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記念写真



結構な時間お店に居たので、そのまま写真館へ戻ってスタジオに入る。


「まずはこのまま撮ってもらって、あとはどうしようか。着たい衣装はある?」


「温泉だし、浴衣着たいです」


「いいな、俺も一緒に着よう」


そのまま何枚か写真を撮って、着付けをしてもらいに更衣室へ。


髪型は簡単にアップにしてもらって、ちりめん素材の大きめの髪飾り。宿の簡単に羽織って帯結ぶのとは違って、ちゃんと着付けてもらった浴衣はテンションあがる。


「可愛い!ちゃんと着た浴衣もいいな、少し大人びて見える」


更衣室から出るとすぐにハルト様に声をかけられた。

大人っぽくなったのは軽くだけどお化粧してもらったおかげかな。


「ハルト様も似合いますね、もっと違和感出るかと思ってました。格好いいです」


ふわふわの金髪にシンプルな浴衣は意外と似合っていて、緩い感じでハルト様は逆に若く見える。


「ふふ、初めてサクラに格好良いと言われたな。サクラのものと一緒に買って帰って着るか」


「いやいや、いつも格好良いって思ってますって。こういうのはたまに着るから良いんですよ、毎日着てたら慣れちゃう。それに帯とか苦しいから普段は着たくないなぁ、男の人のはよくわかんないけど」


「そうか?可愛いのに。この髪型も可愛いが俺にはまだ無理だな…梳かしたあと侍女と交代するか」


髪型までそのうち練習はじめそうだなハルト様。


「サクラの髪は俺だけが触りたいな、侍女とはいえあまり任せたくない。さあ、早速撮ってもらおうか」


多分髪を纏めているせいで頭じゃなくてうなじにキスをされた。普段見えてないとこだからかすっごい恥ずかしい。


普通に座ったり、町歩き風に上着を羽織って撮ったりして撮影終了。なかなかない経験で楽しかった。

写真は後日出来たら送ってくれるらしい。


せっかくセットしてもらったので髪飾りだけ返却して、髪と化粧はそのままで写真館を出た。



「その髪型には飾りがある方が良い、さっきの店で探そう」


ということで民芸店に再来店。あれもこれもと張り切っていっぱい買おうとするハルト様をどうにか説得して、一個だけ買ってもらった。

店で封を開けてもらい、その場でハルト様がつけてくれる。


「うん、よく似合う。可愛いな」


ご機嫌のハルト様と手を繋ぎ直しブラブラ散策再開。少し時間が経ったしもう一個くらい何か食べられないかなぁ。


「はは、まだ食べるつもりなんだ。普段はあまり間食もしないのに今日はよく食べるな」


「食べ歩きってテンション上がりません?うーん、温泉ぽいやつ……」


悩みに悩んで、串に刺したお団子にした。きな粉のやつ。

ハルト様は横のお店でステーキ串買ってたから、それも食べたくなっちゃって一口交換して食べた。どっちも美味しかった。





「そこに足湯があるな、休憩がてら入っていこう」


苦しかったから助かります、ありがとうハルト様。


「ふぁ~~、足先冷えてたからすごい気持ちいいです。ここで本読みたい」


足を浸けて腰掛けて、目の前にあるテーブルに突っ伏す。


「領主邸に温泉を引いたら足湯も作れるぞ」


「ハルト様の温泉推しすごいですね…ちょっと心惹かれるけど」


「外でゆっくり入る風呂は良い、サクラが一緒だったから尚更良かったのもあるが。邸でも一緒に入りたいな」


「いやぁ、別室にシャワーないから無理ですね」


あと服着たまま入るのってやっぱちょっと違和感。出てから濡れた服脱ぐのも大変だし、お風呂は開放的に入りたい。



足がポカポカになってからタオルで拭いて靴を履きなおし、宿に戻ろうと馬車まで歩く。

コロッケを買ったお店の近くまで戻ってきたところで、

「––––––––––––待って!!」


急に大声が聞こえた。





「えっ?」


振り向こうとした瞬間にマークスさんが飛び出してきて、そのまま後ろ手で私とハルト様は背に押しこまれる。


「ええっ」


すごい。見えるところには居なかったはずなのにマークスさん一瞬で現れた。格好いい。


「サクラ…そんなキラキラした目でマークスを見て」


横のハルト様から不満が聞こえたけど、これはしょうがない。格好良すぎる登場だった。


「ハルト、サクラちゃん。そのまま馬車に乗って」


いつものゆるゆるな雰囲気は全くなくて、腰元の剣に手を添えて、まっすぐ声をかけてきた人が居るであろう場所を睨んでるマークスさん。


「そこで留まれ、話もするな。動いたらこちらも動く」


「サクラ、邪魔になるから行こう」


「え、でも女の人の声でしたよ。そんな危ない感じは」

「サクラちゃん、人は見た目だけで判断出来ないから女性だろうが子供だろうが油断しちゃダメだよ」


ごもっとも。


ハルト様に促されて大人しく馬車の方へ向かう。



「待って、待って…––––––––っ、天宮桜!お願い待って!!」


「?!」


馬車に乗り込もうとした瞬間に、もう呼ばれることはなかった筈の名前が聞こえた。


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