16-23.でかい女の竜の妻、2頭現る(後編)
だんだんと、終活の時期が近付いてきます……
※基本土日祝日更新です。
スペランカーレベルに心の弱いおっさんの、とっても残念なお話です。おっさんが興奮しても凹んでもすぐに倒れてしまうお話なのです。生温かく見守っていただけると助かります。
題名が加齢臭で宣伝は終活で中身はパンツの話。こんなのどうやって収拾つけるんだよ!と思う方も多いかと思います。それは至って正常な判断かと思います。
面白いかつまらないかは読者様が判断することですので判断できませんが、一応、加齢臭も終活もパンツも繋がった話を最後まで投稿する予定です。お付き合いいただけるととても嬉しいです。
火炎放射で焼き払うつもりが、底が抜けた。
ストーンサークルに吸い込まれる。
ストーンサークルから落下した!……と思うと、今度は平衡感覚が無くなって倒れる……いや、倒れつつある。
……凄く遅い。
”ドゴーーーーーーン!”
倒れた。
って、竜かよ! 自分で突っ込み入れる。
”この感覚、覚えがある”。竜の体だ。
少し遅れて衝撃を感じる。でかすぎて時差があるのだ。
ぐぇ。自重で自分にダメージが!
超大型動物は、転倒が大きなリスクになる。
いきなり竜になっている。
竜の世界に来てしまった。
そして、厄介なことに転倒してしまった。
この体は一度転倒すると、なかなか起き上がれない。
何か、いろいろおかしいのだ、この体は。
「妾こそが妻に相応しい」
【お前のようなもののどこが相応しいと言うの、この私のほうが!】
声が聞こえる。
は? 周りを見ても、ディアガルドたちは居ない。
だが声は聞こえる。
ゲートの向こうの声が聞こえてる?
と思うと、頭が沈む。
おお!身動き取れないのに!
”ドゴ”
いきなり、顔に突進を食らう。
”★”目から星が出た。
おお!あのマンガ的表現がリアルに味わえるとは……じゃなくて!
おお! やべえ、なんか、超色っぽい匂いがする!
ここは……人間の世界だ!
なんと、人間世界側に顔を出すことができた。
俺は竜の体のまま、人間の世界に!
……と思ったら、また突進食らう。
”ガーン”
俺は戦場に顔を出してしまったのだ。
「おまえらやめろ!」と言ったつもりが、恐ろしい声になる。
”グオオーーーーーーー!!”
あ、俺、この体じゃ喋れなかった!
竜の女がピタリと止まる。
とりあえず、意味は通じたようだ。
ところが、人間たちも止まっていた。
兵士たちがパタパタ倒れる。
さらに、女達がも凄い顔で見てる。
へ?
なんだ?
俺はそんなに怖いのか!!
俺はショックのあまり頭がクラクラした。
「おお!妾の夫、一番大きな竜! この女がせっかくお主が妾に用意してくれた獲物を横取りしおった」
【一番大きな竜! 久しぶりに会えた。良かった。でも、これからはずっと一緒に】
「そこで暴れるなボケーーーーー!!!」と言うつもりが、勝手に竜語に翻訳される。
”ガーーーーーーー!!(訳:暴れるな!)”
こいつらを、竜の世界に戻さないと。人間の世界で暴れられると困る。
なんとか腕まで人間の世界側に潜り込んで、捕まえようとするが届かない。
俺の手は短すぎるのだ!
腕を伸ばして、もがいた反動で今度は竜の世界側に引き戻されて、体が半回転する。
頭が竜の世界側に来た。
この体制なら、尻尾であいつらを捕まえることができるか?
尾で付近のものを、大きくかき集める。
静かにかき集めたつもりだったが、尾は長い。反動が凄い。
勢い余って、また回転して首が人間側に出る。
石が頭に当たる。
痛てっ
”グギャッ”
”痛て”は、割と竜語と発音が似ていることに気付いた。
転倒でダメージ受ける割に、岩が当たっても割と平気だった。
感じ方が全然違うのだ。
凄い土埃だ。何があった?
暗視は竜の体でも使えるようだ。
自称妻の2人の竜は、城壁の下で、瓦礫の下敷きになっていた。
俺の尻尾に当たったのか?
無理やり人間の世界に入り込むと、また平衡感覚が無くなった。
ボテっと倒れると、人間に戻った。
これで安心かと思うと、なんと、全裸だった。
そうなのだ。俺は、竜の世界に行くとき、服は置いて行くのだ。
見回すと、服がそのまま落ちているので、急いで回収する。
でも、たぶん、たくさんの人に見られてしまった。
絶対ルルは見たに違いない。
駄目だ、俺はもうお婿さんに行けない気持ちでいっぱいになってしまった。
精神的ダメージが大きすぎて、倒れそうになりつつも、なんとか服を着る。
でも、尻尾のせいで、尻がびんぼっちゃま状態だ。
この尻尾があるせいで、俺は服を着るのに時間がかかるのだ。
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避難自体は進み、女たちと兵士たちは少し離れたところから、様子をうかがっていた。
「竜を呼んだ」「凄い。はじめて見た」
「襲っては来ないみたい?」
「なんで竜同士が戦ってるんだ?」
兵士たちは、状況を理解できていない。
ラハイテスが兵に言い聞かせる。
「竜は、トルテラ様が呼んだ。襲っては来ないはずだが、各自退路は確保」
「テーラ、なんで2体も?」 リーディアが聞く。
「知らない」
「なにが起きてるんだ?」
「ディアガルドの貢ぎ物を、別の竜がとったみたい」
「狙ってるやつが他にも居たのか」
「トルテラは大丈夫なの?」
「大丈夫だとは思うが、さすがに相手が竜では」
「トルテラが連れ去られたりしない?」 エスティアが心配する。
「とにかく、まずは、安全確保。見守るしかない。
私たちの誰かが死ねば竜になってしまうかもしれない」
「あの人が死んだら?」
「人間の体を失うと竜になる?」
「あのさ、トルテラの気配無いんだけど」
「どこだ?」
「もしかして、竜の戦いに巻き込まれて」
すると、ストーンサークルから、ぬぼっと巨大なものが盛り上がる。
「なにあれ?」
「……グラディオス」 テーラが言った。
「え?」
現れたのは、恐ろしく巨大な竜の頭だった。
その竜が大声を上げる。
”グオオーーーーーーー!!”
恐ろしい振動が伝わる。立ってることが難しいほどの迫力だった。
兵士たちがパタパタ倒れる。
「あの人が竜になってしまった」
「ええ? ずっと一緒に居るって言ったのに」 アイスが悲しむ。
「なんてことだ。私にはまだ、あの人を送り出す準備が……」
そう言ってる傍から、先にきた2体の竜が吹き飛ぶ。
圧倒的に馬鹿げた力だ。間違いない。一番大きな竜、グラディオスだ。
2体の竜は城壁に当たり、岩が崩れる。
”ゴゴゴゴ”
雷のような凄い音が響く。
城壁の上から悲鳴が聞こえる。
どうやら、上から見ていた連中も居たようだ。
トルテラが竜になってしまった……女達が絶望に打ちひしがれていると、巨大な竜の気配が消える。
すると、見慣れた男がひょこっと現れた。
全裸で現れ、急いで服を着ている。
「トルテラーー」
アイスがダッシュで駆け寄る。
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俺が尻隠しに四苦八苦してると、アイスが凄い勢いで抱き着いてきた。
”ドガッ”
「うわーーーん、トルテラー」
「ほげっ」
トラックに轢かれたかと思うくらいの、凄い衝撃を受けた!!
おい、危うく俺が死ぬところだろ!
そして、リーディアが突進してきて、また凄い衝撃を受ける!
”ドゴッ”
「うが!」 なんなんだ!
「竜になったと思った!良かった、戻れてよかった」 リーディアが、本当に良かったという感じで言う。
おお!そうか。
怖がってたんじゃなくて、俺が竜になって、もう人間には戻らないと思ったのか!
「良かった。戻れるのか。俺、もうダメかと思った」 アイスも戻れないと思った。
「私もだ。心臓が止まるかと思った」 リーディアが言う。
おお、この世界でも、臓器のことは知られてるのだな、とか、どうでも良い事を思う。
まあ、心臓だけは特別か。ドキドキドキドキと、自分で鼓動を感じることができるから。
「あれがグラディオスか、凄まじい大きさだった」
リーディアは話には聞いていたが、グラディオスを見たのははじめてだった。
「いや、俺も、知らなかったんだが、あいつら止めなきゃと思って」
話がすれ違う。




