本編その後「知るが地獄、知らぬが仏?」
※五章読了後のご観覧をおすすめ致します
百鬼館 を追い出された後、夕暮れ時の江戸を一同は彷徨う。
「あいたた…! なんと手荒な…!」
全員土塗れでだらだらと歩き、八乎は擦り剥いた肘を撫でる。
「ちょ…今度は何処へ行くつもりですかっ!! こらっ!! 頭をきらっきらっさせて――ッ」
さっさと逃げる黒桜丸の髪留めが気に障り、小言を並べている途中、全員の腹が音を発した。
「はっ!! 不覚っ!! 私としたことが…っ、昼餉を食べ逃すとはっ!」
「私もお腹すいたぁ…」
御鈴姫も頬を赤らめて腹をさする。
「腹が減ったっ!! 饑い饑いっ!! 何か食わせいっ!!」
「いたた…いたた…! うどん、うどんにしよう」
狛和丸に何度も首を齧られ、ネイは咄嗟に近場の屋台を指差す。
「みんなでおうどん! 八乎さま、どれにする?」
「そうやね~……」
八乎はあんぺいか、しっぽく、餅入りかで悩み、黒桜丸が立ち去る事に気が付かない。
「あれ? 黒桜ー! 何処いくのー?」
腰掛けに座った御鈴姫は呼び止めるが、黒桜丸の姿はどんどん遠のいてゆく。
「黒桜はたべないのー? ねぇー? 黒桜の分も頼んだよぉー! くろうー! くろうー! く……」
不機嫌な顔付きで、黒桜丸は戻って来た。
そして結局のところ、五人は横一列に並んでうどんを啜った。
「みんなで食べるとおいしいね!」
「そうやね~」
冷え切った身体に出汁が染み渡る。
夕空を見上げながら汁を飲み干し、揃って、満たされた白息を吹く。
至って穏やかな食事時だった。
しかし、ネイの心は落ち着かなかった。
誰にも言えぬ事がある。
そしてそれは、黒桜丸もまだ気付いてはいない。
ちゃんと伝えた方が良いのだろうか……。
……褌が入れ替わっていることを。
…完
お目汚し失礼いたしましたー!
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