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食べ歩き


お風呂から上がったら甲斐甲斐しいハルト様が冷たい炭酸水を準備してくれてて、椅子に座って髪の毛を拭いてもらいながら渡された炭酸水を飲む。


相当甘やかされてるよね私?

こういうのいつものことで慣れちゃってたけど、ハルト様現役王子様じゃん。


「サクラは俺を甘やかしてばかりで、俺にはサクラの心を甘やかす力量がないようだから、甘やかせられるところは全力で甘やしたい。それにサクラの髪を触るのが好きだから、これは甘やかしじゃなくて俺のやりたいことだな」


いつものように櫛で梳かされ、最後に頭にキスをされる。


「よし、バッチリだ。明日は朝から歩き回るしもう寝よう、おやすみ」


「おやすみなさい、温泉街楽しみです」


軽いキスをして、ハルト様はそのまま別の部屋へ休みに行った。





***




次の日はかなり早起きしてこっそり一人でまた露天風呂に入って、起きてきたハルト様と一緒に朝ごはんを食べてから馬車に乗り込んだ。


「宿にはまた戻るんですよね?3泊だっけ」


「あの宿ではあと1泊だな、残り1泊は少し足を伸ばして領地になる予定の場所を見てみようと思って。露天風呂が思いの外気持ち良かったから、領地内で温泉の湧く場所に別荘を作るのも良いな」


「温泉のためにですか?王都にも邸あるし、別荘なんかいらないですよ」


別宅も作ってるのに家何個持つつもりなんだ。


「そうか?じゃあ領主邸の敷地内に露天風呂…近くの温泉から引いてこれないかな」


大工事じゃん。そんなに露天風呂気に入ったの?


「露天風呂だけ作って入浴剤入れるんじゃダメなんですか」


「入浴剤か、あの独特のとろみが気持ち良かったんだが」


「とろとろの入浴剤あるかもですよ、お店で探してみましょうよ」


「あるかな……ああ、馬車が止まったな。もう着いたか」


カチャッと馬車の扉が開けられて、手を借りて降りて、そのままお決まりの手繋ぎで歩きだす。

温泉街はザ・温泉街で、そこかしこから湯気が上がっててワクワクする。



「卵ー!ハルト様温泉卵食べたいです」


店先のベンチに座って半熟卵を食べて、


「あっ、温泉コロッケですって!温泉とコロッケ関係なさげだけどアレも食べてみたい」


卵まだ半分残ってるけど次に食べたいの見つけちゃった。今日はもうお昼ここでいろんなの食べたいな。


「ありがとうございます」


ハルト様はもう食べ終わってるからとコロッケを買いに行ってくれた。卵を食べ終わって水を飲んで、コロッケにとりかかる。


「俺は平気だがこのペースだとサクラはすぐ満腹になって、先の方の店の食べ物が食べられなくなるぞ」


「う……買って帰れるやつは食べないでおきます」


「はは、腹にたまりそうなやつは半分ずつにしようか。はしゃぐサクラも可愛いからなるべく長く食べ歩きしたいな」


「コロッケ半分こにしとけば良かったですね…あ、ここ見たいです。入浴剤ある」


湯の花とかかなり温泉ぽいよね。露天風呂なら良い匂いの入浴剤より温泉感出ると思う。


「ふぅん、湯の花?白い…」


「液体のやつもあった、私こっちのが温泉感強くて好きです。でも風呂釜ダメになるからってお婆ちゃんの家でしか使えなくて。粉の方も追い炊き駄目とか聞いた気がする…」


「それは露天風呂には向いてないな、すぐ冷めるぞ」


「ですねぇ……残念」



普通に良い匂いがするバスボムを何個か買って、また外を歩く。


焼き鳥ととうもろこしを食べたあたりでお腹が苦しくなってきて、温泉蒸しプリンと温泉饅頭はお持ち帰り。ソフトクリームは根性で食べた。


「うぅ……食べ歩き強制終了」


「予想通り最後まで辿り着かなかったな。食べ物以外で興味ある店はあるか?」


笑うハルト様に問われて、お腹をさすりながらぐるっと周りを見渡す。


「お土産は買ってく相手も居ないしなぁ…ハルト様は?」


「そうだなぁ、何か記念に残るものがいいな」


「記念…何か作ったり写真撮ったりですかね」


「写真いいな!サクラと写真撮りたい。写真館どこかな」


ハルト様は街歩きマップを取り出してにこにこ探し出した。

写真館で撮るのか、本格的だなぁ。七五三以来な気がする。


「サクラ、二本先を左に行ってすぐのところだ!」


急かすハルト様に手を引かれて、写真館へ入る。


「色々衣装がある、着てみたいかも」


ハルト様が受付をしている間に沢山ある衣装を眺めてみたら着物からドレスまで幅広い。子供用の着ぐるみとか超可愛い。



「サクラ、少し待てばすぐ撮影出来るみたいだ。近くの店を見ながら待っていよう」


「はぁい」


マップを確認する。食べ物系はもう厳しいし、民芸店を見てみようってなった。


斜め前のお店に入って色々物色。提灯とか刀とか、定番お土産グッズがいっぱい。


「なぁサクラ、このへんのどうだ?」


ハルト様が指差したのは和風な櫛が並ぶコーナー。

近寄って見てみる。


「へぇ、木だけでもいろんな種類があるんですね」


つげは聞いたことあるな。


「サクラの髪を毎日梳かすだろう?俺が梳かす時に専用の櫛があったらいいな。ここで買っていったら櫛を使うたび旅行のことも思い出せて、きっともっと嬉しい」


「実用性あっていいですね、どれがいいかな?」


「サクラが持ち歩けるように小さいのが一つと、家で俺が梳かす用に普通のサイズが一つかな」


形もサイズも色々ある、買うなら黒塗りのやつより木の色が出てるやつだな。


「…あ、コレかわいい。見てくださいホラ」


「犬?」


木の部分に犬の形で真っ黒に書いたイラスト入ってて可愛すぎない感じに可愛い。


「サクラ…」


「あっ、当て付けとかじゃないんですよ?普通に犬好きなんです、飼ってたし。特にこういうシルエットだけとか肉球だけとかのやつ」


「そうか、じゃあ俺が使うのはこれにしよう」


納得するのはやい。そんなつもりはなかったけど嫌味とかだととられなくて良かった。


「小さいのは半月のやつかな…あ、これも犬のあるからこれがいいな」


ケースもちりめんで可愛い。



結局その二つと、あとハルト様も自分用に歯が荒い携帯用のつげ櫛を買った。


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