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何もない土地から、水が出ました

「――水だわ」


「水?」


「そう、水よ」


ノエルの声は、確信に満ちていた。


「掘るの。地面の下にある水を引き当てるのよ」


言い終わるより早く、ノエルは外へ飛び出した。


「ちょ、ちょっと待ってよノエル!」


ルークも慌てて後を追う。


屋敷の外。乾いた大地が広がっている。ひび割れた土。命の気配すらない場所。


ルークは、不安そうに辺りを見回した。


「……こんなところに、本当にあるの?」


ノエルは答えない。ただ、歩く。ゆっくりと。何かを探すように。


そして――足を止めた。


「……ここ」


ノエルは、静かに地面を見つめる。


「え……?」


ルークが息を呑む。


ノエルは、そっと手をかざした。


「――来て」


ふわり、と。淡い緑の光が、指先から溢れ出す。それは優しく、けれど確かな力を帯びていた。


光は地面へと沈み込む。まるで――大地と、会話しているかのように。


ざわり、と空気が震える。


ルークは、思わず一歩後ずさった。


「……ノエル」


小さく名前を呼ぶ。


だが、ノエルは動かない。


「開いて」


静かな声。


その瞬間。


――ガコン。


地の奥から、重たい音が響いた。


ひび割れた大地に、亀裂が走る。一本。また一本。


ルークの目が、大きく見開かれる。


「……え……?」


そして――


――ドンッ!!


裂け目の奥から、水が一気に噴き上がった。透明な水が光を受けてきらめく。乾いた土を、瞬く間に濡らしていく。


「……すごい……」


ルークの声は、震えていた。驚きと、どこか誇らしさを含んで。


ノエルは、ゆっくりと手を下ろす。緑の光が、ふわりと消えていった。


「ね」


振り返る。ほんの少しだけ、微笑む。


「あるって言ったでしょ」


ルークは、強く頷いた。その視線はもう、不安ではなかった。


目の前で起きた奇跡を、ただ信じていた。


――ノエルなら、できると。

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