風と雨のステージを歩く今日という一日は、まさに自然が仕掛けた不機嫌な即興劇のようだった
家を出た瞬間から、行く手を阻むような強い風。歩きにくさに顔をしかめながら、ふと見上げた空の記憶から、私の言葉の旅が始まった。晴れ舞台雲がステージ形取り青空を背に、ぽっかりと浮かぶ白い雲。それはまるで、これから始まる華やかな舞台の大道具のようだった。しかし、自然という名の演出家は、気まぐれにその舞台の幕をガラリと変えてしまう。昼を過ぎる頃には、空の機嫌はいよいよ悪くなった。容赦なく吹き付ける大風。息を吸うのも一苦労なほどの突風の中で、言葉さえも風の彼方へと連れ去られていく。大風や雨にうたれて声かすむ激しい風と、パラパラと落ちてきた雨。冷たい滴に打たれながら声を絞り出しても、世界の轟音にかき消されてしまう。そんな孤独と、自然の圧倒的な質量を肌で感じた瞬間だった。だが、嫌な天気はそれだけでは終わらない。あんなに激しかった風が、ある瞬間、ふっと不自然に止んだのだ。静寂と同時に押し寄せてきたのは、肌にまとわりつくような不快なジメジメ感。湿った空気が、容赦なく体力を奪っていく。遠くに見える、重たく湿った灰色のベール。私は濡れた服を気にしながら、心の中で空に急かされていた。雨雲や早く歩めと露時雨「本降りになる前に、さあ早く行きなさい」立ち込める雨雲が、無言のプレッシャーで私の背中を押す。足元の草木から滴る露と、冷たい時雨に急かされながら、私は一歩一歩、家路を急いだ。強風に煽られ、湿気に悩まされた最悪の天気。けれど、そんな嫌な一日も、言葉を紡ぐレンズを通してみれば、これほどまでにドラマチックな三つの景色を見せてくれる。通り過ぎた嵐の余韻を感じながら、私は静かにペンを置いた。
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本日は、本作をリアルタイムで追いかけてくださっている皆様へ、すでに【完結済】となっている、私のもう一つの歴史小説をご案内させてください。
屋島の海に舞った紅の扇を射落としたことであまりに有名な英雄・那須与一。
もしも彼が「英雄になりたくなかった、一人のストイックな職人」として、ただただ一族の泥臭い生存を追い求めていたとしたら――。
■ 完結済『風を読む ―那須与宗隆 手塩の弓』
大冷山から吹き下ろす「那須おろし」は、飢えた者の肌を容赦なく削る。
後世、人々は彼を英雄と呼ぶでしょう。だが、彼が真に射抜こうとしたものは、名誉でも英雄の座でもありませんでした。それは明日の飯であり、引き裂かれた血族の再会であり、「那須の人間は、しぶてぇんだっぺ」と笑い飛ばす、終わりのない一族の生存そのものでした。
華やかな源平合戦の影で、弓という「道具」一つを武器に、時代の嵐を読み解き、八百年の未来を射抜こうとした一人の職人の物語です。
すでに最後まで一気読みしていただける状態になっております。「那須一族のしぶとさに勇気をもらった」と感じていただけましたら幸いです。ぜひこちらのURLから、那須の荒野の風を感じてみてください!
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