騎士がきた
私とハルト様は手を繋ぎながら、お店がいっぱいの道を抜け広場へと出る。
「まずは腹ごなしだな、ここなら好きなものを色々選んで食べられる」
出店がいっぱいあって、広場で食べれるようになってる。フードコートみたいな感じ。
美味しそうだったサンドイッチを選んで、ハルト様は他の店で串焼きとかポテトとか買ってきた。ジャンクフード好きなのかな。
「王子様って毒味もしないで食べて良いんですね。あ、そういえば護衛みたいな人も連れてないけど」
「時間が出来たらよく来ていたから毒味など今更だな。護衛はその辺に数人いるぞ、マークスがこれ見よがしに近くまで来てる。離れておけと言ったのに」
居たのか。そりゃ居るか。
キョロキョロ見渡したら斜め後ろにイケメンがいたから多分この人がマークスさん。顔覚えてないけど攻略対象だからイケメンのはず。
目があったマークスさんらしき人はこっちに向かって手を振りながら近づいてきた。信じられない量の食べ物持ってる。
「バレちゃった、ご一緒していい?殿下。サクラ嬢久しぶり~」
言いながら同じ席につく。二人ともまだ返事してないけど。
「態とだろう……邪魔するなマークス」
「まあまあいーじゃん、これから何回も来れるんだし。サクラ嬢にお礼言いたかったんだ」
お礼?
「そう、元気に戻ってきてくれてありがとって。ハルトが死ぬ死ぬ言うの納得出来てなかったからね、その必要がなくなってよかった。サクラ嬢は前世覚えてるの?」
「……えーっと、覚えてるようなそうでないような」
死んでないし、覚えてるけどゲームの内容ちょろっとだけだしなぁ。この人とどのくらい関わってたっけ?
「サクラは曖昧だが記憶自体はある。対外用にそれなりの理由を作っておかないといけないな、儀式内容を知る人間は少ないが前世等言うと籍が面倒だ」
「まず前世じゃないです」
「生まれ変わり呼ぶって聞いてたけど違うの?色違うけどまんまサクラ嬢?」
えー、またゲームの話しないといけないのかなぁ。
「サクラは魂を分け二つの世界で二つの人生を生きていたらしい。魂が身体を維持出来なくなりこちらのサクラは消えたようだ」
おぉ、ハルト様上手いこと言う。違うけどなんか納得できそうな感じに短く纏まってる。
「それで違う世界のサクラ嬢が呼ばれたってこと?本人そのものじゃないけど前世でもない?双子に近いのかな」
「こちらのサクラとしての記憶も混濁してはいるが残っている、双子みたいに別の人間なわけじゃない。しかし消えたときにそれまでの感情も消えたのでこれから頑張るしかないな」
「え、愛情なくなっちゃったの?傍から見てると仲良しなの変わってなかったけど」
だって手ぇ繋がないとハルト様歩かないんだもん。
「ハルト様の押しがですね…」
「あはは、ハルト拗らせてるからね。まぁそのまま仲良くしてやってよ、笑うハルト見るのも久しぶりなんだ。今世で幸せにしてあげてくれたら嬉しいな」
「仲良しなんですねぇ…えーと、すみません家名わからなくて」
「主従の前に幼なじみだからね。マークスで良いよ~、サクラ嬢もそのうち雇用側だし。ハルトにも様つけてないし慣れてないからサクラちゃんて呼ばせてね」
「雇用側?」
ハルト様とセットにされてないか。生活の面倒みてもらってるししょうがないのか?
「そそ、ナイトハルト王子殿下は爵位をもって居なくなるでしょ。オレ領地まで着いてくからね、ハルトとサクラちゃんは雇用側」
「マークスお前ついてくるのか」
「行くよ~。王様になったハルトを守るつもりだったけど、公爵になるハルトも守ってあげるよ」
「わー、マークス様格好いいです」
さすが千花の推し。
「ふふふ。様付けはダメだよ~サクラちゃん」
「サクラ……俺はまだ言われたことないぞ」
「ハルト様グイグイくるから格好いい感じなかったです。綺麗とか可愛いとは思ったけど」
「綺麗はまぁ分かるけど可愛いハルト想像つかないな~。どんなの?」
「なんかこう…子犬みたいな」
「サクラ」
「犬!あはははハルトはサクラちゃんの前だと犬!」
「マークスも…もうお前戻れ、食べ終わってるだろう」
「はいはい戻りますよ、またねサクラちゃん。と犬殿下」
「あ、はい。えーと、護衛ありがとうございますマークスさん」
マークスさんは来た時と同じように手を振りながら去って行った。近くにいたのは話すためだったんだろな。
「犬……やはりサクラの前では『私』の方が格好がつく気がする」
ハルト様がブツブツ言ってる。ごめんなさい私のせいですね。
「『俺』の方が良いです。あと犬ってその、すいません悪い意味で言ったんじゃなくて……子犬って放っておけなくて可愛くないですか」
伝わるかなぁ。
「わからん。可愛いより格好良いの方が良い」
「いや、そりゃ見た目は格好良いですけど。私の中でハルト様は格好良いより可愛いです」
「むぅ…何故だ」
好き好き攻撃のせいかな。すぐ目が潤むし。
「愛してるとか言われなきゃカッコいいって思うかも」
「それは不可能だな。格好付けたいがそこは譲れないのでまぁ良しとしよう。可愛いも褒め言葉だ」
納得するのはやいな。好き好き減るかと思ったけど無理っぽい。




