19/40
第19話 夜勤主任は現場を選ぶ
監査結果は一週間で出た。
宮坂は横流しと虚偽報告で解任。《煌牙》は一定期間の活動停止。白鷺メディアはダンジョン関連スポンサー契約を剥奪された。
そして東港市は、補給センターの夜間運営を会社から切り離し、公共管理へ移すと発表した。
「大槻さん」
姉崎が新しい書類を差し出す。
「市の調達管理室へ来ませんか。安定していますし、待遇もいい」
ありがたい話だ。昔の私なら飛びついたかもしれない。
でも、書類を見つめるうちに、答えは自然に決まった。
「お断りします」
姉崎が目を瞬く。
「夜の搬入口を、独立した補給拠点として残してください。机の上から管理するより、現場で回したい」
ちょうどそのとき、塚本と《ラフギア》の三人が新しい棚を運び込んでいた。片桐は救助班との共有ロッカー配置図を作っている。莉央は「夜勤補給便」の看板案を勝手に三種類も並べていた。
いつの間にか、選ぶ前から形ができていたのだ。
「……本気なんですね」
「はい。私は現場の方が向いています」
姉崎は少し考え、それからうなずいた。
「では、東港夜間補給ハブ。初代責任者として申請します」
責任という言葉を聞いても、もう息は詰まらなかった。
押しつけられるものじゃない。
自分で選んだ責任なら、ちゃんと持てる。




