第53話 ・・一回眠れ
『バタッ』
後ろにこの音を聞き前をあるいていた俺、拓也、太郎は振り返り、祝詞と輝明の二人が倒れている姿に驚愕した。
「・・お・・・おい。祝詞ちゃん?輝明?・・・大丈夫か?」
「・・おい。・・・冗談やめろよ。起きろよ!」
拓也がいつに無く弱気に、太郎は状況が分からず少しいきり立っているようであった。
俺は二人のからだを観察する。するとその周りにわずかだが邪気を感じる。
霊力ではなく邪気だ。
見ると、通ってきたあぜ道にも同様に邪気が残っている。
(邪気が残るという事は邪か?・・・でも邪なら命を残すなんて事はしないはず・・・。もしや・・・いや、まさか・・・・此処に・・?)
思考がまとまらないが、まず、拓也と太郎に関わらせてはいけない問題だという事は分かった。
二人の肩に手を置き、
「二人とも」
「あ?」
「どうした?」
「・・一回眠れ」
霊力で相手の脳に作用する術を掛ける。
すると二人同時にプツリと、人形の糸が切れたかのごとくその場に崩れ落ちようとした。それを支え、地面に寝かせてから、全員に対する記憶の操作を始める。
無事何事も無く肝試しが終わるようエピソードを考えて、その後は家に帰った後疲れてすぐ寝たと言う事にした。
電話をかけ、薫に応援を頼み、祝詞と輝明を薫に任せ、俺は拓也と太郎をそれぞれの家のそれぞれの部屋に戻す。当然、家の人の記憶は操作して。
―――勇の家
「これはどういう事じゃ?」
家に戻ってきた俺に一番に話しかけたのはじっちゃんだった。そして、開口一番二人が倒れている事について聞いてくる。
「肝試しの帰り道に二人がいきなり倒れて・・」
「そうじゃない。どうして、お前がいながらこうも易々とやられたかと言っているのじゃ」
じっちゃんが冷めた目で俺をにらむ。
普段温厚であるじっちゃんが時々見せる表情。俺が失敗した時の俺に対する顔だ。
「・・・」
まさに蛇に睨まれた蛙のごとく、俺は立ちすくみ言葉を失う。
「失敗・挫折は自分を成長させるいい機会。若いうちはそんな事は大いに結構じゃ。だが、それが何故起こったのか分からないのであれば成長などできるわけが無かろう。
失敗したら即思考・即修正・即行動。これは前にも行ったはずじゃ。同じ事を何度も言わせるでないぞ」
「・・はい」
「分かったならよいのじゃ。・・・さて、敵の情報ぐらいは取れているのであろうな?」
「あ、ああ。・・えっと、敵は多分一体。現場には邪気が残った事から邪・邪神である事は間違いないはず。でも、二人の状況を見て、命が残っている事を見ると・・」
「邪神であろうな」
邪・邪神は複数の霊体の集まったもののなれの果て。邪神には神話に出てくるような『悪い神』といった物もあるが、人間界にそんな大物が出てくる事は異常である。
今言う邪神とは、複数の霊体・・・・つまり、『多くの怨念・邪心の塊』なのであり、体からは常に邪気というオーラ的な物を発しているのが特徴である。彼らは邪気その物を攻撃・術に使う事もあるが主に陰陽師と同じ霊力である。目的を持って行動し、それ以外は無視する事が多い。
「勇は二人が倒れるまで気付かなかったのか?」
「ああ、霊力らしき物は感じなかった。二人はもしかしたら邪気に当てられたのかもしれない」
人間の中には必ず、霊感の強い弱いは存在する。祝詞はいわずもなが輝明も霊感がつよいのかもしれない。
「可能性は無きにしも非ずじゃな。邪気の中にはそれを構成する邪心の最も強い部分が出てくる」
「殺人やなんらかに対する復讐願望等の邪心だった場合・・」
「無意識の邪気じゃ。死にはしなくても数日、数ヶ月、悪くて永久に昏睡のどれかは免れんじゃろ・・・・」
俺の表情が落胆に染まるなか、玄関のドアが開かれた。
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テスト期間なので・・
すんません・・・m(―_-)m




