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夫よ!殺しに行くから待ってろよ!~VRゲーム内にて夫をキルしに行く話~  作者:


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第15話 遠隔チュートリアル

 自分がシステムについて本当に何一つ知らない状態だと分かったゆうちゃんは、「どこから教えればいいんだ……?」と通信の向こうで少し頭を抱えて困りながらも、一つずつ順番に、丁寧に説明してくれた。


 教えてもらったのは、まずは基本中の基本である以下の三つ。


 一、アイテムの使い方

 二、お金の使い方

 三、サポート精霊の呼び出し方


 ゆうちゃん曰く、このサポート精霊というのは、いわばこの世界におけるヘルプ機能の代わりらしい。


「基本的には俺に聞くより、その精霊に質問した方が何百倍も詳しくて頼りになるぞ」なんて言われたけれど……。


 自分のサポート担当は、あの仕事をサボってどっかへ消えたフィーだ。

 正直言って、今こうして遠隔で根気強く教えてくれているゆうちゃんのほうが、あの生意気な精霊よりも何百倍も頼りになる気がする。


 「よし、じゃあ次は現在地の確認な。視界の右上にあるメニューを開いて、そこからマップの項目を押すと、いま自分がいる街の名前が出てくるはず」


「マップの項目ね……。あ、これか」


 言われた通りに空中を指先で操作してみる。

 すると、半透明のシステムウィンドウに新しい文字がパッと表示された。


「あっ、ほんとだ。出た出た」


 表示された見慣れない文字を、ゆっくりと声に出して読んでみる。


 「ハチオウ……」


 やっぱり、お互いが同じ噴水ではなく、完全に違う街にいるという事実が、非情なシステムログによってくっきりと証明されてしまった。


「おっ、表示されたみたいだな。ハチオウ? ちょっとこっちの端末で周辺検索してみるけん」


「分かった。お願い」


 まさか検索までして調べてくれるとは。

 いつも通り至れり尽くせりなゆうちゃんの有能さに、ありがとよ~、と心の中で深く感謝する。


 けれど、しばらくして返ってきたゆうちゃんの声は、心なしか少し低くて暗いものだった。


「ん~……マップの広域検索をかけてみたばってん、俺がいるミナクマの近くにハチオウって街はないみたいだけん。結構離れとるかもしれんな」


「うわ~、まじかぁ……」


「現実の同じ部屋で並んで同時にログインしたから。当然、同じ場所からスタートすると思っとったんだけどな」


「自分もそう思ってた」


 受話器の向こうとこちら側で、しばらくの間、沈黙が流れた。

 初日から一緒にパーティを組んで、ワイワイと狩りに出かける予定だった計画が、早くも崩壊してしまったのだ。


 けれど、いつまでも巨大な水のカーテンの前で落ち込んでいても始まらない。自分は気持ちを切り替えるように、小さくため息混じりの苦笑いを浮かべて言った。


「まぁ、なっちゃったものは仕方ないよね。とりあえず、レベル上げはしばらくお互い別々に頑張ろっか」


 「おう! そうだな。お互いしっかりレベル上げして、早く真ん中あたりのエリアで合流せなんな!」


「うん、そうだね。じゃあ、また何かあったら連絡する」


 通話を切ると、耳元にいた青い光の玉が、役目を終えたようにサラサラと空気中に溶けて消えていった。


 こうして、楽しみにしていた二人のネットゲーム生活は、まさかの「遠距離バラバラスタート」という形で幕を開けたのであった。

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