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第28話 港湾道路の逆走搬送

帳簿をごまかすとき、人は必ず遠回りをする。


 最短の道を通ると痕跡が残りすぎるからだ。


 冷却箱の件から二日後、塚本が夜間道路の監視映像を持ってきた。


「このトラック、逆走してる」


 画面には、雨港へ向かうはずの搬送車が、連絡橋手前でわざわざ旧港湾道路へ折れていく姿が映っていた。しかも積み荷コードは応援便のはずだ。


 私はすぐ搬送記録を洗った。【棚卸】の白文字が示す位置は、港湾道路沿いの使われていない配送センター。


「行きます」


 片桐、莉央、塚本と現地へ向かうと、倉庫のシャッター半分だけが開いていた。中にはイベント用品と混ぜられた冷却箱、簡易結界杭、解毒薬の空箱が並んでいる。


「保管のつもりですかね」


 莉央があきれたように言う。


「保管なら、逆走させません」


 私は箱の列を見た。優先順位ではなく、スポンサー案件ごとに並び替えられている。必要な順番ではなく、金になる順番だ。


 そのとき、外でエンジン音がした。戻ってきた運転手が私たちを見て立ち止まる。


「ここ、立入禁止ですよ」


「救助便を逆走させる方が先に禁止です」


 片桐の声で、相手はそれ以上言えなくなった。


 遠回りの先に置かれていたのは、ただの荷物じゃない。


 誰かが夜の優先順位を売り飛ばした証拠だった。


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