならなくなってきた。


よく考えたら、この世界で大量の湯を沸かすのは案外難しかった。

風呂に特化した湯沸かし設備が無い。

「今日はいいや。ガスパール……お父さんと話もあるし」


ところがルルは、お湯を沸かす気満々だ。

「明日はお湯をたくさん沸かすから」


「でも、明日は帰るだけだからな」


そう答えると、ルルシアの気持ちが一気に沈む。

ルルは、喜んで貰えると思って、頑張ってお湯を沸かすというつもりで言ったのだ。


老人は気付いていないようなので、ガスパールがフォローする。


「明日は、湯をたくさん用意しますから、体を洗っていってください。

どっちにしろ、今日は帰しませんから」


ガスパールがフォローする機会はあまり無いが、今回ばかりは事情を知っているし他人事ではない。


「じゃあ、そうするか」

まあ、風呂に入りたがったのは俺だからな……そう考える。


……………………

……………………


「私は、ダルガノードの施設に居りました。

 このワインは、そのときの同僚に貰ったものです」


「その同僚が、ルルのお母さん?」

「はい」

「同僚って、仕事してた?」

「はい」


老人の頭の中に、無職で産廃扱いされたイメージが広がる。


「男って、仕事無いんじゃなかったっけ?」

「はあ、私は特別です」

そう答えつつ、ガスパールは、人間社会のことを中途半端に知っていることに違和感を持つ。

知ってるなら、それなり詳しく、知らないなら、全く知らないならわかるのだが、この老人は中途半端に知っている。


「ダルガノードにも詳しいようですが、何度か行ったことが?」

「森からダルガノードまでは、行ったことがあると思う」


やはり不思議に思う。

人間として何度も行くほどだと、かなりの長期間、この世界で人間として過ごしたはずだ。


そしてまた、妙なことを言い出す。

「何回行ったとかは、わからないけれど、風呂があった気がする」

「風呂があった?」

ガスパールは意外に感じた。

もちろん、全く無いわけではない。

風呂の存在が秘密にされている訳では無いが、数が少ない。


ガスパールは、学校や施設内の設備以外で、実物を見たことが無い。

宿で湯を買って、体を流すだけでも、庶民には贅沢と聞いていた。

幸いこの場所は、水も豊富で、薪も豊富だが、ダルガノードでは、水も燃料も無駄にできない。

なので、この老人の言う風呂とは、湯を流すことが出来る場所かもしれない。


そう思ったのだが、老人は、さらに驚くことを言う。


「図書館の近くにあった」


ガスパールが知っている風呂の位置と一緒だ。

ところが平民が入れるような施設ではない。

「ありますが、庶民は入れません」


「俺は入ったことがあるような? 中は確か……」

そこまで言うと、何かが揺れるイメージと共に、平衡感覚が無くなる。

老人が急に、頭を抱え、苦しみだした。


地面が揺れる。

「え? 揺れてる?」


ガスパールは、理解した。風呂の施設に入った記憶があるのだ。

それを思い出そうとしたとき、この反応が起きる。

記憶が無ければ、単に知らないで済む。この反応では無いはずだ。


ガスパールは、酔いつつも、集中して考える。


あの風呂に入ったとこがある。だとしたら、この老人は何者だ?

男であの風呂を使うことを許された者。よほどの待遇受けたということだ。

その記憶は、何らかの方法で封印され、人には話せない。そう考えた。


「この話は終わりにしましょう」

禁忌に触れると、地面が揺れる?


この老人が風呂に拘る理由と、触れてはいけない禁忌がある。

あまり、記憶に触れてはいけないのかもしれない。


だがわかった。この老人は、思った以上に、この世界の地形や施設を詳しく知っている。


あの風呂を知ってそうな者には心当たりがある。

機会があればキャゼリアに訊いてみよう。ガスパールは、そう考えた。

※ダルガノードでいきなり風呂行きになった理由はこれが関係あるのかもしれません。

 もし、テリオスがキャゼリアにこの話をしていれば、キャゼリアも潜在的にこの話を

 聞いた記憶を持っています。

 でっかい老人がやってきたら風呂に行こうと思うかもしれませんね!


老人は、コップの酒を飲み干すと、こういった。

「今揺れたのか?」


ガスパールとルルシアは頷き肯定する。


「本当に、地面が揺れるみたいだな……

 そんなことができたら神様か何かだ」


ガスパールとルルシアは、老人を見つめている。


ガスパールもルルも、俺を恐れているようには見えない。

地面を揺らすような相手が、怖くないのだろうか?


「どうしましたか?」


「地面揺らしたのは俺かもしれない」


「はい」


「怖くはないのか?」


「なぜ?」


「俺は、普通の人間じゃ……」


「はい。ですから、森の神様かと」


ああ、そうか。元から、そう言ってたか。理解してないのは俺だけってことか。

元々ガスパールは竜を待っていた。だが、来たのは俺だった。


でも、驚いたな。現代日本に住んでいた俺が、竜が人になった神様か……

俺の記憶だと日本から人間の姿で直行して来たになってるから、竜が人間になったなんて設定は知らない。


その設定だと、俺自身がその神様だってことに気付かないじゃないか!


「地震、多いのか?」


「ううん、でも、助けに来てくれた時も揺れたから」


俺が地面揺らすのは承知の上って意味か。


「なんだか、俺は、その神様かもしれない気がしてきたよ」


ルルとガスパールは、ちょっと可笑しくなった。

神様が、自分は神様かもしれないと言い出したのだ。


てっきり人間に化けていることがバレるのを嫌っていたのだと思っていた。

神様は、本当に自分が神様であることを知らなかったのだ。


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