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陰陽師のしごと  作者: 遼東
管狐
32/56

第32話 うるさいエロジジイ!!


「何やってんのあんた」


半開きのドアから祝詞が覗いてる。


クソッ!!

早々と見つかってしまった!!

言い訳もまだ決まってないのに!


「その人誰と聞きたいけどその前にさあ!!いつまで抱き合ってんのよ!!」


なぜか青筋を浮かべた祝詞が怒って言う。


ん?

抱き合ってる?


「おい、俺が誰と抱き合ってると?」


「そこの女」


「あ~、これは抱き合ってるんじゃなくて取っ組み合ってるの」


「どっちでもいいから早く離れろ。そうじゃないと殴るわよ」


誤解を受けたまま放すのも嫌だが、このまま抱きついているように見られるのと殴られるのは嫌なので離れることにした。


しかし、離れたはいいものの、祝詞はいまだ戦闘態勢。

何故に!?


すると、玄関の前をじっちゃんが通る。


「ん?なんで玄関開いたままになってるんじゃ?ん?おお、勇が帰ってきたのか。お帰り」


じっちゃんに『助けて!!』という感情を込めながら見つめる。


「おお?だれじゃ?そのベッピンさんは!?のうのう、名前を教えてくれんかの?」


なんか、視線に込めた感情は伝わらなかったみたいだ。

それだけじゃなくなんか、最低なことを言い始めそうだ。

というか、お前は葵を知ってるだろ!!


「うるさいエロジジイ!!」


おお、祝詞のひじが!!

じっちゃんの顎に!!


「・・うう・・・ま、まあこんな所で立ち話もなんじゃし中に入るとするか。・・・しかし、エロジジイって・・・・・」


おい、傷つくの遅いよ!!


「じゃあ、ちょっと汗かいたから風呂入ってくるわ」


既に逃げの体制であった俺はこの一言で風呂場に逃げる。


「あ、ちょっと待ちなさい!!」


後ろから声が聞こえてくるけどお構いなしに風呂場へゴー。


30分後。


言い訳の考えが上手くまとまった。


10分後


リビングにて葵についての会議を開始。


「で、誰なの?その子は。勇の彼女?」


葵が誰かを知っている姉さんが冗談交じりに言う。


「そんなわけないじゃ・・・」


「何故分かったんです?」


ええ~。

遮るな!そして、ガセネタ流すな!

そして、祝詞はにらむな!!!!


「まあ冗談は抜きにして。この人は山で見つけた旅人です。どうも、徒歩での移動で、しかも、金も無い、食料も無い、寝床も無いと、無いの3拍子状態だったらしいのでつれてきました。当人も当分は金を貯めるためにどこかに泊まって仕事をしたかったようなので。名前は・・・」


この時代に徒歩での旅などそう無い事は承知の上で無理やりとも思えるいいわけを行使する。

あごをしゃくって葵に名前を言うように合図する。


「あ、私は龍原葵です。よろしくお願いするです」


「まあそういうことなら良いんじゃないか。こんな女の子を一人外で野宿させるのも危ないじゃろうし」


じっちゃんが珍しくいいことを言う。


「祝詞もそんなに怒らないの。貴方もそんな状況に陥りたくないでしょ」


「別にこの子がこの家に住むのが嫌なわけじゃないし。嫌でも多数決で結局は負けちゃうんだし・・・ただこんなかわいい子が勇と親しいと悔しいじゃない・・・・・ぶつぶつ」


最後の方は聞こえなかったが祝詞は認めはするものの納得がいかないという感じだった。


「だそうじゃ。葵さんよこれからよろしくの」


「はい。よろしくお願いするです。あ、あと、家事はある程度できるのでなんでも申し付けくださいです」


こうして、葵が今日から人間の姿でこの家に住むことになった。










―――――魔術

魔術師が使う術。中には戦闘に使われる戦闘魔術、物を作る錬金術、先を占う占星術などがある。四大元素の思想から、火・水・空気・土の術式がある。戦闘魔術は攻撃の際、魔術の形は殆どが砲。防御の際、シールドは円、球程度しか形が作れない。形を作るのは錬金術の技術しかなく、凄まじい才能が無ければ両方を習得する事はほぼ無理とされる。魔法とはまた違う。


―――――理の書

・・・魔術

人間の意志を宇宙の事象に適用することによって何らかの変化を生じさせることを意図して行われる行為、その手段、そのための技術と知識の体系、およびそれをめぐる文化である。ただし一般通念としての魔術は科学技術と異なり、少なくとも見かけ上は超常的、超自然的なものとされる傾向がある。また、魔術によって引き起こすことができると想像される事象は、超自然的なもの、外面的・物理的なもの、内面的・精神的なものなど、文脈によりさまざまなケースがある。

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