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夫よ!殺しに行くから待ってろよ!~VRゲーム内にて夫をキルしに行く話~  作者:


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第3話 いざゲームの世界へ!

 時間が経つのは早いもので、熱い試合を何戦か繰り広げているうちに、棚の上の時計はいつの間にか11時50分を指していた。


「はひゃ〜。ちょうどいいタイミングで試合終わってよかった〜」

「しかも最後、きれいに逆転勝ちできたしな」


 先ほどまでの熱戦の余韻に浸りながら、自分たちは使い慣れたPCをシャットダウンした。モニターの光が消え、急に静まり返った部屋の中で、自分たちはそれぞれのデバイスを手に取る。鈍い光沢を放つ、最新鋭のヘルメット型装置。これが、別世界への入り口だ。


 自分たちは、リビングの特等席に並べて置いた、最近買ったばかりの『人をダメにするソファ』に深く腰掛けた。ずっしりと身体が沈み込む感触に身を任せながら、片手でスマホを操作してSNSをチェックする。


 タイムラインは、自分たちと同じように待機しているプレイヤーたちの叫びで埋め尽くされていた。


『エイドス待機!』『ついにあと数分、震えてきた』『全裸待機余裕でした』

 次々に流れていく投稿を眺めていると、画面の向こうにいる何十万、何百万という仲間たちの熱気が伝わってくるようで、否応なしに気分が昂る。


 スマホの画面、壁の時計、そして膝の上の装置。それらを交互に見つめながら、残りの数分をじっと待った。


 傍から見れば、ソファに埋もれた二人の大人が、無言でヘルメットを抱えてスマホを凝視しているのだ。なかなかにシュールで怪しい光景である。ここが自宅のリビングだからいいものの、もし外で同じことをしていたら、間違いなく不審者として通報されていただろう。


 そして、ついに配信3分前。


「勇ちゃん……こういう時に限って、1秒がめちゃくちゃ長く感じるね……」

「確かに。さっきまでのゲーム中はあんなに早かったのにな」


 しばしの沈黙が流れる。

 期待が大きければ大きいほど、不安も少しだけ顔を出す。


「なんか、急にドキドキしてきた。自分、あっちの世界でちゃんとやっていけるかなぁ。特に戦闘とか、フルダイブだと難しそうで怖いよ」


「心配すんな。俺がついとるけん大丈夫た。キャラメイクとチュートリアルが終わったら、すぐにゲーム内のメッセージで連絡するけん」


 勇ちゃんの頼もしい言葉に、自分は少しだけ肩の力が抜けた。


「ふぁーい。勇ちゃんは超絶イケメンキャラ作るんだぞ! 自分も美女にするか幼女にするか、全力で頑張って作るから」


「なんで幼女や?」


 ピピピピピッ!


 勇ちゃんの真っ当なツッコミをかき消すように、部屋の空気を震わせて電子音が鳴り響いた。11時59分。運命の瞬間に備えてセットしておいたアラームだ。自分は急いでアラームを止め、隣に座る勇ちゃんと顔を見合わせた。


「あっちの世界で、また会おうね!」

「おう、あっちの世界でまた会うぞ!」


 どちらからともなく、示し合わせたように装置を深く被る。


 視界がふっと暗転し、システムが起動する低い音が耳の奥で鳴り始めた。

 心臓の鼓動がこれまでにないほど速く、強く胸を叩いているのがわかる。自分たちは現実の重力から解き放たれ、光の渦の先にある、輝かしいゲームの世界へと旅立った。

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