第10話 大手配信クランの派手な欠品
《煌牙》の生配信は、いつも音が大きい。
大技、煽り、派手な照明。スポンサー名を映すための演出が、討伐より前に来る。視聴数だけなら東港でも上位だ。
その夜、彼らは中層ボス部屋の攻略配信を予定していた。ところが開始十五分で、リーダーの桐生が苛立った声を上げる。
『魔力弾の予備が来てない! 夜勤搬入口、何やってる!』
配信越しに名指しされた瞬間、作戦室が静まった。
私は端末を確認する。出庫記録はある。けれど【棚卸】を使うと、魔力弾四ケースの位置はボス部屋ではなく、地上一階のスポンサー控室を指していた。
「……やっぱり」
莉央がすぐに配信カメラをこちらへ向ける。
「言う?」
「言います」
私は公式連絡回線へ接続し、落ち着いて伝えた。
「《煌牙》様の予備魔力弾四ケースは、搬出済みです。現在位置はスポンサー控室横の専用ロッカー。配信用演出機材の後ろにあります」
数秒の沈黙。
次の瞬間、コメント欄が爆発した。
『控室に置きっぱなし!?』
『欠品じゃなくて自分たちの管理ミスかよ』
桐生の顔が引きつる。スタッフが慌てて控室へ走り、本当にそこから四ケースが出てきたところまで、きっちり映った。
派手なクランは、派手に失敗すると一気に目立つ。
でも私は少しも痛快じゃなかった。
こんなミスひとつで、救助便の予備が削られる夜があると知っているからだ。




