【第1話】日常のきらめきと、小さな命のカルテット
「小説家になろう」にお集まりの皆さん、こんにちは。あっちゅ寝太郎です。
皆さんは最近、いつもの散歩道で、ふと足を止めたことはありますか?
忙しい日々の合間、ただの通り道だと思っていた場所に、実はちいさなドラマやユーモアがぎっしり詰まっている。そんなことに気づくと、いつもの景色がガラリと変わって見えるものです。
今回は、私の散歩道で出会った、ちいさな命たちの物語をお届けします。
◇
ある日の昼下がり、少し汗ばむような坂道を歩いていると、先客がおりました。
「坂 道 に し お か ら と ん ぼ 羽 や す み」
透き通った羽をきらめかせて、ちょこんと石の上に留まるしおからとんぼ。
彼らにとってみれば、この何気ない坂道も、長い旅の途中の立派な宿場町なのかもしれません。しばしの休息を邪魔しないよう、そっと横を通り抜けます。
さらに歩みを進めると、今度は賑やかな足音が聞こえてきました。
「散 歩 道 鳩 こ つ こ つ と み ど り 弾 く」
鳩が地面の何かを、こつこつ、こつこつと突っついている。
そのユーモラスな一突きごとに、まわりの眩しい新緑や青葉が、まるで光の粒になってパチンと弾け飛ぶような、そんな瑞々しい躍動感がそこにはありました。
ふと見上げれば、今度は頭の上が騒がしい。
「青 空 に 雀 3 匹 カ ル テ ッ ト」
見上げると、電線に雀が3匹。ちゅんちゅん、ちゅちゅんと楽しそうに囀り合っている。
……おや?3匹なのに「カルテット(四重奏)」?
そう、あとの一人は、澄み渡った見事な青空そのものか。あるいは、それを見上げてにやにやしている、私自身だったのかもしれません。
◇
さて、これだけ歩けば、お腹もすくというものです。
川辺のベンチに腰を下ろし、持参したおにぎりを頬張る。これがまた、最高の贅沢。
「口 元 の 川 辺 で 探 る 白 い 粒」
川のせせらぎを聞きながら、口元へと運ぶ、白く輝くお米の粒。
この豊かな川の流れが、あの美味しいお米を育んだのだなぁ……なんて、しみじみと考えながら、大きな口で最後の一口をモグモグと。
一息ついて、ふぅと「ひと休み」です。
「ひと休み 頬に残るは 白い粒」
あぁ、やってしまいました。
美味さのあまり夢中で頬張ったせいで、口元というか、頬のあたりに「白い粒」がついたままだった。
川の水面に映った自分の間抜けな顔を見て、思わず苦笑いです。
でも、そんな失敗も含めて、なんとも愛おしい日常の一コマ。
皆さんも、いつもの道を歩くときは、ちょっとだけ耳を澄まし、目を凝らしてみてください。
ちいさな雀の指揮者が、あなたをカルテットのメンバーに誘うために、待っているかもしれませんよ。
(第2話へ続く)




