第55話 ちょっとこの子の体調べたいんだけど
「あれ?・・ここは?」
部屋を驚愕が彩る中、輝明は今いる場所が俺の家だと認識して、安心した様子を見せる。
いつ起きるかどうか分からないといっても、邪気に耐性の無い者は少なくて数日は目覚めないはず。今まで普通の生活を送ってきたのであれば邪気に耐性は付かない。
「・・運がよかったのか・・・何かしらで耐性があったのか・・・?」
ブツブツ呟き続ける俺に輝明が不振そうな面持ちで、また眠った。
「はい!?」
「この事は覚えてもらわない方が良いでしょ。何かとめんどくさそうだし」
「それはそうだけどそんな急に何の告知も無くやんないでよ!!」
「はいはい。わかったわよ。・・それで、ちょっとこの子の体調べたいんだけど」
「それ、聞こえ方によっては嫌な意味に聞こえるんだけど・・」
軽くあしらってきた姉さんに忠告をし、真意に気付いてハッとする。
「つまり、輝明に邪神が生まれた要因があると?」
「そうじゃな。邪気に対して運がよくて早く治ったなんて今まで聞いた事は無いからの」
「そう言う事。じゃあ、この子の中に溜まった邪気と、この子の持つと思われる能力の検索の術式張るから、その子庭に出して」
「わかった」
検索術式は、とても大きな術式である。サーチ術式と区別されるのは、検索術式にサーチ術式も組み込まれてあるからである。サーチ術式は厳密に言うと定められた物を数値化、または事象をそのまま術者に伝える術式で、数値や配置などを知りたい時に使われる。一方、検索術式は、社会的立場、能力、被術者の強い願望等が整理された状態で、言語で術者に伝えられる物である。つまり、サーチ術式で得られるのはデータ、検索術式で得られるのは情報、となる。
また、サーチは範囲指定、検索は個人指定と言う違いもある。
この検索術式は被術者の心や記憶の一片を見るための物であるため、とても術の陣が大きくなるのだ。
「じゃあ、始めるわよ」
そして、姉さんが庭に陣を描き始める。
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「・・・どうだった?」
術を終えた後の疲労感と、その内容による物であろう落胆がにじみ出るその表情に結果を問う。
「駄目だわ。どんなに道さぐってもこの子の中に見えない所があるのよ・・」
姉さんは輝明の能力について調べ始めたころから数回呻いたり、思考を始めたりする事が増えた。結局、姉さんの力や知識でもその中身を見る事は叶わなかったが、それでも先ほどの仮定に合うと考えて申し分ない程大きな情報である。
「邪神の生まれた所が勇等が行っていた山。そこで見た血。霊感の強さ。謎のままの素性。この子が邪神の発生の要因と考えてよいじゃろうな。守よ、ご苦労じゃった。休んでてよいぞ」
検索術式による疲労は思いのほか大きかったようだ。姉さんからいつもの霊力量を感じない。元々霊力消費の激しい術式ではあるが、この消費量の多さはやはり検索に掛かった時間と、多くの方法の試行を行った事が原因であろう。
自分の状況を理解して姉さんはじっちゃんの言葉どおりに休むため自室に戻っていった。
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「さて、勇よ。今から邪神の討伐に入るぞ」
「ああ」
邪神の発生原因が輝明である事が分かり、輝明からの異常な霊力漏れも確認できなかったため、邪神の霊力が無限で無い事が分かった。これで邪神討伐の第一条件はクリアされた。
第二条件は結界の処理である。
「虐殺結界についてはわしが術式を確認して対抗するための結界または術式を張り中和させるから心配しなくてよい」
邪神が発生、駅に到着してから結構時間が経っている。
今までの間薫が邪神の気をそらし、結界の完成を遅延させてきたが、あくまで遅延。完全なる処理には至らない。さらに邪神を殺すとなると未完成でも張ってくる可能性もある。
それらを考慮した上で、時間は掛かれどもじっちゃんの判断は正しい。
第三条件として何処からどうやって殺すかである。
「結界についてだが、邪神との戦闘時間も考慮して余り大きい範囲には張れないじゃろう。じゃから勇はなるべく遠くから攻撃せねばならんじゃろう。まあ、一般人のいるところは全域に張るが、予想される戦闘域全域には張る事はできないじゃろう。ちょうど飛び道具もあることじゃしその点は問題無しじゃろう。厳しい時は管狐を呼ぶ事も可とする。しかし、九尾にする事は認めぬぞ」
「だけどじっちゃん。この飛び道具は拳銃タイプだ。実際遠くから狙うとなると威力的に致命傷を負わせられるか分からないよ?」
「トドメの一撃を打ち込む場合は何らかの形で合図してくれれば一部結界をお前にまとわせる事も可能じゃ。ただし、もって10秒程度じゃがな」
人に纏わせる事のできる結界は通常の固定結界と違い、可動結界と呼ばれ、固定結界と比べ性能的に劣るが、利用しやすい点もある。
範囲指定を複雑な形にできる事である。
これは、結界の効果対象を個人設定する事で可能である。また、これのおかげで相手に結界の効果を与えない、または相手だけに与える事も可能である。
もう一つ、相手に気付かれにくいと言う事も理由のうちである。主に結界は自分が対象にならないと中級の陰陽師でも困難である。これから、無駄に相手を刺激する事が無いのである。
今回それを使うのはこの二つの理由からだ。時間制限はあるものの、邪神の力に対抗して全域に張るより、個人設定で張った方が効率的だ。さらに、刺激させると、どんな出方をするか判らなくなるのだ。
これで邪神をたおすための条件はほぼ全てクリアである。
後は邪神が、今どんな状態なのかだな。実際邪神が発生してから45分近く経っている。薫との戦闘で消耗していればよい物だが、薫の力では何処まで消耗させられてるかは判断が微妙な所だ。全くできていないかもしれないし、最高でも霊力を四分の一に減らしている位だろうか。
「じゃあ、じっちゃん。いこう」
「じゃな。実際見てみんと判断のしようが無い」
そして、家を出た。
遅くなってすいませんでしたm(-_-)m
ストック切れた状況で少し勉強と筋トレに目覚めてしまいまして・・・
実は休ませていただいた間にも作れたのはこの一話というorz
パソコンも碌に開かずケータイばっかやってたせいでタイピングのスピードも確実に落ちてるし・・
後がき書いてる今も筋トレ直後でタイピングの正確さに掛けるし・・
長々とすいませんでした
これから不定期になると思います。
次回をどうぞお待ちください。




