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夫よ!殺しに行くから待ってろよ!~VRゲーム内にて夫をキルしに行く話~  作者:


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第18話 食材系しかないじゃないか

 お目当ての商店街エリアへ近づくにつれて、周りの人通りが目に見えてどんどん多くなってきた。


 現実でもネットゲームでも、実は人混みというものがあまり得意ではない。これ以上人が増えないでほしいんだけどな……と内心で少しだけ身を縮こまらせつつ、石畳の道を歩いていく。


 やがてしばらく進むと、パッと視界が開けてひときわ大きな大通りに出た。


 現在の立ち位置を正確に把握するため、行き交う人たちの邪魔にならないよう通りの端っこへとそっと寄り、視界の隅のマップを呼び出して開く。


 ふむふむ、なるほど。どうやらここがハチオウのメインストリートである商店街エリアで間違いないようだ。よし、やっと着いた。


 半透明のマップをじっくり眺めてみると、そこには実に様々な施設がマッピングされていた。


 道具屋、武器屋、防具屋、装飾屋、食品屋。さらには冒険者が集まる各種ギルドや、旅人のための宿屋などなど、ゲームでお馴染みのアイコンがずらりと並んでいる。


 てか、マップの構造をよくよく見る限り、このハチオウという街は、商店街以外の住宅街エリアには一切お店が存在しないらしい。なるほど、それなら街中の全プレイヤーやNPCがここに一極集中して、これだけ人が多いのも納得だよね。


目の前の広い大通りには、実に様々な服装の人たちが行き交っていた。


 初期装備に身を包んだプレイヤーらしき姿もあれば、商人らしき人がたくさんの荷物を積んだ荷馬車を引いていたりもする。


 おっ、と目を奪われたのは、前方に現れたひときわ立派な馬車だ。中にはきっと、この街の貴族様か何かが乗っているのかな、と思わせるような気品溢れる装飾が施されている。


 いいなぁ、馬車。めちゃくちゃファンタジー感ある。

 あぁ~、自分もあれ乗ってみたいなぁ。


 ……って、あぶないあぶない。我に返れ自分。


 馬車に見惚れて、すっかり大事な目的を忘れるところだった。今の自分は、一刻も早く自分のアバターを確認するために鏡を見たいんだった。鏡が無理ならお店の窓ガラスでもいい。ただし、さっきの民家みたいに表面がボコボコしていない、現実で見慣れたような滑らかな平らなやつが絶対にいい。


 再びマップを見直す。


 気を取り直して、再び視界のマップに目を落とす。

 ここから一番近い場所にあるお店は……と。


 魚屋、八百屋、肉屋……。

 ……うん、見事に食材系のお店しかないじゃないか。


 さすがに魚屋さんの店先に綺麗に反射する鏡やショーウィンドウがあるとは思えない。下手したら生魚と並んで自分の顔が水気でぼやけて映るだけだ。


 他にどこか、ガラスが綺麗な看板メニューのありそうなお店は……とマップをスクロールしていく。すると、現在地から少しだけ離れた通りに装飾屋の文字を見つけた。


 装飾品を扱うお店なら、アクセサリーを試着するための鏡や、外から商品を見せるためのクリアなショーウィンドウくらいは絶対に設置してあるはずだ。


 よし。ターゲットは決まった。

 いざ、装飾屋さんに向かおうじゃありませんか。


 自分の姿との対面を間近に控え、ぐっと拳を握って気合いを入れ直す。自分は行き交う人の流れを見極めると、その波にタイミングよく乗るようにして、目的の場所へ向かって力強く歩を進めていくのでした。

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