第54話 最悪の情報
『バタン!!』
じっちゃんと話をしていた所、玄関のドアがいきなり開いた。
「勇!お父さん!情報入ったわ!!」
家に入ってきたのは姉さんだった。
とても慌てた様子で、叫んでいる事から手に入った情報が急を要する物である事が分かる。
「落ち着いて。ゆっくり、話して」
慌てすぎて何を言っているか分からない状況になったので、まず一度姉さんを落ち着かせる様に、ジェスチャーで表しながら、話しやすいような雰囲気を作る。
姉さんが落ち着き、居間も異様な静けさに包まれた時姉さんはゆっくり話しだした。
「・・出現したのは邪神よ。二人も邪神の邪気に当てられたの」
もう、分かった事ではあったが確認の意味も含めてうなずく。
「・・そしてあの邪神は今日までは中級の邪である事も分かったわ。邪神にしても元邪の上級だとしても余りにも知性が無さ過ぎる」
『!!』
じっちゃんと二人して驚愕の表情になる。
(中級がいきなり邪神になるなんて聞いた事無いぞ!!姉さんの口ぶりから上級を経なかったって事はそれが可能なだけの起爆剤が無きゃ突然変異なんてできるわけ無い!
あの山にはそんな物感じなかったぞ!!)
「信じられないかもしれないけど事実なの。私だって起爆剤の存在には気付けなかったわ。それだけの作用なら何処に至って気付けるはずだもの、信じられないわ」
「・・あ、ああ。続けてよいぞ」
「・・・これが最悪の情報。その邪神はこの町の中心である駅にいるの」
「・・!!それじゃあ何人の被害が出るか分からないじゃないか!」
「今の所は大丈夫よ。その邪神はそこを中心にしてその身に持て余す力を結界にしようとしてるの。それも、黒式特有で最悪の虐殺結界」
「・・・」
もはや驚きすぎて声すら出なかった。
つまり、この町はその邪神のせいで駅近辺の人口が零になると言う事だ・・。
「それって大丈夫なのか!!」
この町の危険を改めて知り、立ち上がる所を姉さんに取り押さえられる。
「勇。倒しに行きたいのは分かるけど、まず、どうして大きな力を得たのか調べないと。何処からか供給されているとしたら何人がかりでも倒せない状態になるわ。もしそうだとしたら供給源を絶たないと」
姉さんに諭され、渋々座る。
「この邪神が生まれたのは、時刻も場所も勇達が肝試ししていた山と同じ。何か変わった所は無かった?」
あの山の奇妙な所と言えば神社の貧乏神と狛犬の目しかないな。だが、その二つは今関係ないはず。
・・・・あ。
「何か思い出した?」
「そう言えば、休んだ岩場に微量だけど血だまりがあった気がする・・・」
『それじゃ(だわ)!!』
二人が同時に同調の言葉を発する。
「その岩が御封石だったのよ!その岩に付いた血から霊力を吸って回復したんだわ!」
「でも!そうなるには多くの霊力を含んだ血じゃないといけないはずじゃ・・」
「・・・ふわぁ」
『!!!???』
姉さんの言葉に異論を唱えようとした所、唐突に、今は聞こえるはずの無い声が聞こえてきた。
「あれ?・・ここは?」
振り返ると、そこには、寝ぼけ眼を擦る輝明の姿があった。
輝明・・・起きちゃいました。




