第31話 何やってんの。あんた
俺たちは焼き尽くされた森を見て呆然と立ち尽くす。
「・・・・・そういや直し忘れたな・・・昨日・・・」
「薫。頼んだ」
「丸投げかよ!!」
「お前しか直せないんだよ!!悪いか!」
「・・・・しょうがねえ。勇。水作ってくれ。火は俺が作るから」
薫の指示に従い錬金術に必要な四大元素の水を作る。
まあ、ここからは薫と共に木を作っていったり木に霊力を与えたりするだけだから割愛しよう。
その作業をしている間何故陰陽師である薫が西洋の錬金術師の使う錬金術を使えるのか説明しよう。
西洋の魔術師の中には戦闘魔術師・錬金術師・悪魔祓い(エクソシスト)と言う3つの非現実的仕事がある。
薫は生まれこそ日本だが、幼少の頃に5年間ほどイタリアにいたのだ。
イタリアはそういった関係の中心地である。
魔術師や、陰陽師は宗教の関係が混じっている。
必ずしも信仰しなければならないわけではないが、宗教的思考が術や式の構成に欠かせないものもある。だから、キリスト教ならイタリア、仏教なら日本やインドが中心地になっている。また、日本の陰陽師については神道が主。
そこで、魔術全種の修行をしていた薫をたまたま旅行に来ていた俺とじっちゃんが見つけて、それから1年後、諸々の事情より陰陽師にスカウトしたのだ。
今は諸々の事情により魔力は封印されており、最高の錬金術である金を作ることは出来ないが、封印をとけばそんな事容易に出来ると言う優等生だった。
諸々の事情ってのはそのうち話してやるとして、よって薫は魔術が使えるのである。
「疲れたな」
俺が尋ねる
「ああ」
「そろそろ帰るか?」
「ああ、そうだな」
言葉少なく帰ることを決めた。
自宅
「ホントに送らなくていいのか、薫?」
家に葵と一緒に入るときのいいわけを考えたい俺はなんとしても時間を得るために薫を送ろうと思った。
「大丈夫だぜ。まだまだ霊力も残ってる。すぐ着くしさ」
しかし、薫はそれを良しとしない。
「でもやっぱり・・・」
「しつこい男は嫌われるぞ~」
「・・・」
「いや、そこで黙るなよ」
「でもホントに・・・」
「いいから。今のうちに葵のいる言い訳を考えとけって」
「あ!!」
もはや、薫はかけていこうとしていた。
「じゃあな~」
「待って~!!一緒に考えろ~」
その言葉を聞かず薫は帰ってしまった。
「うう・・・裏切り者~」
「勇様。女の子みたいな声を出すなです。迷惑なら私も札に入ってもいいです」
「ごめん。ありがたいけど、葵の霊力だと札に入りきらないんだ・・・・」
「じゃあ2枚にすればいいです」
「・・体が裂けるような痛みに襲われるよ。そんな葵を見たくない・・・」
それを聞くと葵は黙ってしまった。
主からの気遣いに感動して泣きそうになり、「そこまで心配してくれるのですかぁぁ。そのお気持ちがあれば私は火の中水の中。体が裂けても構わないですぅぅ!!」と言って強制的に札に入ろうとする葵を勇がとめる。
まあ、取っ組み合いの状態で、見方が違えば抱き合ってるようにも見える。
「や~め~ろ~!!」
そのとき、玄関のドアが開く。
中から覗いてきたのは・・・・
「何やってんの。あんた」
呆れ、微妙に怒った顔をした祝詞だった。
―――――世界の書
・・・陰陽術
陰陽師の使う術。使用には霊力が必要とされ、個人の能力、知識から消費量などは変わってくる。陰陽術は属性が五つあり、陰陽五行思想にもとずき、火・水・土・木・金となっている。若い陰陽師は基本三式として火・水・土の零から十一番までが教えられるが、年齢・実力が一定量超えたら残りの二式・三式の十二個が教えられる。追加して式神・式紙の二つについてはまた後ほど。占星術や結界などもあるが占星術は専門。結界は誰でも使える物であるため余り触れないでおく。
―――――理の書
・・・陰陽道
日本で独自の発展を遂げた自然科学と呪術の体系。「おんようどう」、「いんようどう」とも読む。陰陽道に携わる者を陰陽師といい、陰陽師集団のことも陰陽道と呼ぶ。全ての事象が陰陽と木・火・土・金・水の五要素の組み合わせによって成り立っているとする、中国古代の夏、殷(商)王朝時代にはじまり周王朝時代にほぼ完成した陰陽五行思想という。、物忌、反閇などの呪術や、泰山府君祭などの道教的な神に対する祭礼、さらに土地の吉凶に関する風水説や、医術の一種であった呪禁道なども取り入れ、日本の神道と相互に影響を受けあいながら独自の発展を遂げた。8世紀末からは密教の呪法や密教とともに新しく伝わった占星術(宿曜道)や占術の影響を受ける。




