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第38話 夜間補給ハブの共同基準

危機の夜が終わると、現場には必ず反省会という名前の後片づけが来る。


 私は嫌いじゃない。怒鳴るためではなく、次の夜を楽にするためにやるなら、それは十分価値のある仕事だ。


 東港と雨港の合同会議で、私は新しい共同基準案を白板へ書き出した。


『共通規格箱の内寸』

『冷却溝の必須寸法』

『優先便の序列』

『ラベル色分け』

『手動解錠キーの保管場所』


「細かすぎませんか」


 若い職員が遠慮がちに言う。


「細かいから、夜に迷わないんです」


 私は答えた。


 姉崎がその横で行政文へ落としていく。片桐は救助班の視点から運搬順を補い、塚本はフォークリフトで詰まりやすい棚間隔を直した。莉央は配信向けに、一般公開できる部分だけ丁寧に図解へ起こしていく。


 共同基準は、誰かの勘に頼らないために作る。


 勘の良い人が一人いれば回る現場は、その人が倒れた瞬間に止まる。


 だから私は、私がいなくても回る基準を残したい。


 それは少し寂しくて、でも誇らしい仕事だった。


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