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第30話 真城記者の未公開メモ
莉央の机はいつも散らかっている。
でも、必要な紙だけは絶対に失くさない。その意味で彼女は、私と同じ種類の人間かもしれなかった。
「見せたいものがある」
作戦室で差し出されたのは、過去三か月ぶんの未公開メモだった。雨港のイベント会社、湾岸サプライリンク、白鷺メディア旧担当、さらに活動停止中の《煌牙》関係者の接触記録まである。
「ここまで追ってたんですか」
「記事にすると、また数字だけ先に燃えると思って出せなかった」
莉央は珍しく真面目な顔で言った。
「私は派手な炎上を起こしたいわけじゃない。現場がマシになる記事を書きたい」
私はメモを一枚ずつ読みながら答える。
「じゃあ今は、出すために集めたんじゃなくて、残すために集めたってことですね」
「うん」
そこには、見学会の前日にスポンサー担当が雨港へ入った記録、逆走搬送の前にイベント会社が旧配送センターの鍵を借りた記録、そして『第三搬路』という走り書きがあった。
「第三搬路?」
「たぶん古い保守用通路。噂だけで、今は地図に載ってない」
私の胸の奥で、何かがぴたりと噛み合った。
隠したい荷物は、正規の道を通らない。
そして隠したい人間は、必ず地図から道を消す。




