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命令
ノエルが、ルークの腕を掴んだ。
「……わかった」
ぽつりと呟く。それから、少しだけ笑った。
「じゃあ、命令する」
ルークの表情が、わずかに揺れる。――それを使うとは思っていなかった。
「ルークは、私の奴隷だもんね。最初から、そうすればよかったんだ」
一拍。
「……他の女の人に、笑わないで」
ルークの呼吸が止まる。
「ルークが他の人にあんな顔してるの、イライラするの」
静寂。
ノエルは、気づいていない。それがどういう意味か。
「一生、私のルークでいてよ。そしたら、私もあなたのノエルでいるから」
空気が凍る。逃げ場なんてどこにもない。
そのまま――ノエルはルークの首元にキスを落とした。自分と同じ場所に、同じように。
一瞬、世界が止まる。
「……ノエル」
かすれた声。でも続かない。
ルークは言葉を失ったまま、ぐっとノエルを引き寄せた。強く、壊れそうなくらい、逃がさないみたいに抱きしめる。
「……命令、取り消すなよ」
低く、押し殺した声。
でも、その腕は――最後まで離れなかった。




