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第26話 配信向け支援物資の再来
嫌な仕組みは、名前を変えて戻ってくる。
雨港側の会議資料に『地域活性支援便』という新しい欄を見つけたとき、私は反射的に眉をひそめた。説明を読むと、人気配信企画へ優先的に物資を回し、地域の認知向上につなげるとある。
「要するに、配信向け支援物資ですね」
会議室が静まる。
東港で散々見た構図だ。救助や現場のためではなく、見栄えのために優先便を作る。言葉だけ少し綺麗になっても、中身は変わらない。
「地域PRも必要でしょう」
外注会社の役員が言う。
「命より先にですか」
私が返すと、その役員は少しだけ顔をこわばらせた。
片桐が書類を閉じる。
「救助班は協力しない」
姉崎も迷わなかった。
「監査課としても、その欄は認めません」
それでも役員は笑った。
「視聴が集まれば寄付も増えますよ」
「寄付は必要です。でも、優先順位を売るために使うものじゃありません」
私ははっきり言った。
前は黙っていたかもしれない。でも今は、嫌な仕組みの匂いを知っている。知ってしまった以上、見ないふりはできない。
配信は好きだ。
現場に必要な情報を届けられるから。
だからこそ、物資を餌にする配信だけは絶対に許したくなかった。




