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remember  作者: 新山咲都
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人が人を想う


六月、曇りの日、帰りのことだった。

学校から駅までの道中で、ひかるは航に会った。


視力は悪い方だが、なぜか、航には気付いたのだった。


ひかるは航と話してるうちに自分の声が明るくなったのがわかった。


20分は話しただろうに、あっという間に感じた。それが寂しいけど、話せたことはとても幸せだった。


少しだけ横を見上げてみると、航の綺麗な横顔があった。


そんな航の横顔を見ているうちに、ひかるは自分の存在が何なのか考えることが増えた。


航はたしかに優しいが、これは、他の誰にでもに対してであり、本当は自分とは関わりたくないのかもしれない。それでも優しいから言わないでいるのではないか…


ひかるは航にどう思われてるかわからないから怖かった。実は生まれて初めての恋で経験がなく、不安でしかないのだ。


名前を呼ばれる度に喜び、会話する度に幸せを感じた。

それと同時に、航の機嫌が悪い時は、自分が原因だったらどうしよう という恐怖や、嫌われていたらどうしよう という不安が積もった。

人にこの恋を相談したならば、決まって

「告っちゃいなよ(笑」

と言われ怒りと悲しみが混じった感情に襲われた。


「いやいや…告って振られるのも嫌だし、

その後に嫌われたくないんだよね…

なんていうか、もっと慎重に行動したい」


ひかるの本音だった。

次の瞬間、今まで静かにしていたクラスメイトがこう言った。


「でも本当に嫌いだったら返信しないと

思うよ?」


その言葉を信じて、望んだ。


長々とLINEして気付いたことがある。


航は、都合の悪いことには曖昧に答えたり、まず返信しないこともある。

一度に二つの異なることを聞けば、大体後者の質問だけ答える。


ひかるの

「嫌だったら言ってね」


に対して

「別にー」


としか答えないのだった。


ひかるは女子の割に勘が鈍く、人の考えてることを読み取ることが苦手で、はっきり言われないとわからないために、曖昧に返されると怖くて仕方なかった。



嫌われてたらどうしよう


航に好意と恐れを抱いていた。


「わたしは好きだけど、玉砕したくない…」


初恋、成功したことも無ければ失敗したこともない状態である。

成功も失敗も知らないその状態で失敗を恐れ続けた。

それでもやはり自信が無くて、航の眼中に自分は居ないんだろうな、って思ってしまうのであった。



航は本当に何も考えておらず、嫌いなら無視するし関わらない人だ。まず、あまり人を嫌うことをしない。

もちろん、ひかるが何故こんなに不思議なことを聞くのかわからなかった。

話すうちに、そこまで気を遣うくらいの相手ではないと気付いたため、その場のノリで関わってるのだった。



ひかるが気にするほど航は何も考えていないのだ。


学校で会って「おはよー」を交わすのみ。


ひかるはそんな日常は嬉しくもあり不安でもあった。


七月の半ばになった時、航はひかるの内心に気付いた。ただ、確信が持てず半信半疑だった。


「いや、そんなはずはないね。

多分俺の思い違いだよ。こんなヤツの

どこがいいのかわかんねーもんな…」



航は恋愛したことあるし、なんなら経験済みだ。今までに5人と付き合ったことがあるが、全て長くても半年で、短くて半月であった。


航はあまり気にしておらず、正直な話、相手が女子なら誰でもあまりこだわりがないのだ。



ひかるは航が好きだ。

でも航は、そんなひかるを受け入れることができるのだろうか…


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