17-4.対中華まんの方針
だんだんと、終活の時期が近付いてきます……
※基本土日祝日更新です。
スペランカーレベルに心の弱いおっさんの、とっても残念なお話です。おっさんが興奮しても凹んでもすぐに倒れてしまうお話なのです。生温かく見守っていただけると助かります。
題名が加齢臭で宣伝は終活で中身はパンツの話。こんなのどうやって収拾つけるんだよ!と思う方も多いかと思います。それは至って正常な判断かと思います。
面白いかつまらないかは読者様が判断することですので判断できませんが、一応、加齢臭も終活もパンツも繋がった話を最後まで投稿する予定です。お付き合いいただけるととても嬉しいです。
スワーレンとカヤハルとダイターンカムヒアみたいな名前のやつが盛り上がる。
「むぅ。確かに相手は強いが、ラハイテスも未熟」 カヤハルが腕組みして言う。
「聞いてはいたが、強いな。どちらも。本気でやったらどちらが強いか」 スワーレンだ。
「本気でも結果は変わらん」 カヤハルが答える。
「これは驚いた。ラハイテス殿を破るとは、相当な使い手ですな
ははは。愉快、愉快」 ダイターンカムヒアは、たぶんどっちがどうなっても愉快なのだと思う。
俺は改めて、自分の心の弱さについて考えていた。
俺は戦闘に関しては凄く強いと思う。
だが、好意を持たれると弱いのだ。
恐ろしい敵……こないだの巨大熊、赤カブトとの戦いのように、ちびりそうなほど怖くても耐えられる。
なのに、反対に、優しくされても、ふらっと来てしまう。
相変わらず思うのだが、この性質はいったいなんなのだろうか?
”優しい心に弱いんだ” おお! 思い当たるものがあった!
……そう、俺の弱点はやさしい心。
”ミラクル少女リミットちゃん”のように、優しい心に弱いのだ!
”ミラクル少女リミットちゃん”というのは俺が子供の頃、こことは違う別の世界に住んでいた時、電気の力で動く不思議な動く絵を表示する装置、テレビという装置で表示する少しずつ異なる絵を連続的に表示して、あたかも動いているかのように見せかける動画と言う手法を使った……
いや、それはそうと、女の子向けなのに主人公がサイボーグで弱点が優しい心と言う、文字通りに受け取るとギャグマンガに思えるが、実は真面目な少女マンガで、当時はまだテンプレが整備されていなくて手探り状態で、こういう間違った方向にすす……
いやいやいや、それもどうでもいい。
俺のこの解説癖も、いったいなんなのだろうか?
わざわざ解説することに、いったい何の意味があるのか?
だが、思わずそれをしてしまう。
何かしらの理由があるのかもしれない。俺はそう思った。
少し離れたところが、盛り上がって大騒ぎになっている。
一度退場したラハイテスが戻ってきた。
兵たちは大騒ぎだ。負けてもヒーローって感じだ。
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この短い時間で、アイスとリナ、ラハイテスは少年漫画的に友情を深めていた。
「アイス殿は、本当にお強い。
相当強いと言うことは先に聞いていたので全力でやったが、それでも負けた」
「ラハイテスもスゲー強かったよ。
だって、俺こんなに強いやつと戦ったこと無かったからな」
「リーディア殿は?」 ラハイテスが尋ねる。
アイスが答える。
「リーディアと試合なんかしないよ。
でも、練習はするから、俺は、それで強くなったのかな?」
リナが付け足す。
「アイスも私も、元々は特別強くなかったのだ。いつの間にかに強くなっていた。
確かに、リーディアにいろいろ教えてもらった。それもあるかもしれない」
「私も頼めば、稽古してもらえるだろうか?」 ラハイテスが言う。
「ラハイテスだったら、もっと強くなりそうだよな。そうしたら俺じゃ勝てないかもしれない」
「そのように言ってもらえるとは!
リーディア殿に稽古をつけてもらうことはできるだろうか?」
「おう。そうだな、一緒に頼んでみよう」 アイスが答える。
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なんだか、ラハイテスが更に強くなる方法を話しているようだ。
思わず声をかける。
「ラハイテスは指揮官なんだから、武術より、指揮能力高めろよ。
お前がやられると総崩れになるんだから、負けなきゃ良いんだよ」
俺は本心からそう思ってるのだが、アイスは
「でも、兵だって強い大将の方が嬉しいだろ」とか、お子様的なこと言う。
ただ、戦場で頼りない指揮官と言うのは、士気が下がる。
この規模の集団では、大将が強い事と、集団として強い事は近いのかもしれない。
それはそうと、以前から気になっていたのだが、うちの女達は、不自然に強すぎる。
リーディアは別にしても、アイスと並んでリナも強いのだ。
アイスとどっちが強いのかはよくわからないが、リーディアを除くと、アイスとリナが双璧って感じだ。
リナの戦い方は、俺に似せてるのか、盾をよく使う。
基本は目隠し。盾で相手の視線を遮る。これは俺はあまりやらない。
リナも良く盾で殴る。投げる。盾ごと相手を蹴る。
そして二刀流。二刀流は盾を失った後にたまに使う程度だ。
変わった戦い方をするので、初見殺しという意味では、リナの方がアイスより厄介だ。
リナとアイスは甲乙付けがたいという感じで、ほぼ似たような強さだと思う。
さっきの戦いを見る限り、どっちにしろ、ラハイテスより強そうだ。
問題なのは、きっとラハイテスは凄く強いのだ。
その強い軍人より強い女が何人も居るってのは普通に考えておかしいと思うのだ。
うちは、戦闘集団ではない。
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謎の神前試合が終わってしばらくすると、ようやくイグニスがやって来た。
「あのバカ女が邪魔しおって」
向こう(竜の世界)で揉めてたようだ。
まあ、俺的には、こっちに被害が出なければある程度自由にやって貰って構わないのだが。
竜の女とも話をしないといけないのだが、イグニスが来なかったのだ。
その場にラハイテスが居たので、イグニスを紹介する。
ランデルでは、イグニスと言うのは火を吹く魔人の名前だと言う。
ブツブツ文句を言うイグニスを捕まえて、ラハイテスに見せる。
「こいつがイグニスだ」
「ふむ。想像とは違って、賢そうな方だな」
ラハイテスは、わざわざお世辞を言う。
まあ、実際喋らなければ、そう見える。
なので、即フォローを入れる。
「ああ、見た目はな」
「見た目は?」 ラハイテスが途惑う。
「まあ、話せばすぐわかる」
俺がそう言うと、リナが妙なことを言った。
「イグニスは丁寧に話すこともできるはずだが?」
そうなのか? 俺はそんな言葉は一度も聞いたことが無いのだが……記憶にある限り。
アイスが言う。
「イグニス、ひさしぶりだな」
「なんじゃ、人間の女」
リーディアが、表情を変える。
”ほらな、言った通りだろ”とでも、言うかのようだった。
ラハイテスは無礼な言葉に驚きつつも、下手に出る。
「ランデルの長、カタイヤの娘ラハイテスと申す。
イグニス殿は、伝説の魔人イグニスのように火を吹くとお聞きした」
「この体を操るのは少々苦手でな。そこの女が卑怯な手を使うので仕方なかったのじゃ」
リーディアが、表情で伝える。
また”ほらな、言った通りだろ”とでも、言うかのようだった。
イグニスを呼び出したのは、対中華まん戦のための調査、相談だった。
トルテラは、まだどうするべきか悩んでいた。
放置するつもりだった中華まんに、対抗する手段が見つかってしまったためだ。
「グリアノスはどうだ?」 俺はテーラに聞く。
「準備できてる。ディアガルドが邪魔だって怒ってる」 テーラが言う。
俺はゲート越しに、グリアノスと会話はできないようだ。
状況を聞いて、その後相談と思ったが、どうにも会話が成立しない。
「黒い悪夢など、どうでも良いわ」 イグニスが言う。
「ディアガルドがやらないなら、グリアノスが協力しても良いって」
グエイアノスの言葉をテーラが伝言してくれる。
どうにも話し合いにならない。
グリアノスとディアガルドの意見を聞いてから決めようと思ったが、
竜には話し合いの概念が無いようで、好きなことを言いまくるのだ。
「お前らが協力しないなら、80日後には、ここ(人間の世界)の全てのストーンサークルが破壊されて、竜は行き来できなくなる。
倒せそうなら、お前らが黒い悪夢と呼んでいるやつを倒しても良いと思うんだが」
「妾が協力する。あの女は不要じゃ」
イグニスは、ついさっきどうでも良いと言ったのに、今度は協力すると言っている。
「グリアノスも、協力するから、ディアガルドを何とかしろって言ってる」 テーラが伝言してくれる。
「やっぱ、めんどくさいから放置するか……」
「妾と滅ぼすべきじゃ」
「グリアノスも同じこと言ってる」
俺は話し合いをしようとしたこと自体に後悔していた。
竜にはそう言う概念自体が無いのだ!!
「ディアガルドとグリアノスが2人とも協力するなら、倒しても良い。
そうでなければ、俺は人間として死ぬまでここに残る」
それだけ伝えて、話し合いは諦めた。
話が終わると、女達がトルテラを取り囲む。
「ダメだな、竜には話し合いの概念が無いようだ。
やっぱり、城下町は諦めて、何もせずに暮らすか」
俺はそう言うが、女達の意見は違っていた。
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「人間の姿で、人間の世界に戻ってくるなら。中華まん。倒そう」
「城下町が無くなったら寂しいから」
女達は既に方針を決めていた。
中華まん撃退後、トルテラが人間に戻れるのであれば、中華まんは倒しておいた方が良い。
ここ、城壁のストーンサークルを失えば、次は城下町のストーンサークルを失うことになる。
トルテラは言っていた。”城下町で死にたかった”と。
あの町は、トルテラにとって特別な町だった。
それに、今までずっとトルテラはストーンサークルで暮らしてきた。
中華まんを野放しにすれば、すべてのストーンサークルが失われる。
女達は、トルテラに対中華まんの準備をすすめた。
その言葉を聞いてトルテラは驚いたが、同時に、ここ数日の抜け殻のような反応から、やっと元気を取り戻したかのようにも見えた。
トルテラは悩んでいた。既に何もしないと宣言していたので動きづらい。
ただ、本当に中華まんを撃退できるのか、試しておきたいと言う気持ちもあった。
最後の一押しはエスティアだった。
「城下町はね。トルテラが居るからできた町。皆がトルテラの町に住みたいって思って町が大きくなった。
だから、私も城下町は無くしたくない」
そうだ。俺が望んだことじゃ無いけど、俺が居るから人が集まってできた町ってのは事実だと思う。
重機も無いこの世界で、人手で街を作るのは大変なことだったはずだ。
それを、俺一人の怠慢のために壊してしまうのは申し訳ない。
俺はそう思った。
俺の好きな町は、みんなの好きな町であって欲しい。
俺は、そんな町で死ぬまで生きたい。そう思った。
倒せるなら、倒しておいた方が良いのかな……中華まん。




