16-24.でかい女の竜の妻、終結
だんだんと、終活の時期が近付いてきます……
※基本土日祝日更新です。
スペランカーレベルに心の弱いおっさんの、とっても残念なお話です。おっさんが興奮しても凹んでもすぐに倒れてしまうお話なのです。生温かく見守っていただけると助かります。
題名が加齢臭で宣伝は終活で中身はパンツの話。こんなのどうやって収拾つけるんだよ!と思う方も多いかと思います。それは至って正常な判断かと思います。
面白いかつまらないかは読者様が判断することですので判断できませんが、一応、加齢臭も終活もパンツも繋がった話を最後まで投稿する予定です。お付き合いいただけるととても嬉しいです。
「あれがグラディオスか、凄まじい大きさだった」
リーディアは話には聞いていたが、グラディオスを見たのははじめてだった。
「いや、俺も、知らなかったんだが、あいつら止めなきゃと思って」
話がすれ違う。
そのとき、背後で凄い音が鳴る。
”ドゴゴゴ、ザザーーー”
竜が起き上がって、岩と砂が落ちた音だった。
【流石は我が夫。でも、凄く痛かった。妻にはもう少し優しくした方が良いと思う】
見た目と声のギャップがすげーーー!
ディアガルドじゃ無い方の竜だ。
「お前誰だよ!」
【本当に思い出してないの?】
ん? 思い出して? ってことは、俺が会ったことがある竜なのか。
「思い出しては居ないが、思い当たることならある」 そう答える。
「トルテラ、この竜と喋ってんのか?」 アイスが言う。
「は?」
俺にしか聞こえていないのか?
【私は普通の人間とは話ができない】
「アイスたちには聞こえて無いのか?」
「私には聞こえる」 テーラだ。
「グリアノス……」 リーディアだ。
リーディアは反応した。
「リーディアにも聞こえるのか?」
「聞こえない。だからグリアノス」 リーディアが答える。
なるほど。
テーラに聞こえて、リーディアに聞こえなければ、グリアノスってことを知ってたのか。
つまり、女達は、テーラとグリアノスのことを前から知ってたんだな。
【賢い人間ね】 グリアノスが言う。
「リーディアは賢いって」 テーラが伝言する。
「グリアノスに褒められる日が来るとは思わなかった」 リーディアが苦笑する。
なるほど。人間の言葉は、グリアノスには理解できるようだ。
グリアノスの言葉が、人間には届かないようだ。
普通の人間……テーラと俺は、その中に含まれていないようだが。
「この女が妾の獲物を!」
もう1頭の竜が言う。こっちがディアガルドだ。
ディアガルドに言っておきたいことがあった。
「おい、ディアガルド、お前俺をだましただろ」
「何を言うか、妾がお主を騙すことなど有るはず無かろう!」
ディアガルドには騙したと言う認識は無いようだ。
なので、さらに詰め寄る。
「熊を渡したら夫婦なんだろ?」
「当り前では無いか、何を言っておるのだ、このたわけが!」 ディアガルドが言う。
当たり前だから、騙したことにならないと言う主張だ。
だが、それを俺に言われても困る。
「当り前じゃねぇ!俺は竜の決まり事知らないんだよ!」
「何を言っておるか、このたわけが!」
たわけじゃねーよ!! 俺がそんなルール知るか!
アイスに話を振る。
「アイス、熊はこいつが妻になるためだぞ。騙されて熊捕らされた」
だが、アイスは予想外の返事をした。
「俺、知らなかったけど、トルテラが年取って死ぬまで待ってくれればかまわないよ」
かまわないのかよ!
「おお、アイスは良うわかっておる」
わかっておるじゃねーよ! いろいろとおかしいだろ!
そもそも俺は本当に人間の体の寿命が終わると、竜になるのだろうか?
俺が竜になる条件がわかると良いのだが。
【こんなバカ女は放っておいて私の夫になりなさい】
「許せぬ、この泥棒女めが!」
竜の女どもが喧嘩を再開する。
”グオオオオオオオオオ!!”
うなり声が凄い。やっぱり俺の妻がこんなうなり声あげたら嫌だと思った。
「うわぁ」、「ちょ、また喧嘩か?」
女達が心配する。
そこで、釘をさしておく。
「喧嘩は竜の世界でやれ!ここでやるな」
それと、重大な問題がある。
俺が呼んだ竜は、どっちか片方だ。
「で、中華まん退治は、どっちが手伝ってくれるんだ?」
【ちゅうかまん?】、「ちゅうかまんとはなんじゃ?」
「いや、黒い、黒い悪夢のことだ」
【……知らない。私はずっと待っていた】
「妾もずっと待っておった」
なんだよ!こいつら中華まん撃退要員じゃねーのかよ!
まあ、おかげで、ちゅうかまんの倒し方わかったけど。
「中華まん退治を手伝う方が俺の妻に相応しいと思う」
そう言うと、
【私が手伝う】
「妾こそ手伝うのに相応しい」
二人とも餌に釣られるタイプだ。
「どっちでも良いけど、喧嘩はここでするなよ」
それはそうと、想定外のことに、いろいろまずい。
仕切り直した方が良さそうだ。
「竜の世界と、行き来は自由にできるのか?」
【ええ。必要なら】、「呼ばれればいつでも」
「じゃあ、ひとまず帰れ」
【え?】
「酷いでは無いか」
「こっちにも都合がある。話はあとでしよう。
ディアガルドはとりあえずイグニスを来させてくれ。
グリアノス……グリアノスだよな?」
【竜に名は無い。好きなように呼べば良い】
「グリアノスにはイグニスみたいなやつはいないのか?」
【そこの小娘を使いによこせ】
「テーラか?」
「人間がストーンサークルと呼ぶものの近くでなら話ができる」
「ああ、確かに、向こうでも声聞こえたしな」
「それじゃ、テーラに伝言を頼む」
「ダミー(イグニス)なら、今までと変わらぬではないか」
文句を言いつつも、巨大な姿があっさり消えていく。
竜が帰っていくと、ようやく兵士たちが寄ってくる。
遠巻きにだが、かなりの数の兵士が見ていた。
「見たか!一番大きな竜グラディオスを! 我が神はあれを動かすことができる!」
リーディアがテキトーなことを言う。
”うおおおおおお!!”
少し遅れて大歓声が響く。
「折角改修した城壁を、またしてもグリアノスが!」
あ、やべ、それたぶん、俺が壊した。
「グリアノスめ!!」
テーラにじっと見つめられた。
済まない、テーラ、グリアノス。
俺は、余りにも申し訳なさ過ぎて、頭がクラクラしてボテっと倒れた。
流石に、なんで倒れたのかはテーラにはわかったようで
「うん。気にしなくてもいいよ。ここではグリアノスは悪だから」と言った。
俺はますます自責の念が強くなって、生きているのが嫌になって来た。
でも、エスティアがどさくさに紛れて尻を触ったので、なんかどうでも良い気持ちでいっぱいになった。
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「あれがグラディオスか。確かにトルテラが動かしていたようだ」 リーディアがボソッと呟く。
「私怖い」 ルルだ。
ルルは元々竜があまり好きでは無かった。
「ディアガルドが霞むくらい恐ろしい存在だな……」 リナが言う。
「あれがちゅうかまんを倒す。そして、いずれは、竜の世界で暮らすのだろう」
問題はいつまで人間で居てくれるかだ。
「なんでいつも……あの人は、こんなの望んでいないのに……」
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酷い目に遭いまくったが、突破口が開けた。
俺は竜にならなくても、竜の世界から中華まんを尻尾ではたくことができるのだ。
俺は凄く安心した。
ただ、問題もある。
女たちには何もしないと約束してしまった。
とは言え、城下町は失いたくない。
どうするべきか。
ただ、解決策は見えた。少し安心した。




