17-14.重機娘とデート(1) グリアノスさんいきなりやって来る
だんだんと、終活の時期が近付いてきます……
※基本土日祝日更新です。
スペランカーレベルに心の弱いおっさんの、とっても残念なお話です。おっさんが興奮しても凹んでもすぐに倒れてしまうお話なのです。生温かく見守っていただけると助かります。
題名が加齢臭で宣伝は終活で中身はパンツの話。こんなのどうやって収拾つけるんだよ!と思う方も多いかと思います。それは至って正常な判断かと思います。
面白いかつまらないかは読者様が判断することですので判断できませんが、一応、加齢臭も終活もパンツも繋がった話を最後まで投稿する予定です。お付き合いいただけるととても嬉しいです。
気力が無くなったので、エスティアに連れられ、部屋まで戻ると、即ベッドに寝転がる。
俺は、少々、”お姫様に憧れる”とか口に出しただけで、無茶苦茶酷い目に遭うのだ。
「あなたは、中華まん倒したら、ダラダラ寝て過ごすの。
ラハイテスに関わったら、ますます忙しくなるでしょ」
エスティアが言う。
もしかして、エスティアは、それを心配して……単に邪魔したわけではなかったのか?
俺は一瞬エスティアを見直した。
だが次の一言で台無しになった。
「お姫様は国の仕事で忙しいの」
エスティアは、そう言うと、さらに続ける。
「はいこれ。城下町から早く戻って来いって催促が来てるのよ」
なるほど。
ラハイテスに関わると忙しくなる。城下町に割ける時間が減ってしまう。
それが理由だったのに、途中で”嫉妬星人”になってしまったのか?
それにしても、俺を縛り付ける餌が姫だとすると、エスティアは実質的に城下町の姫。
ラハイテスが増えたら邪魔だからな。
俺の中で一瞬上がったエスティアの評価が、また下がった。
「森からも来てるわよ」
文字は見なくても色で分かる。
トート森の重要文書は薄い青にウルフのマーク。
森のマークがウルフのマークではない。竜に関するもののマークがウルフ。
俺には意味が分からなかったが、実は、これが竜のマークだったのだ。
ディアガルドもグリアノスも、見た目はでかい犬だ。
ところが、マークは犬というより狼。
銀河旋風ブライガーのウルフのマークと似ている。
森の生け贄がテーラ。
ダルガノードはリーディア。
姫だか生贄だかで、俺には女をあてがっておけば良いと思われてる気がする。
俺は女好きだと思われてるのか?
逆か? 俺が女達の所有物か?
「こっちも来てる」 リーディアが言う。
ダルガノードだ。
ダルガノードのは黄土色と決まっている。マークも付いている。
これは盾の絵なのだろうか?
城下町のは、色紙は無いが、絵は大鎧だかグラディオスだか、思いっきり俺なのだろう。
尻尾の生えた怪獣がでっかい盾を持っている落書きテイストの絵だ。
このマーク、誰が決めたのだろう?
「このマーク、そもそも誰が決めたんだ?」 俺は聞いてみる。
「良い絵じゃない。これなら字が読めない人でも一目でわかるでしょ」 エスティアが答える。
なるほど。犯人はコイツか!
マークは勝手に決まる。
相変わらず、俺には何の権限もないのだ。
城下町は国でも俺の領地でもない。
マイト候領にある1つの町でしかない。
ここには元は町も無かった。俺が作ったようだ。
俺はなぜここに町を作ったのか覚えていないが、おそらく自発的に作ったわけでは無いはずだ。
誰も何の手続きもしていないのだと思う。俺は、そんな手続きしないだろうから。
なので、マイト候からは、放置されている。
存在していることは知っているはずなのだ。
マイト候領の中心から遠く離れているためか、とにかく放置プレイで、管理もされていなければ、投資もされない。
学校は、森とダルガノードの金で運営されている。
税金は、普通に住民が個人で払ってるだけ。
町としては、税金集めていないし払ってもいない。
そして、住民は俺の町だと思っている……という謎の町だ。
俺は、何故か定期的に町に行かなければならない。
城下町だけでなく、森やダルガノードにも。
これにランデルが加わったら大変だ。
俺はランデルがどこにあるかも知らない。
たぶん、ちょっと遠いのだ。
「城下町は避難の準備だ。中華まんが片付いたら行くから」 そう答える。
「それは知ってるけど、住民の不満が」 エスティアだ。
死人が出るかもしれないのに、不満とか、何とかして欲しい。
「森にも」
「なあ、小エビ捕りに」 アイスがどさくさに紛れてどうでも良いことを言う。
「いや、それは後回しだ」 即答える。
「ちぇ」
「すぐにできることが、有るわよ」 ルルが口を出す。
どうせ、ろくでもないことだろう。
……ところが、案外そうでも無かった。
「私のひざまくら」
おお! ひざまくらなら、良いかもしれない。
それほど多くの時間を必要としない。
「”ひざまくら”しながら考えれば良いじゃない」 ルルが言う。
今日はバガバガ持ってないから安心だ。
※バガバガ=でっかい柑橘類
「うーん。じゃあ、ひざまくらしながら考えるかな?」
俺は思い切り、ひざまくらに釣られる。
そのとき突然、耳がツーンとするような感覚……そして、凄い重低音。
正確には音ではないが、腹に響く。
またでかいのが来る。
「竜?」、「竜の気配が!」、「なんだ?」
女達も反応する。
慌ててストーンサークルが見えるところまで行くと、でかい竜が来ていた。
見た目は、横に並べて見ないとわからないが、気配の差で分かる。グリアノスだ。
はじめはわからなかったが、今では気配の差がわかるようになった。
外に出ると、既に兵たちが見ている。
「ラハイテス様が、あんなに竜の近くに」、「大丈夫だ。おとなしい」
兵の反応から察するに、俺に知らされなかっただけで、予定通りって感じだ。
「なんで竜が来てるんだよ!」
兵に言っても意味が無い。
竜の方に目をやると、何人かグリアノスの近くに居る。
あの様子からすると、おそらくテーラが呼んだようだ。
それはともかくとして、なんか、メンバーが怪しい感じだ。
”リーディア”と”ブロソススワーレン”、”ラハイテス”と”カヤハル”。
近寄りたくない脳筋軍団だ。
ついでにダイターンカムヒアまで居る。あと知らない商人と男。
グリアノスが居るので、テーラも居る。通訳だ。
商人と男……もしかして。心当たりがある。
【あら、一番大きな竜。その姿も素敵ね。少し小さすぎるけれど】 グリアノスだ。
”あら”じゃねーよ!!
なんでのんびり和やかムードで歩いてるんだよ!
グリアノスがドスドス歩いて近付いてくる。
「おまえが来ると大騒ぎになるだろ!」
話しかけるが無視される。
巨大な顔が近付いてくる。
「うわーーー!」
顔をベロンとやられた。
【あ、おいしい】
あ、おいしいじゃねーよ!
「ほう。グリアノスは、人間のときでもトルテラのことが好きなのだな」 ブロソススワーレンが言う。
「この竜が”(トルテラの)竜の妻”?」 ラハイテスも竜の妻の話を知っているようだ。
「トルテラ。あなたは呼ばなくても来ると思っていた」 リーディアが言う。
いや、ちゃんと先に話しておけよ!!
【私が来たのよ。あなたは来るわ】
なんか、グリアノスがうるさい。
テーラが翻訳しているのか、人間の言葉を直接理解できるのかわからないが、話が通じているようだ。
「私だって直接会ったのは、2回目だから、リーディア達と変わらない」 テーラが言う。
【うふふ。たまにはこういうのも楽しいわね】
グリアノスは、この状況を楽しんでいるようだ。
うおー、のんびりムードだな。
「それはそうと、竜が来たのに、兵達はよく落ち着いてるな。
グリアノスは恐れられてるんじゃなかったのか?」
グリアノスは城を破壊する竜。
この一帯で竜が恐れられている元凶と言って良い。
「兵達に、ディアガルドとグリアノスの見分けは付かん」 リーディアが言う。
「いや、どっちにしろ怖いと思うんだが」
「それが……」
嫌な予感が……
「……」
目星は付いていた。
一番大きな竜、グラディオス。俺の竜の姿だ。
「グラディオスか?」
「あれを見たら、他の竜はそれほど怖くなくなる」 リーディアが言う。
くそう、俺かよ!
俺は、そんなに怖いのかよ!!
今まで悪の元凶だったグリアノスの名前が人々の頭から吹き飛ぶほどに。
俺は気力がとっても萎えた。




