トンネルを抜けると、そこは銀河だった 〜越後七浦シーサイドライン・星戦の誘い〜
自分で詠んだ俳句を自分で解説するなんざ、野暮の極み、いと恥ずかし……。
そうは思いつつも、トンネルを抜けた瞬間に目にしたあの劇的な風景だけは、どうしても語らずにはいられませぬ。素人の戯れ言と笑い飛ばしつつ、しばしお付き合いくだされば幸いです。
新潟市から柏崎市へと続く、日本海屈指のドライブコース「越後七浦シーサイドライン」。かつて松尾芭蕉や良寛法師が歩み、その風光明媚な情景を歌に詠んだ歴史ある国定公園の道だ。だが、現代のこのアスファルトの「海の道」には、古人たちも想像し得なかった、息をのむほどドラマチックな顔がある。
夕暮れ時、迫り来る岩肌のトンネルを抜けた瞬間、フロントガラスいっぱいに広がったのは、言葉を失うほどの異風景だった。
第一幕:黄金から闇へのグラデーション
粉金冷め 暮れゆく夕陽 角田山
(ルビ:こがねさめ くれゆくゆうひ かくだやま)
つい先ほどまで空を粉金色に染め上げていたドラマチックな夕陽が、刻一刻と熱を失い、冷ややかな夜の気配へと移り変わっていく。その光と影の境界線に、どっしりと佇む角田山のシルエット。それは、この地に流れる悠久の時間を象徴するかのような、静寂の美しさだ。
第二幕:歴史の先にある理想郷
泰平の 向かう夕日の 日の望都か
(ルビ:たいへいの むかうゆうひの ひのもとか)
激動の歴史を超え、今ここにある泰平の世。沈みゆく夕日のその向こうに、私たちは何を見るのだろう。はるか彼方に浮かび上がるのは、我らが目指した理想の都――「望都」。これこそが、幾千年の時を紡いできた「日の本」の姿なのだと、胸の奥が熱くなるのを感じる。
第三幕:トンネルの先、SFの世界へ
星戦か 最後のカーブ 海の道
(ルビ:せいせんか さいごのかーぶ うみのみち)
そして、夜の帳が下りる。迫る奇岩のトンネルをくぐり抜け、最後のカーブに差し掛かった瞬間、景色は一変する。
暗闇の日本海に沿って、流れるように連なる車のテールランプとヘッドライトの光跡。それはまるで、SF映画『スター・ウォーズ』の銀河をハイスピードで駆け抜ける宇宙船の群れ、あるいは宇宙空間で繰り広げられる「星戦」のワンシーンそのものだ。
新潟を、走りたくなる。
もしも芭蕉が、江戸から佐渡へと向かう道すがら、現代のこの「異な風景」を目にしたら、一体どんな句を詠んだだろうか。古人が愛した風光明媚な自然と、現代の光が織りなす圧倒的なサイバー・ロマン。
ただのドライブコースではない。ここは、時空を超え、銀河へとつながる海の道。
次の週末、あなたもトンネルを抜けて、あの輝く光のカーブへ飛び込んでみませんか。




