不法占拠された王宮、あるいは執拗なビジュアル復旧作業
魔王が黄泉の国から帰還し、世界のレンダリング設定が「終末モード」に強制変更されました。空は血の池のような赤黒さに固定され、淀んだ空気が人々の「生存パラメータ」を削り取っていきます。
其の一:管理職とインターンの不衛生な「疎通確認」
そんな絶望的な景観の中でも、田所とダッパの二人は平常運転(全損)でした。
「ダッパさん。業務連絡です。本日のメンタル・コンディションを確認するため、例の『ニーオウ』を私の右の耳たぶへ試験的にパッチ適用してください」
「ハイ! 管理職殿! 遠慮なく……喰らえ、『ニーオウ』!!」
「…………!!(※耳たぶを指でつまんで至近距離でスキャンする田所)」
「うわっ、クッサー!! 全損です! この異臭データ、以前よりビットレート(臭気密度)が向上しています。ダッパさん、ナイス・デバッグです。このまま異臭担当としてのキャリアをホールドしてください」
「ヒッヒッヒ! ありがとうございます! 師匠にガーリック攻撃で消し飛ばされそうになった甲斐がありました!」
其の二:ヒロインの「ビジュアル・メンテナンス」
そんな二人の背後で、メリルは魔王のことなど一ミリも考えず、一心不乱に歯を磨いていました。
「(シャカシャカシャカシャカ!!)……取れない! 何なのよこのバジリコ! 呪いなの!? 魔法で焼き尽くしたいのに、自分の歯だから加減が全損レベルで難しいじゃないのよぉぉ!」
「メリルさん。その『歯磨き』という名の物理的クレンジング、既に3時間を経過しています。工数の無駄遣い(ロスト)です」
「うるさいわね! 勇者パーティーのメイン魔道士が、前歯に『常温のピザ』みたいなデータ残したまま戦えるわけないでしょ! 世界を救う前に私のビジュアル・整合性を救いなさいよ!」
メリルは「工業用高圧洗浄機(魔法版)」を口に突っ込みそうな勢いで、血眼になって磨き続けています。
其 三:カッパリーナ王国からの緊急チケット
そこへ、隣国の**「カッパリーナ王国」**から、涙ながらの緊急要請が届きました。
【件名】王宮内における未承認オブジェクト(魔物)の大量発生について
我が国の王宮に、不気味な魔物たちが勝手に住み着き、居座っております。
奴らの『不潔さ』の前に衛兵の戦意が全損。
どうか、伝説の管理職殿の力で、この**不法占拠**を解消してください。
「(……いけない。カッパリーナ王国の資産価値が、未登録の入居者によって毀損されています。これは不動産管理における重大な不備。目下、全力で**『強制立ち退きプロトコル』**を執行いたします)」
其 四:移動中も継続される「デバッグ(歯磨き)」
一行はカッパリーナ王国へ向けて出発しましたが、メリルは馬車の中でも「超硬質ブラシ」をホールドしたまま、必死の形相で鏡を睨んでいました。
「(……シャカシャカ!)……まだよ……まだ左の犬歯の裏にバジリコのパッチが残ってるわ……! これを消去しない限り、私の戦いは終わらないのよ……!」
「メリルさん。カッパリーナ王国は湿度が120%に設定されたヌメヌメの国です。せっかく磨いても、到着した瞬間に水質データで再汚染(全損)される可能性がありますよ」
「……その時は、この国ごと**『除菌(爆破)』**してやるわよぉぉ!!」
今回のリザルト:王国の威厳およびメリルの歯茎の耐久力の全損
カッパリーナ王宮の門をくぐる瞬間、田所は「強制立ち退き執行状(ガムテープ付き)」を準備し、メリルはついに血を吐きながら最後の一片をデリートすることに成功(?)しました。
• 現在の任務: カッパリーナ王宮の不法占拠者のデバッグ。
• メリルの状態: 歯は真っ白になったが、歯茎のダメージが全損。口を開くとガーリック臭が漏れる仕様は継続中。
• 田所の状態: 耳たぶの納豆臭を「本日の標準値」として登記。
「…………(※訳:カッパリーナ国王殿。安心してください。私がここを**更地(データ初期化)**に戻して差し上げます。……メリルさん、口から血が出ていますよ。ビジュアル・エラーです)」
「……アンタの……せいでしょうがぁぁ!!(※ホワイトニング完了後の叫び)」
不法占拠されたヌメヌメの王宮で、一行の「管理(掃除)」が始まります。




