第1.5章 実行
看護師は、冷たい空気が肌に触れて目を覚ました。
「……ん?」と、看護師が呟いた。
ゆっくり瞬く。
「……ふぁ。え?」と、看護師が寝ぼけた声を出した。
そして自分を見下ろした。
「えええ!? な、な――なにいいいいいい!?」と、看護師が叫んだ。
彼女は慌ててシーツを胸元へ引き寄せた。
状況を理解するより先に、廊下から足音が雪崩れ込んでくる。
バンッ!
警備員と医者たちが部屋へ押し寄せた。
「大丈夫ですか?」と、警備員が尋ねた。
「今の音は何です?」と、医者が言った。
「怪我は?」と、別の医者が聞く。
「何があったんですか?」と、スタッフの一人が尋ねた。
看護師は震える声で、それでも丁寧に答えた。
「患者に首を絞められて気絶した、ということですか?」と、医者の一人が尋ねた。「ですが彼はどこへ?」
「それは、残念ながら私にもわかりません」と、看護師が答えた。「ただ、一つだけ変化がありました」
彼女はシーツを強く抱いた。
「私の服が……ありません」
「服?」と、警備員が言った。「どうしてです? あの変態に何かされたんですか!?」
「気絶していた間のことなので、正確にはお答えできません。ただ、急におかしな違和感があるわけではありません。意味はおわかりかと」
集団の後ろから、か細い声がした。
「あ、あの……皆さん、見てください」と、若いスタッフが言った。
予備のスクラブを着た、気弱そうな若者だった。真っ直ぐな髪をしていて、声まで妙に理屈っぽい。
全員が振り向く。
「どうした?」と、医者が聞いた。
「窓枠に、ガラス片と液体が不自然に多く残っていませんか?」と、若いスタッフが言った。
「それが?」と、警備員が返す。
「見えるな」と、医者が言った。
「で?」と、別のスタッフが言う。
若者は唾を飲む。
「もしかすると、その、患者が窓を割ったと仮定できるかもしれません。誤解しないでください。皆さんが彼女に質問している間、僕は少しガラス片を並べ直しました。ラベルが標準巻き戻し薬に似ています。こう想像できます」
部屋が静まる。
若者は早口になった。
「まず患者は瓶を一本取った。次に窓を割り、外へ出て、窓へ向かって瓶を投げ、割れた状態から巻き戻そうとした。そして逃げた。荒唐無稽に聞こえるのはわかりますが――」
「ええ? なぜそんなことを?」と、医者の一人が遮った。「動機がない。雑すぎる」
「そこを説明したいんです」と、若者が言った。「窓を割った理由と、証拠が露骨に残っている理由、その両方に説明がつきます」
「聞こう」と、医者が言った。
「さっきこの部屋から悲鳴が聞こえました。患者の声ですよね?」
医者たちが頷く。
「あの悲鳴は怖かったです。本当に。正直、漏らしかけました。それに、医者が助けようとした時、患者は激しく抵抗したと聞きました。つまり彼は、激痛による極度の精神的混乱にあったと考えられます。目を覚ました時、恐怖と妄想でいっぱいだったはずです」
看護師はシーツを握ったまま黙って聞いた。
「だから目覚めた彼は、看護師を絞め落として逃げた。ただ最後の理性で薬瓶を使おうとした。ラベルを読んで、巻き戻し薬を窓に投げた。ガラスと液体が雑に残っているのも、パニックで手当たり次第に動いたからだと説明できます」
医者たちは彼を見た。
質問が飛ぶ。
若者は答えた。
ぎこちなく。
怯えながら。
だが筋は通っていた。
やがて、スタッフたちはその説を受け入れた。
「警察に連絡し、患者を捜索してください」と、医者が命じた。
「賛成です。行きましょう」と、別のスタッフが言った。
部屋から人が少しずつ出ていく。
残ったのは、シーツを巻いた看護師。
そして予備スクラブの若い男だけだった。




