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夫よ!殺しに行くから待ってろよ!~VRゲーム内にて夫をキルしに行く話~  作者:


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第16話 細部が全然わからん

 お互いレベル上げをしないといけないので、ゆうちゃんとの通話を切ってから数分ほどが経った。


 現在の自分はというと、相変わらずザーザーと激しい水しぶきを上げ続けている巨大な噴水の近くにあるベンチに腰を掛け、空中を操作して開いたメニュー画面とにらめっこをしている。初期の所持金と、初心者用として最初から鞄に入っていたいくつかの初期アイテムの確認を、ちょうど終えたところだ。


「さて、次は一番肝心なこれを見てみるか……」


 あっ、思わず声に出して呟いてしまった。まぁ良いか。幸いなことに、今このマイナスイオンたっぷりのベンチの周りには特に誰もいないし、誰かに聞かれたわけでもない。


 自分は開いたままのメニュー画面の端っこに表示されている「ステータス」という項目に狙いを定め、それを空間上で指先でぽちっと押すのとほぼ同時に、ぎゅっとまぶたを閉じた。


 ……てか、緊張のあまりとっさに目を閉じてしまったよ。我ながらチキンすぎる。


 まぶたの裏が真っ暗で見えないけれど、システム音がピロンと鳴った今この瞬間、視界のなかに半透明なステータス画面が広がり、そこに自分自身のアバターの全体像が表示されているはずだ。今までテレビ画面でやってきた数々のゲームでも、ステータス画面の横には大抵自分のキャラクターの3Dグラフィックが映し出されていたしな。今回は初のフルダイブ。期待するなという方が無理というものだ。


 どうか、可愛いアバターでありますように。

 贅沢を言えば、ちょっと大人っぽい綺麗な感じのキャラでありますように。


 心の中でゲームの神様や最新AIのシステムにそうっと祈りながら、意を決してゆっくりとまぶたを開ける。


 光を取り戻した目の前の視界には、初期装備の攻撃力や防御力といったステータス値やプレイヤー名、そして念願のアバターの姿が並んで表示されていた。


 視界の端へと視線を走らせる。

 まず目に飛び込んできた髪の色は白髪、というよりは、陽の光を反射してきらきらと輝く光沢のある綺麗な銀髪だろうか。


 髪型は、ポニーテールか、とにかく頭の少し高い位置でキュッと一つにまとめている感じなのかな。現実の自分がこれまであまりお洒落とかに興味を持ったことがないから、詳しい髪型の名前まではよく分からないけれど、シャープで活動的な印象を受ける。


 そして肝心の顔立ちだ。目は濃い深緑色で、少しつり目がちだけどパッチリとした大きな二重まぶたをしている。全体的に、ただ可愛いだけじゃなくて、どこかツンとしたクールな美少女といった雰囲気だ。


 ……か、可愛いじゃないか!


 予想以上の美少女っぷりにドクンと胸が高鳴り、はやく実物の姿が三次元で見たいとテンションが一気に跳ね上がる。


 けれど、ステータス画面に自分のアバターが表示されているおかげで髪色や顔の系統は大体分かったのだけれど、ここで一つだけ、致命的な問題があることに気がついた。


 そこに表示されているのは、まさかまさかの、ちょこんとした二頭身くらいに丸っこくデフォルメされた、可愛いミニアバター化の姿で。


 うん。あれだね。

 全体のカラーリングはよく分かったけど、肝心の顔の立体感とかスタイルの細部が全然わからん。


 せっかくのフルダイブなんだから、もっと等身大のリアルなグラフィックで驚かせてほしかった。自分はちょっとガッカリしつつも静かにメニュー画面を閉じると、はやく本当の自分の姿をこの目で確認すべく、街の中に鏡でも探しに行こうとベンチから勢いよく立ち上がるのであった。

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