17-15.重機娘とデート(2) 脳筋軍団
だんだんと、終活の時期が近付いてきます……
※基本土日祝日更新です。
スペランカーレベルに心の弱いおっさんの、とっても残念なお話です。おっさんが興奮しても凹んでもすぐに倒れてしまうお話なのです。生温かく見守っていただけると助かります。
題名が加齢臭で宣伝は終活で中身はパンツの話。こんなのどうやって収拾つけるんだよ!と思う方も多いかと思います。それは至って正常な判断かと思います。
面白いかつまらないかは読者様が判断することですので判断できませんが、一応、加齢臭も終活もパンツも繋がった話を最後まで投稿する予定です。お付き合いいただけるととても嬉しいです。
リーディアは話を逸らす。
さっきから近くにいた青年の方に目をやる。
この年頃の男性と会う機会は少ない。なので、だいたい見当はついていた。
「弟のジャックだ」 リーディアが言う。
わざわざ連れてくるくらいだから、特別な人物。
リーディアに弟が居ることは聞いていた。
きりっとした青年だ。それに、どことなくリーディアと似ている。
だが早速、この青年に対する俺の評価は下がった。
「ジャックです。姉を妻に選ばれ、とても光栄です」
妻じゃねーよ!
「いや、そういうんじゃ無いんだけどな」
俺の言葉は無視される。
「竜が実在するだけでも驚きなのに、呼び出し話をすることができるとは」
ぬおーーー! お前は今目の前で、俺が居なくても竜が出てくるところを見ただろ!!
「俺が居なくても出てくるってことが良くわかっらだろ?
(わかれ、即理解しろ)」
「あなたが来るまで、竜が来ることはありませんでした。
このような立派な竜を目にできただけでも幸せです。
妻に迎えるとは、まさに神の御業」
【あら、この人間わかってるじゃない】
流石リーディアの弟なだけあって、余計な方向で頑張ってくれる。
いきなりハードル上げまくる。
そして、話が終わらない。
「どのような方かと想像しておりました。
まさか直接お会いできるとは!!」
いや、俺的には、男子会に来てくれれば、お話ししやすいのだが。
女と話すと、見張りが付くが、男子会は部屋の中は安心なのだ。
「ジャック。トルテラ様が困ってらっしゃいますよ。
申し訳ありません、間近に竜を見て興奮しており……」
ようやく、スワーレンの妹のヘレンが止めてくれる。
俺的にはありがたかったのだが、何故か、勝手に止めるやつが。
リーディアだ。
「気にしなくて構わない。竜を妻になどという馬鹿げた存在だ」
うーん。妻か?
【妻でしょ。ずっと待ってたんだもの】
グリアノスの言葉が直接頭に響く。
こいつは口に出さなくても読むから、厄介だな。
『人間の格好してても、でかい竜の俺と同じだってわかるのか?』
【当たり前でしょ。あなただって、見なくても私の区別はつくでしょ】
『ああ、そうか』
確かに、はじめは”異次元レベルの巨大生物の気配”って感じで、竜だというのはわかっても、それが誰なのかはわからなかったが、慣れたらディアガルドとけっこう違っていた。
でも、今は見た目でもどっちがどっちだか見分けが付くようになってきた。
見比べれば見分けは付く。
気配だと、横に並べて比べなくてもわかるようになった。
「どうした?」 リーディアが怪訝な顔をする。
『ああ、今ちょっとグリアノスと話してて』
【私に言ってもダメでしょ】
ああ、そうか。混乱する。
再度、今度は声に出して言う。
「ああ、今ちょっとグリアノスと話してて」
「トルテラはグリアノスと直接話ができるから」 テーラが補足してくれる。
【この子には聞こえてる】
「でも、話をしていることが分かるだけで、内容はわからないから」 テーラが普通に答える。
「いや、今普通に返事しただろ!」
突っ込みを入れるが、普通にスルーされた。
いやいや、そんなことより、気になることを直接聞いておく。
グリアノスと邪魔が入らず直接話せる機会は少ないのだ。
『”ずっと待ってた”って、なんで俺が来ることを知ってたんだ?』
【とても大きな竜が教えてくれたから】 グリアノスが答える。
『大きな……ガスパールか?』
【そうよ。人がガスパールと呼ぶ竜】
『なんでガスパールは知ってたのだろう?』
【わからない。けれど、偉大な竜よ】
『偉大?』
【だって、あなたが来るって教えてくれたもの】
なんか一周回ってる。
なんと言うか、竜ってのは、無邪気と言うか、純粋な生き物なんだな。
他の竜が言ったことを信じられるなんて。
【人間が余計なこと気にしすぎるのよ】
俺は声に出していないつもりなのだが、グリアノスには聞こえているようだ。
それにしても、グリアノスは話し方が、なんか、可愛い女の子みたいだ。
【可愛い女の子だよ?】
なぜ”?”
テーラが凄い顔をしている。セリフ付けるなら”ギップリャー”って感じだ。
絶対聞こえてると思うのだが……。
気付くと、皆が俺を見て止まっている。
……そうか。話し声が聞こえないから、言わないとわからないのか。
ますますめんどうだな。
「ああ、悪い、グリアノスと話していた」
「竜とは声も無しで話すのですね」 ジャックが言う。ワクワクしてそうだ。
ますますジャックの想像が捗りそうで、困る。
とりあえず、リーディアから聞くことにする。
「弟と会えたと言っていたのは……」
「ああ、まさか弟の行った商家がスワーレンの妹のところだとは思わなかった」 リーディアが答えた。
ブロソススワーレンが言う。
「妹のヘレン。商家に残った。その夫がジャック」
凄い偶然……と思って良いのか、何かの罠か。
「噂はかねがね聞いております。間近に見ると、本当に大きい。お姉さま好みね」
ヘレンが言った。
ヘレンは商人と言うがちょっと強そうだ。脳筋系っぽい。
「私の好みを本人の前でばらすな。こうして、仕えることができたのも、運命ということだ」
俺は脳筋にモテる。納得行かない。
そして、脳筋は、戦いが好きだ。
「お姉さまが興味を持つ男っていうから誰かと思ったらトルテラ様ですって?
そんな手の届かないものを追い続けてないで、さっさと子供作った方が良いわよ」
「ほう。どうやら話し合いが必要なようだな」 スワーレンが挑発する。
「そんなことしてると、ますます嫌われるわよ」 ヘレンが言い返す。
くそう、やっぱり俺はスワーレンにも狙われてるのか!
「そうだな。俺は脳筋は好きじゃないからな」
無駄な争いを止めるため、釘を刺す。
すると何故かラハイテスが釣れる。
「脳筋を辞めるには、どうすれば?」
「何度か聞いたことがあるが、その脳筋というのは、一体何だ?」 リーディアも釣れる。
「脳筋と言うのは、頭使わず何でも筋力で解決しようとする女のこと。そうですね?」
何故かラハイテスが解説してくれた。
すると、変な方向に話が進む。
「筋力であなたに勝てる者は居ない」 リーディアが変な解釈をする。
「そうじゃねーよ、筋力勝負にならないように頭を使えって言ってるんだ」 俺は思わず突っ込みを入れる。
「そうか。ならば、今回の件にも賛成ということだな?」 リーディアが言う。
もしかして、俺が誘導に引っかかったか?
「いや、知らんけど、頭使って解決するならそうだな」 ひとまず、そう答える。
そして続けてこう言う。
「ところで、その今回って、何をするつもりなんだ?」
「グリアノスに頼みごとをした」 リーディアが答えた。
竜が……”グリアノス”が、俺以外の人間の頼みを聞いたりすることがあり得るのだろうか?
そもそも、メンバーが怪しい。
「リーディアとブロソススワーレンはわかったけど、
なんでラハイテスまで居るんだ?」
思ったことを、そのまま聞いてみる。
「ラハイテスがグリアノスと契約したの」 テーラが答える。
ラハイテスが、なんか勝ち誇った顔をしたのでイラっとする。
「竜が人間と?」
「グリアノスはそういう竜なの」
そういう竜って、なんだよ。
「人と契約する竜?」
「違う。普通の竜は、人間と約束しないの」 テーラが答える。
どういう意味だろう? ディアガルドも約束するよな?
何の約束だろう。
なんか悪さしそうだから見張っておくか。
【わざわざここまでやって来て、悪さなんかしないわ】
なんだよ、話は通じてるのか。
俺が人間同士で話しているときでも、グリアノスには、俺の考えが聞こえているのだろうか?
それはそうと、こいつらは怪しい。野放しにするとまずい。
「俺も行く。なんか嫌な予感がする」
「ははは。トルテラ殿もご一緒とは、これは愉快ですな」 ダイターンカムヒアだ。
おまえはいつでも愉快だろ!!
そもそも、なんでコイツが居るんだよ!! 俺は突っ込みを入れる。俺の心の中で。




