雲を仰いで、平和な国を思う。
【エッセイ】
ふと見上げた空に、不思議な形をした雲が浮かんでいることがある。
ただのちぎれ雲、あるいは夕立を告げる入道雲。
そんな自然の悪戯に、私たちは時に遠い神話の幻影を見、時に見たこともない宇宙の異形を重ね合わせる。
ある日、無邪気な子供たちに囲まれる温かな時間があった。
屈託のない笑顔と、賑やかな声。
大人という殻を脱ぎ捨てて、一緒になって顔をくしゃくしゃにしてみる。
幼稚園 児に囲まれて あっかんべ
そんな騒がしくも愛おしい日常から一歩離れ、視線を遠くの山へと向ける。
越後の名峰・弥彦山の頂に、まるで孫悟空の乗る筋斗雲のような、ふわりとした美しい雲が懸かっていた。
山が雲を見初めたのか、あるいは雲が山に恋をしたのか。
きんとうん 弥彦山にも 見初められ
あの雲に乗ることができたなら、このまま時を忘れて、のどかで美しい「和の国」へ連れて行ってはくれないだろうか。
現代の喧騒を離れ、どこか懐かしい心の故郷へ。
そんな切ない憧れを抱きながら空を睨んでいると、不意に雲の形が歪み、まるで宇宙から来た長い頭の異形――「エイリヤン」が雲の波間に溺れているかのような、奇妙でトボけた姿に見えてきた。
エイリヤン 雲の波間に 溺れけり
脈絡のない空の表情、脈絡のない日々の情景。
しかし、それらを結びつけるのは、いつも見上げる私たちの心なのだろう。
日常の小さなお茶目から、遥かなる和の国への憧憬、臨機応変に「エイリヤン」と呼んでしまう遊び心まで。
空という名のキャンバスは、今日も私たちを飽きさせない。
掲載中作品に入れる「那須与一」コマーシャル後書き文案
いつも応援ありがとうございます。
本日は、本作をリアルタイムで追いかけてくださっている皆様へ、すでに【完結済】となっている、私のもう一つの歴史小説をご案内させてください。
屋島の海に舞った紅の扇を射落としたことであまりに有名な英雄・那須与一。
もしも彼が「英雄になりたくなかった、一人のストイックな職人」として、ただただ一族の泥臭い生存を追い求めていたとしたら――。
■ 完結済『風を読む ―那須与宗隆 手塩の弓』
大冷山から吹き下ろす「那須おろし」は、飢えた者の肌を容赦なく削る。
後世、人々は彼を英雄と呼ぶでしょう。だが、彼が真に射抜こうとしたものは、名誉でも英雄の座でもありませんでした。それは明日の飯であり、引き裂かれた血族の再会であり、「那須の人間は、しぶてぇんだっぺ」と笑い飛ばす、終わりのない一族の生存そのものでした。
華やかな源平合戦の影で、弓という「道具」一つを武器に、時代の嵐を読み解き、八百年の未来を射抜こうとした一人の職人の物語です。
すでに最後まで一気読みしていただける状態になっております。「那須一族のしぶとさに勇気をもらった」と感じていただけましたら幸いです。ぜひこちらのURLから、那須の荒野の風を感じてみてください!
https://syosetu.com/usernovelmanage/top/ncode/3149789/




