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第24話 夜間補給ハブの見学会
制度が動く前には、だいたい見学会がある。
現場を知らない人ほど、見学という言葉を好む。見た気になれて、責任を持たずに帰れるからだ。
東港夜間補給ハブへ、雨港側の職員、外注会社、スポンサー企業、議員秘書までぞろぞろ来た夜、私は入口で深く息を吐いた。
「今日は棚を触らせません」
塚本がすぐにうなずく。
「そういう客の日だな」
見学者たちは白板の前で感心したふりをし、配信機材を向け、決まって同じ質問をした。
「バズる要素はどこですか?」
私は毎回同じ答えを返す。
「欠品が出ないことです」
場は少しだけ冷える。でも、それでいい。
その最中、【棚卸】の白文字が一つの棚で鈍く光った。応援協定向けの備蓄ラベルが貼られているのに、中身は別の資材だ。
共通規格冷却箱・表示四台。
実棚・空。
空の棚は、わざと見せるために作られた綺麗さをしていた。
「この棚、午前中に誰が触りました」
私が尋ねると、湾岸サプライリンクの担当が一瞬だけ口を閉ざす。
「見学用に整えただけですよ」
「整えると中身が消えるんですか」
莉央のカメラが、静かにその会話を拾っていた。
見学会は嫌いじゃない。
見せたいものと、隠したいものが一度に動くからだ。




